第8章【全ての黒幕】
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
=57=
疑問を持ちつつも、アーロンと共にブラスカとジェクトの側へ歩み寄った。
私たちの到着を待ってくれていたのか、こちらをちらりと一瞥してからフードを被った少年、バハムートが静かに話し始めた。
「…生き物…なのか?」
少年特有の高い声は低く抑えられ、事の重要さを強調している。
少年が語った内容に誰もがその存在と目的に驚愕し、困惑した。
この私も例外ではない。
にわかには信じられない事実。
この世界を破壊する力を持った、意思ある兵器、“ヴェグナガン”。
1000年もの長い間、ずっとずっと眠り続けていた太古の機械戦争の遺物。
私が生まれる前から、シンが生まれる前からずっとベベルの地下にいたらしい。
そして私の疑問は益々増加する。
「ユウナ達は、あれを破壊しようとしているのか」
「…そのようだな」
機械戦争から1000年もの長い時間が過ぎてしまった今になって、なぜそんなものを持ち出そうとしてきたんだろうか。
ベベルに住んでいた、地下牢に囚われた経験すらある自分でも、こんなものの存在は知らなかった。
いや、恐らくほとんどの者は同じように知らされることなど無かっただろう。
この事実を公にしてこなかったのは、ベベルが取る常套手段の一つであるのか、それとも本当にもう必要としないものと判断された為か。
『ボクたちを利用したのは、彼がアレを目覚めさせるため』
少年の呟きに答えを返すものはいない。
…目覚める、なんて、機械に対して用いる言葉ではないことくらい理解できる。
それは命を持ち、意思を有する生物に対して使う言葉だ。
「なんで今頃になって、んなアブねー奴を起こす必要があるってんだ?」
「……貴様はあれだけのことをされて、まだわからんのか!」
「…世界を、綺麗にするため…」
ジェクトの少々ズレた疑問に、当時の言葉遣いに戻ってしまったアーロンが怒りを露にする。
私は、これまでに彼がさんざん口にしていた言葉を浮かべる。
“綺麗に”とは、つまり、美しいとか豊かという意味ではなく、むしろその逆。
―――この世界を滅ぼす力を持った兵器を使って、今の世界全てを一掃する。
自分で呟いた言葉の意味を理解したとたん、背中だけではなく体中の血の気が音を立てて引いたような感覚に囚われた。
→第9章
2,May,2012
疑問を持ちつつも、アーロンと共にブラスカとジェクトの側へ歩み寄った。
私たちの到着を待ってくれていたのか、こちらをちらりと一瞥してからフードを被った少年、バハムートが静かに話し始めた。
「…生き物…なのか?」
少年特有の高い声は低く抑えられ、事の重要さを強調している。
少年が語った内容に誰もがその存在と目的に驚愕し、困惑した。
この私も例外ではない。
にわかには信じられない事実。
この世界を破壊する力を持った、意思ある兵器、“ヴェグナガン”。
1000年もの長い間、ずっとずっと眠り続けていた太古の機械戦争の遺物。
私が生まれる前から、シンが生まれる前からずっとベベルの地下にいたらしい。
そして私の疑問は益々増加する。
「ユウナ達は、あれを破壊しようとしているのか」
「…そのようだな」
機械戦争から1000年もの長い時間が過ぎてしまった今になって、なぜそんなものを持ち出そうとしてきたんだろうか。
ベベルに住んでいた、地下牢に囚われた経験すらある自分でも、こんなものの存在は知らなかった。
いや、恐らくほとんどの者は同じように知らされることなど無かっただろう。
この事実を公にしてこなかったのは、ベベルが取る常套手段の一つであるのか、それとも本当にもう必要としないものと判断された為か。
『ボクたちを利用したのは、彼がアレを目覚めさせるため』
少年の呟きに答えを返すものはいない。
…目覚める、なんて、機械に対して用いる言葉ではないことくらい理解できる。
それは命を持ち、意思を有する生物に対して使う言葉だ。
「なんで今頃になって、んなアブねー奴を起こす必要があるってんだ?」
「……貴様はあれだけのことをされて、まだわからんのか!」
「…世界を、綺麗にするため…」
ジェクトの少々ズレた疑問に、当時の言葉遣いに戻ってしまったアーロンが怒りを露にする。
私は、これまでに彼がさんざん口にしていた言葉を浮かべる。
“綺麗に”とは、つまり、美しいとか豊かという意味ではなく、むしろその逆。
―――この世界を滅ぼす力を持った兵器を使って、今の世界全てを一掃する。
自分で呟いた言葉の意味を理解したとたん、背中だけではなく体中の血の気が音を立てて引いたような感覚に囚われた。
→第9章
2,May,2012