第8章【全ての黒幕】
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スピラからこっちの世界へ来てから、ジェクトには全部話した。
ジェクトや彼の息子がどういう存在であったのか、なぜその息子はここにいないのか、どうやってスピラへ渡ったのか…
彼がそれをどこまで信用して、どこまで理解したのかなんて分からないけど、知っておくべきだと思ったから。
黙って話を聞いていたジェクトが、徐に切り出した。
「あいつはよ、可愛そうな奴だ」
「ジェクト…?」
「貴様、何を言って…」
「あいつは、シンを仇として倒すことが夢だった。だが、それは叶わなかった。 …ならよ、その夢が叶えられたらあいつはゆっくり眠れる。そうだろ?」
「…それは…」
「ジェクト、何するつもり?」
嫌な予感が走った。
「ジェクト! 貴様、まさかまた1人で犠牲になるつもりか!」
アーロンの口調があの時のものに戻ってしまっている。
本人はそのことに気付いてすらいないのだろう。
「おいおい、犠牲とは心外だな。 …あいつの夢は、シンを倒すことだ。 そしてシンは、 ……ここにいる」
「!!!」
「ジェクト!何を考えているんだ!」
「俺があいつを連れて行く」
「………」
「バカな考えはやめろ!!どうなるのかわかっているのか!?」
必死に止めようとするアーロンと、何も言わないブラスカ。
これじゃまるで、あの時の光景そのままではないか。
またこんな場面を見ることになるなんて…
祈り子たちですら、彼が口に出したその考えにただ驚いていた。
どうして、いつもいつもこう、あっさりと決断してしまえるのだろうか。
あの時、ユウナレスカと対峙したときも、ジェクトは自ら進んで名乗りを挙げた。
そうすることが当然のように。
彼がこう言い出したら、もう止めても無駄だろう。
そう簡単に考えを覆すような男ではないことはよく分かっている。
その真っ直ぐな心意気が眩しく思えた。
…ずっとそうだったのだろう。
あの時も、私たちは必死で彼を止めた。それでも彼の考えは変わらなかった。
「まあ、俺様がそんなに簡単に消えるわけねぇけどな!わーはっはっはっはっ!!」
豪快に上げるあまり上品とは言い難いジェクトの笑い声が、暗い世界に響き渡る。
もう、誰も彼を止めることはできないのだろう。
「そうと決まったら、さっさと行くか!」
「…どこへ?」
「あん、あいつんとこに決まってんだろ」
「どこにいるのか分かるのかい?」
「んなもん、 こいつに聞きゃいいだろ。な!」
指差された少年は、様子を変えることもなく静かに口を開いた。
『それで、本当にいいんだね?』
「おうよ!」
最後まで制止しようとしていたアーロンとブラスカの声を振り切って、ジェクトはバハムートと共にその身を舞い上がらせた。
2つの幻光虫は縺れ合うように昇っていく。
その様子を見つめていた目の端に、また幾つかの幻光虫が映りこんだ。
「!! あんたたち…」
『ラフテル、私たちも、行きます』
『我々も同罪だ』
『最後のケジメはつけるわ』
『数多の報われぬ魂を背負った覚悟、わしも見習わねばの』
『フム、代価を支払う時がきたようだ』
→
22,Apr,2012
スピラからこっちの世界へ来てから、ジェクトには全部話した。
ジェクトや彼の息子がどういう存在であったのか、なぜその息子はここにいないのか、どうやってスピラへ渡ったのか…
彼がそれをどこまで信用して、どこまで理解したのかなんて分からないけど、知っておくべきだと思ったから。
黙って話を聞いていたジェクトが、徐に切り出した。
「あいつはよ、可愛そうな奴だ」
「ジェクト…?」
「貴様、何を言って…」
「あいつは、シンを仇として倒すことが夢だった。だが、それは叶わなかった。 …ならよ、その夢が叶えられたらあいつはゆっくり眠れる。そうだろ?」
「…それは…」
「ジェクト、何するつもり?」
嫌な予感が走った。
「ジェクト! 貴様、まさかまた1人で犠牲になるつもりか!」
アーロンの口調があの時のものに戻ってしまっている。
本人はそのことに気付いてすらいないのだろう。
「おいおい、犠牲とは心外だな。 …あいつの夢は、シンを倒すことだ。 そしてシンは、 ……ここにいる」
「!!!」
「ジェクト!何を考えているんだ!」
「俺があいつを連れて行く」
「………」
「バカな考えはやめろ!!どうなるのかわかっているのか!?」
必死に止めようとするアーロンと、何も言わないブラスカ。
これじゃまるで、あの時の光景そのままではないか。
またこんな場面を見ることになるなんて…
祈り子たちですら、彼が口に出したその考えにただ驚いていた。
どうして、いつもいつもこう、あっさりと決断してしまえるのだろうか。
あの時、ユウナレスカと対峙したときも、ジェクトは自ら進んで名乗りを挙げた。
そうすることが当然のように。
彼がこう言い出したら、もう止めても無駄だろう。
そう簡単に考えを覆すような男ではないことはよく分かっている。
その真っ直ぐな心意気が眩しく思えた。
…ずっとそうだったのだろう。
あの時も、私たちは必死で彼を止めた。それでも彼の考えは変わらなかった。
「まあ、俺様がそんなに簡単に消えるわけねぇけどな!わーはっはっはっはっ!!」
豪快に上げるあまり上品とは言い難いジェクトの笑い声が、暗い世界に響き渡る。
もう、誰も彼を止めることはできないのだろう。
「そうと決まったら、さっさと行くか!」
「…どこへ?」
「あん、あいつんとこに決まってんだろ」
「どこにいるのか分かるのかい?」
「んなもん、 こいつに聞きゃいいだろ。な!」
指差された少年は、様子を変えることもなく静かに口を開いた。
『それで、本当にいいんだね?』
「おうよ!」
最後まで制止しようとしていたアーロンとブラスカの声を振り切って、ジェクトはバハムートと共にその身を舞い上がらせた。
2つの幻光虫は縺れ合うように昇っていく。
その様子を見つめていた目の端に、また幾つかの幻光虫が映りこんだ。
「!! あんたたち…」
『ラフテル、私たちも、行きます』
『我々も同罪だ』
『最後のケジメはつけるわ』
『数多の報われぬ魂を背負った覚悟、わしも見習わねばの』
『フム、代価を支払う時がきたようだ』
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22,Apr,2012