第7章【難しい戦い】
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『10年、会えなかった時間がアーロンをあんなにも変えてしまったことが受け入れられないんだ、君は』
『なんでえ、ちっちぇえなぁ、おい』
「私がアーロンと過ごした、共にいた時間は短い。…ほんの、数年だけ。その間に何があったのかなんて、話を聞くことでしか知ることが出来ない。
どこまでが本当で、本当は何があったのか、彼がどんな風に過ごしてきたのか、自分の目で見た物しか信じられないのは当然だ」
『過ごした時間の長さだけが重要なのかい?』
「!!」
『旅をした日々は確かに短ぇよ。だけどなラフテル、それを、忘れられんのかよ。なかったことにすんのかよ!違ぇだろ…』
『私がよく知るアーロンは、あの若い姿』
『俺様がよく知るのは、あの老けたほうな』
「………」
『私たちの記憶の中に存在する彼は、確かに違う姿かもしれない。でも、その魂はたった1つ。君に君の君だけの魂が存在するように、彼にもたった1つ彼だけの魂がある。今、アーロンの心を震わせているのは、君なんだよ、ラフテル』
『ラフテルよう、お前はあの堅物の姿形に惚れたわけじゃねぇんだろ』
「…そ、それは…」
『君の心を震わせているのは、どちらかなんて迷う必要は無いはずだよ』
『お前がこの世界に留まっているのはなんでなのか、もっぺんちゃんと考えてみるんだな』
「…ブラスカ、ジェクト……」
男達の短い呻き声で我に返る。
辺りの様子を見れば、一瞬の出来事だったことが分かる。
時間にしてほんの一瞬。
だが、確かに声を聞いた。
その当の声の主は、自分たちがいるところから少し距離を置いたところいた。
いつの間にかジェクトは人間のときの姿に戻り、ブラスカと何か話しているようだった。
隣にはシーモアとその母親。
男達の微かな声に、再び視線を戻す。
私は今、彼らに何をしたのだ?
「…くっくっくっく」
低い声が微かに笑い声を上げた。
「…これだ。この力だ、ラフテル」
「……?」
「その力を、俺の為に使え、ラフテル。…さあ、来い!」
ゆっくりと立ち上がりながら、若い姿のアーロンが私に向かって手を差し伸べてきた。
この声にも、姿にも、私はもう惑わされない。
この男の魂は、違う。
…愚かだったのだ、私は。
見た目に、仕草に騙されて、自分の愚かな幼稚な想いを利用されてしまった。
私はもう、迷わない。
「…アーロン」
「ラフテル…」
駆け寄った相手は、たった1つの力強い瞳で私を見つめる。
「…言ったはずだ、ラフテル」
「?」
「お前の時間は、俺のものだと」
「!!」
先程の一瞬の間の中でブラスカが私にかけた言葉の一端。
“心が震える”
その意味を瞬時に理解した。
私にその言葉を言ったのは、ただ1人だけ。
あの時、ブラスカやジェクトと共にシンを倒した時の記憶しかない、若い姿のアーロンは知らないこと。
自分が何を迷っていたのか急にバカらしく思えてくる。
自分自身の気持ちの迷いが情けなくなる。
「…アーロン、……ごめん」
→
14,Mar,2012
『10年、会えなかった時間がアーロンをあんなにも変えてしまったことが受け入れられないんだ、君は』
『なんでえ、ちっちぇえなぁ、おい』
「私がアーロンと過ごした、共にいた時間は短い。…ほんの、数年だけ。その間に何があったのかなんて、話を聞くことでしか知ることが出来ない。
どこまでが本当で、本当は何があったのか、彼がどんな風に過ごしてきたのか、自分の目で見た物しか信じられないのは当然だ」
『過ごした時間の長さだけが重要なのかい?』
「!!」
『旅をした日々は確かに短ぇよ。だけどなラフテル、それを、忘れられんのかよ。なかったことにすんのかよ!違ぇだろ…』
『私がよく知るアーロンは、あの若い姿』
『俺様がよく知るのは、あの老けたほうな』
「………」
『私たちの記憶の中に存在する彼は、確かに違う姿かもしれない。でも、その魂はたった1つ。君に君の君だけの魂が存在するように、彼にもたった1つ彼だけの魂がある。今、アーロンの心を震わせているのは、君なんだよ、ラフテル』
『ラフテルよう、お前はあの堅物の姿形に惚れたわけじゃねぇんだろ』
「…そ、それは…」
『君の心を震わせているのは、どちらかなんて迷う必要は無いはずだよ』
『お前がこの世界に留まっているのはなんでなのか、もっぺんちゃんと考えてみるんだな』
「…ブラスカ、ジェクト……」
男達の短い呻き声で我に返る。
辺りの様子を見れば、一瞬の出来事だったことが分かる。
時間にしてほんの一瞬。
だが、確かに声を聞いた。
その当の声の主は、自分たちがいるところから少し距離を置いたところいた。
いつの間にかジェクトは人間のときの姿に戻り、ブラスカと何か話しているようだった。
隣にはシーモアとその母親。
男達の微かな声に、再び視線を戻す。
私は今、彼らに何をしたのだ?
「…くっくっくっく」
低い声が微かに笑い声を上げた。
「…これだ。この力だ、ラフテル」
「……?」
「その力を、俺の為に使え、ラフテル。…さあ、来い!」
ゆっくりと立ち上がりながら、若い姿のアーロンが私に向かって手を差し伸べてきた。
この声にも、姿にも、私はもう惑わされない。
この男の魂は、違う。
…愚かだったのだ、私は。
見た目に、仕草に騙されて、自分の愚かな幼稚な想いを利用されてしまった。
私はもう、迷わない。
「…アーロン」
「ラフテル…」
駆け寄った相手は、たった1つの力強い瞳で私を見つめる。
「…言ったはずだ、ラフテル」
「?」
「お前の時間は、俺のものだと」
「!!」
先程の一瞬の間の中でブラスカが私にかけた言葉の一端。
“心が震える”
その意味を瞬時に理解した。
私にその言葉を言ったのは、ただ1人だけ。
あの時、ブラスカやジェクトと共にシンを倒した時の記憶しかない、若い姿のアーロンは知らないこと。
自分が何を迷っていたのか急にバカらしく思えてくる。
自分自身の気持ちの迷いが情けなくなる。
「…アーロン、……ごめん」
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14,Mar,2012