第8章【全ての黒幕】
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=56=
太い木の幹のように迫り出した石柱に掴まる足は3対。
足場から長く伸びた尾がゆらゆらと揺れている。
そして、一際目を引く、羽。
その背からカーテンのように広がる幻光の幕が、羽を休めている蝶の如くゆったりと羽ばたきを繰り返している。
美しいとは言い難い、その巨体。
頭部は虫よりも人間のそれに近い。
これが一体何なのか、想像もつかない。
「なんだ、あれ…」
ゴクリと、喉を鳴らす音が私の耳にまで届いた。
誰もがその圧倒的な存在に畏怖を浮かべている。
これが何で、どんな能力や力を持っているのかなんて丸でわからない。
わからないから、恐ろしい。
「ユウナ!」
誰かの声に思わず反応する。
自分達がいる位置のちょうど真下辺りを、何人かの人影が動いているのが見えた。
その中に、見覚えのある姿を見つける。
2年前、そのガードとして共に旅をしたブラスカの娘ユウナ、ガードの一人だったリュック、そしてかつての自分の姿を思い出させる短髪の女性、
パイン、と言ったか。
他にも何人かの人間が、同じ方向に進んでいくのが見えた。
あの不気味な化け物がいる、その場所へ。
なぜ、彼女がいる?
いや、それ以前に、どうしてここに生身の人間がいる?
ここは命を亡くした魂が存在する場所。
確かに生身の人間でも入り込むことはできるだろう。
だが、なぜ彼女が…?
ただ、疑問ばかりが沸いてくる。
誰に対して答えを求めればいいのか、求めたところで何かが解決するわけでもない。
それなのに、この疑問に対しての答えを求めてしまう。
…コレハナンダ
…ナゼココニイル
…ナニヲスルタメニ
その答えを知ってどうしようというのだろうか。
知ったところで、私に何ができるというのだ。
この、禍々しい巨大な姿を目にして、ただただ呆けることしかできない。
自分たちが佇んでいる中空の一角から、眼下を駆ける人間たちの姿が今も見えている。
彼らの目指す場所は唯ひとつ。
この正体もわからぬ不気味な巨体の元。
そこにいる人物がよく見知った存在だからだけではない。
彼女らがその距離を詰めていくに従って、自分に湧き上がる言い知れぬ焦燥感。
不安と焦り。
妙に落ち着かない胸騒ぎ。
……嫌な予感、とはこのことか。
→
2,May,2012
太い木の幹のように迫り出した石柱に掴まる足は3対。
足場から長く伸びた尾がゆらゆらと揺れている。
そして、一際目を引く、羽。
その背からカーテンのように広がる幻光の幕が、羽を休めている蝶の如くゆったりと羽ばたきを繰り返している。
美しいとは言い難い、その巨体。
頭部は虫よりも人間のそれに近い。
これが一体何なのか、想像もつかない。
「なんだ、あれ…」
ゴクリと、喉を鳴らす音が私の耳にまで届いた。
誰もがその圧倒的な存在に畏怖を浮かべている。
これが何で、どんな能力や力を持っているのかなんて丸でわからない。
わからないから、恐ろしい。
「ユウナ!」
誰かの声に思わず反応する。
自分達がいる位置のちょうど真下辺りを、何人かの人影が動いているのが見えた。
その中に、見覚えのある姿を見つける。
2年前、そのガードとして共に旅をしたブラスカの娘ユウナ、ガードの一人だったリュック、そしてかつての自分の姿を思い出させる短髪の女性、
パイン、と言ったか。
他にも何人かの人間が、同じ方向に進んでいくのが見えた。
あの不気味な化け物がいる、その場所へ。
なぜ、彼女がいる?
いや、それ以前に、どうしてここに生身の人間がいる?
ここは命を亡くした魂が存在する場所。
確かに生身の人間でも入り込むことはできるだろう。
だが、なぜ彼女が…?
ただ、疑問ばかりが沸いてくる。
誰に対して答えを求めればいいのか、求めたところで何かが解決するわけでもない。
それなのに、この疑問に対しての答えを求めてしまう。
…コレハナンダ
…ナゼココニイル
…ナニヲスルタメニ
その答えを知ってどうしようというのだろうか。
知ったところで、私に何ができるというのだ。
この、禍々しい巨大な姿を目にして、ただただ呆けることしかできない。
自分たちが佇んでいる中空の一角から、眼下を駆ける人間たちの姿が今も見えている。
彼らの目指す場所は唯ひとつ。
この正体もわからぬ不気味な巨体の元。
そこにいる人物がよく見知った存在だからだけではない。
彼女らがその距離を詰めていくに従って、自分に湧き上がる言い知れぬ焦燥感。
不安と焦り。
妙に落ち着かない胸騒ぎ。
……嫌な予感、とはこのことか。
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2,May,2012