第9章【その行動の意味は】
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ユウナ達がヴェグナガンの上部へと辿り着くのと同時に、私もそこで初めて“彼”を目にした。
酷く動揺した私と同じ気持ちでいたであろうジェクトの様子に、少なからず違和感を覚える。
初めて目にしたシューインという人物、それはあまりにも“少年”と似通っていたから…
だがジェクトは私ほど驚いた様子を見せなかった。
それはアーロンも同じで、ほとんど接点の無かったブラスカはわかるとしても、なぜこうも平然としていられるのだろうか。
「ジェクト、アーロン……」
遠くで見るよりも遥かに巨大で不気味なヴェグナガンの頭部に、さながら音楽を奏でるように恍惚とした表情でそこにいる青年。
この兵器は、こうして音を奏でることによって操ることができるのか。
あの時に聞こえていた音楽は、彼がここで弾いていたというのだろうか?
あの美しくも悲しい旋律を…
青年が体を動かすたびに、青年の姿がゆらりとダブって見える。
2人…いや、3人、か。
シューインの体の周りには、自己主張でもしているかのような幻光虫がいくつも纏わりついている。
だがそれを気にした風も無く、更に旋律を奏で続けていく。
――“奴は誰かの体を利用して行動する”――
先ほど耳にした言葉が浮かんできた。
重なって見えている青年は、スピラで利用された生ある人間か。
もう一人は、この世界、異界で行動するために利用された、あの討伐隊を目指した青年の魂。
スピラと異界でそれぞれ行動するために利用した“入れ物”が重なって見えているということか。
その存在が、入れ物という言葉が浮かんだ時点で、私は自嘲してしまう。
まるで、自分のようだ、と。
ユウナ達の攻撃により動かなくなったヴェグナガンだったが、それも束の間。
一度ユウナ達の方を振り返ったシューインが、更に音を奏でていく。
これで終わるわけが無いのだ。
ヒトの顔のようにさえ見える不気味は兵器は、その体の節から蒸気でも吐き出すかのように禍々しい色の気体を噴出した。
怪しい色に光る眦からは地獄の雄たけびが聞こえてきそうに思えた。
重い音を響かせ、ばっくりと開いた口から突然、巨大な砲台が天に向けて飛び出した。
「!!!」
「あっちも奥の手だよ」
『いいや、悪あがきだ。 ユウナ……終わらせてやれ』
「はい!」
アーロンの言葉は、しっかりとユウナに届いていた。
その返事は、2年前の、あの時の最後の戦いを思い出させる。
覚悟を決めた、ユウナの声。
「さあ、ヴェグナガン、お前が世界を終わらせるんだ」
シューインの声は、少年のそれと同じ。
なぜだろうか、胸が締め付けられる。
私は、この戦いに参加できなかったことを、心のどこかで安堵していたのかもしれない。
2年前、ジェクトと戦うことができなかったように、きっと彼を、シューインと少年を重ねていただろう。
『奴がぶっ放したらお終いだ。時間制限あり!延長なしの一本勝負だ!!』
『ユウナ、リュック、パイン、お前たちの時代を守れ!』
ジェクトとアーロンの声を、私はどこか遠くで聞いていたような感覚を覚えていた。
→
20,May,2012
ユウナ達がヴェグナガンの上部へと辿り着くのと同時に、私もそこで初めて“彼”を目にした。
酷く動揺した私と同じ気持ちでいたであろうジェクトの様子に、少なからず違和感を覚える。
初めて目にしたシューインという人物、それはあまりにも“少年”と似通っていたから…
だがジェクトは私ほど驚いた様子を見せなかった。
それはアーロンも同じで、ほとんど接点の無かったブラスカはわかるとしても、なぜこうも平然としていられるのだろうか。
「ジェクト、アーロン……」
遠くで見るよりも遥かに巨大で不気味なヴェグナガンの頭部に、さながら音楽を奏でるように恍惚とした表情でそこにいる青年。
この兵器は、こうして音を奏でることによって操ることができるのか。
あの時に聞こえていた音楽は、彼がここで弾いていたというのだろうか?
あの美しくも悲しい旋律を…
青年が体を動かすたびに、青年の姿がゆらりとダブって見える。
2人…いや、3人、か。
シューインの体の周りには、自己主張でもしているかのような幻光虫がいくつも纏わりついている。
だがそれを気にした風も無く、更に旋律を奏で続けていく。
――“奴は誰かの体を利用して行動する”――
先ほど耳にした言葉が浮かんできた。
重なって見えている青年は、スピラで利用された生ある人間か。
もう一人は、この世界、異界で行動するために利用された、あの討伐隊を目指した青年の魂。
スピラと異界でそれぞれ行動するために利用した“入れ物”が重なって見えているということか。
その存在が、入れ物という言葉が浮かんだ時点で、私は自嘲してしまう。
まるで、自分のようだ、と。
ユウナ達の攻撃により動かなくなったヴェグナガンだったが、それも束の間。
一度ユウナ達の方を振り返ったシューインが、更に音を奏でていく。
これで終わるわけが無いのだ。
ヒトの顔のようにさえ見える不気味は兵器は、その体の節から蒸気でも吐き出すかのように禍々しい色の気体を噴出した。
怪しい色に光る眦からは地獄の雄たけびが聞こえてきそうに思えた。
重い音を響かせ、ばっくりと開いた口から突然、巨大な砲台が天に向けて飛び出した。
「!!!」
「あっちも奥の手だよ」
『いいや、悪あがきだ。 ユウナ……終わらせてやれ』
「はい!」
アーロンの言葉は、しっかりとユウナに届いていた。
その返事は、2年前の、あの時の最後の戦いを思い出させる。
覚悟を決めた、ユウナの声。
「さあ、ヴェグナガン、お前が世界を終わらせるんだ」
シューインの声は、少年のそれと同じ。
なぜだろうか、胸が締め付けられる。
私は、この戦いに参加できなかったことを、心のどこかで安堵していたのかもしれない。
2年前、ジェクトと戦うことができなかったように、きっと彼を、シューインと少年を重ねていただろう。
『奴がぶっ放したらお終いだ。時間制限あり!延長なしの一本勝負だ!!』
『ユウナ、リュック、パイン、お前たちの時代を守れ!』
ジェクトとアーロンの声を、私はどこか遠くで聞いていたような感覚を覚えていた。
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20,May,2012