第9章【その行動の意味は】
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
=59=
「私たちはシューインにレンの想いを届けにきた」
ユウナが、彼女たちがここに来た本当の理由。
それは、1000年という時間に縛られたシューインの未練を断ち切ること。
レンという人物が誰なのかはわからない。
だが、彼女たちの話を聞いていて、なんとなくそれがどんな人物なのか、理解できた。
シューインは、レンの為に、彼女を守るために行ったことなのだろう、と。
その想いが互いに届かないまま、2人は結ばれることも無く散っていったのだろう…
なんて、悲しい物語だろうか。
ユウナが胸を張って宣言する。
奥の手は、“愛”と。
…愛…
何かが引っかかる。
ユウナが恥もなく堂々と声高に主張するこの単語が、私には酷く恥ずかしいような、懐かしいような感覚に包まれた。
この不気味な生物兵器を前にしても、尚も怯むどころか真正面から挑もうとするこの生ある人間たちの行動に、
見ているこちらのほうが怯んでしまう。
「私にも、ユウナたちの手助けができればいいんだが…」
私の肩を抱き寄せている人物をそっと見上げた。
ただ黙って首を横に振る彼の答えは、否、だった。
「これは、ユウナたちの物語だ」
「ブラスカ…」
いつの間にか、私を挟んだジェクトの逆隣に、ブラスカが立っていた。
「手を出すことはできなくても、見守ることはできる」
「そういうこった!」
鋭い棘のついた太い尾に足止めを食っているユウナ達3人の元へ、私たちもゆっくり近づいていく。
『なあに こけおどしだ!』
『過去の遺物にすぎん』
『ユウナには、仲間がいるじゃないか』
『自分たちの力を信じるんだ』
彼女たちなら、きっとこの怪物を止められる。
彼女たちがやろうとしていることは、きっとできる。
シューインにも、きっと気持ちは届くだろう。
先ほど湧き上がった嫌な予感という感覚は、もう私の中から消えていた。
その代わりに、絶対の確信が私を包む。
こんなに私は単純だっただろうか。
正体もわからぬ不気味な巨体を晒すこの兵器に、一瞬でも臆したというのに、ここにいる3人の少女、そして彼女の仲間たちであろう若者たちが挑んでいく姿に、私はもう過去の存在なのだと決定づけられてしまったようだ。
→
20,May,2012
「私たちはシューインにレンの想いを届けにきた」
ユウナが、彼女たちがここに来た本当の理由。
それは、1000年という時間に縛られたシューインの未練を断ち切ること。
レンという人物が誰なのかはわからない。
だが、彼女たちの話を聞いていて、なんとなくそれがどんな人物なのか、理解できた。
シューインは、レンの為に、彼女を守るために行ったことなのだろう、と。
その想いが互いに届かないまま、2人は結ばれることも無く散っていったのだろう…
なんて、悲しい物語だろうか。
ユウナが胸を張って宣言する。
奥の手は、“愛”と。
…愛…
何かが引っかかる。
ユウナが恥もなく堂々と声高に主張するこの単語が、私には酷く恥ずかしいような、懐かしいような感覚に包まれた。
この不気味な生物兵器を前にしても、尚も怯むどころか真正面から挑もうとするこの生ある人間たちの行動に、
見ているこちらのほうが怯んでしまう。
「私にも、ユウナたちの手助けができればいいんだが…」
私の肩を抱き寄せている人物をそっと見上げた。
ただ黙って首を横に振る彼の答えは、否、だった。
「これは、ユウナたちの物語だ」
「ブラスカ…」
いつの間にか、私を挟んだジェクトの逆隣に、ブラスカが立っていた。
「手を出すことはできなくても、見守ることはできる」
「そういうこった!」
鋭い棘のついた太い尾に足止めを食っているユウナ達3人の元へ、私たちもゆっくり近づいていく。
『なあに こけおどしだ!』
『過去の遺物にすぎん』
『ユウナには、仲間がいるじゃないか』
『自分たちの力を信じるんだ』
彼女たちなら、きっとこの怪物を止められる。
彼女たちがやろうとしていることは、きっとできる。
シューインにも、きっと気持ちは届くだろう。
先ほど湧き上がった嫌な予感という感覚は、もう私の中から消えていた。
その代わりに、絶対の確信が私を包む。
こんなに私は単純だっただろうか。
正体もわからぬ不気味な巨体を晒すこの兵器に、一瞬でも臆したというのに、ここにいる3人の少女、そして彼女の仲間たちであろう若者たちが挑んでいく姿に、私はもう過去の存在なのだと決定づけられてしまったようだ。
→
20,May,2012