第10章【結末へ】
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私は、隣に立つ私よりも小さな少年と顔を見合わせてひとつ頷いた。
ユウナが走っていく。
仲間たちの下へ。
その後姿を見送って、私たちも私たちの仲間の元へ戻った。
暗い岩だらけの世界から、幻光虫の光で明るく照らされた幻光花の咲き乱れる地面へと足を踏み入れる。
ここは死後の世界。
魂となった幻光虫が集まる場所。
それなのに、ここがこんなにも明るい場所だっただろうかと思わず目を細めた。
奥のほうに人影が見える。
私たちが戻るのをじっと待っていてくれている。
別に急ぐ必要は無いというのに、足が速くなってしまう。
「話は終わったのかい?」
一番に声をかけてきたのは、ブラスカ。
「…よかったのか?ブラスカ。ユウナに…」
小さな笑みを浮かべたブラスカは、僅かに俯いて顔を左右に振った。
「今のあの子に必要なのは、私ではないよ、ラフテル」
丸で、私が今からしようとしていることを見通しているかのような言葉。
自分はもう、命の無い人間だが、彼女は未来へと進める。
命ある人間にとって、自分は足枷にしかならないのだと、そう言っているように思えた。
「…そうか」
小さく短く、納得した言葉を零し、そしてアーロンとジェクトの間に挟まれた青年に目を向けた。
私の視線を感じたのか、ジェクトが声をかけてくる。
「ラフテル」
ジェクトが何を言おうとしたのか分かって、否定の言葉を思わず口にしたくなる。
「止めても……」
「無駄だ」
「…アーロン」
私とバハムートがユウナと話している間、アーロンはジェクトと話をしていた。
ジェクトは全てを知り、そして決断した。
もう決断なんて、とっくにしていただろうけど。
ジェクトも、スピラで祈り子となり、スピラに存在するものとしてここに残ることができるはず。
それなのに、この青年と共に星に還るのだという。
この青年、生まれたときから余り幸福な人生ではなかったようだ。
私が言うのも何だが、不幸の星の下に生まれてきてしまった人物、と言えてしまうかも知れない。
死してなお、その魂を利用され、彼の意思とは関係なく他人を巻き込みながら苦痛を味わうだけの人生。
私も、全てを聞いたわけではないが、このままスピラに死人として留まっても、この異界で暮らすのも、大変そうだ…
「心配すんな! 俺がちゃんと連れてってやるからよ!」
「…どこにだ」
いつもの、豪快な笑い声が響き渡る。
あぁ、いつものジェクトだ、なんて妙に安心してしまうのはなぜだろうか。
もう、この笑い声も、聞くことはできなくなる。
眩しい笑顔も、見れなくなる。
逞しい腕に触れられなくなる。
急に、寂しさを感じた。
…また…こんな、別れかたなんて…
→
07,Dec,2012
私は、隣に立つ私よりも小さな少年と顔を見合わせてひとつ頷いた。
ユウナが走っていく。
仲間たちの下へ。
その後姿を見送って、私たちも私たちの仲間の元へ戻った。
暗い岩だらけの世界から、幻光虫の光で明るく照らされた幻光花の咲き乱れる地面へと足を踏み入れる。
ここは死後の世界。
魂となった幻光虫が集まる場所。
それなのに、ここがこんなにも明るい場所だっただろうかと思わず目を細めた。
奥のほうに人影が見える。
私たちが戻るのをじっと待っていてくれている。
別に急ぐ必要は無いというのに、足が速くなってしまう。
「話は終わったのかい?」
一番に声をかけてきたのは、ブラスカ。
「…よかったのか?ブラスカ。ユウナに…」
小さな笑みを浮かべたブラスカは、僅かに俯いて顔を左右に振った。
「今のあの子に必要なのは、私ではないよ、ラフテル」
丸で、私が今からしようとしていることを見通しているかのような言葉。
自分はもう、命の無い人間だが、彼女は未来へと進める。
命ある人間にとって、自分は足枷にしかならないのだと、そう言っているように思えた。
「…そうか」
小さく短く、納得した言葉を零し、そしてアーロンとジェクトの間に挟まれた青年に目を向けた。
私の視線を感じたのか、ジェクトが声をかけてくる。
「ラフテル」
ジェクトが何を言おうとしたのか分かって、否定の言葉を思わず口にしたくなる。
「止めても……」
「無駄だ」
「…アーロン」
私とバハムートがユウナと話している間、アーロンはジェクトと話をしていた。
ジェクトは全てを知り、そして決断した。
もう決断なんて、とっくにしていただろうけど。
ジェクトも、スピラで祈り子となり、スピラに存在するものとしてここに残ることができるはず。
それなのに、この青年と共に星に還るのだという。
この青年、生まれたときから余り幸福な人生ではなかったようだ。
私が言うのも何だが、不幸の星の下に生まれてきてしまった人物、と言えてしまうかも知れない。
死してなお、その魂を利用され、彼の意思とは関係なく他人を巻き込みながら苦痛を味わうだけの人生。
私も、全てを聞いたわけではないが、このままスピラに死人として留まっても、この異界で暮らすのも、大変そうだ…
「心配すんな! 俺がちゃんと連れてってやるからよ!」
「…どこにだ」
いつもの、豪快な笑い声が響き渡る。
あぁ、いつものジェクトだ、なんて妙に安心してしまうのはなぜだろうか。
もう、この笑い声も、聞くことはできなくなる。
眩しい笑顔も、見れなくなる。
逞しい腕に触れられなくなる。
急に、寂しさを感じた。
…また…こんな、別れかたなんて…
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07,Dec,2012