第7章【難しい戦い】
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ふいに巨大な覇気が空気を割って私達の間を吹き抜けた。
同時に響く、魔物の咆哮。
はっとして目を向けた先には、またも巨大な魔物と、召喚獣となったジェクト。
と、その奥には禍々しい気を放っている、闇の召喚獣アニマ。
先程から一体どれだけの魔物と対峙しているだろうか?
彼らにも限界がある。
時間を大分無駄にしてしまったようだ。
アーロンに目配せをして、走った。
ブラスカとジェクトが向かっていった場所へ。
でかい魔物と召喚獣が戦い、地を揺らしているその場所へ。
近づくにつれて確信する。
アニマを召喚した人物の姿を。
ある目的の為に何度も私を欲し、何度も倒されながらも立ちはだかった男。
私と魂の共有をした人物の息子。
死してなお、その目的を果たそうと私たちの前に現れた。
彼を諭し、この異界へ送ったはずだ。
なぜここにあの男がいるのかなんてわからないが、そんなことは今は関係ない。
私の目には、若いアーロンの姿しか見えなくなっていた。
片手を振り上げて、次々と魔物を生み出しているその姿は、グアド族が魔物を召喚する様子によく似ていた。
違和感があるとすれば、それが若いアーロンの姿をしているということ。
「そこまでだ!!」
私の声に、振り上げた手をぴたりと止めて、奴は私達のほうをゆっくりと振り仰ぐ。
その目は狂気に憑依れ血走っていた。
私の存在を知ったからか、突然その表情は穏やかになる。
ゆっくりと腕を下ろしながら私達の方へ向き直った。
「…ラフテル」
「!!」
違うと分かっているのに、アーロンは私の隣にいるというのに、どうしても惑わされる。
「…ふん、過去にケリをつけるには、もってこいの姿だな」
私の隣から一歩前に歩み出たアーロンはいつの間にかその肩にいつもの武器を担いでいた。
「ラフテル、こいつは誰だ?」
若い姿のアーロンが、私の隣に立つ男を睨みつけながら問いかける。
「彼が、アーロンだ。…あんたこそ、誰なんだ…」
「何を言っている、ラフテル。アーロンは俺だ」
「違う!!」
私は激しく首を振った。
「アーロンが祈り子に、ジェクトに、…私に、あんなことするはずがない」
若い姿のアーロンが、微笑む。
その顔に、私の心は再び揺れてしまう。
「…ラフテル、なぜ、俺を信じない。お前の隣にいるそいつが、本物だという証拠があるのか?」
「なっ…!」
「……っ!」
スピラからこの世界に一緒に来て、共に過ごして、ずっと見てきたこのアーロンが本物かどうかなど、愚問だ。
「お前は俺に言ったじゃないか。“10年振りに会った”と」
「………」
「10年で、今の俺の姿がそんな風になるなんて、俺は信じない。俺はずっと、もっと幼い頃からお前を見てきた。共に訓練をして、共に旅に出て、共にシンと戦った。…10年間、ずっと一緒にいた俺ではなく、離れていたそいつを信じると言うのか、ラフテル…」
「!!」
思わず、隣に立つ人物を見つめてしまう。
ここにいる、隣にいるこのアーロンがわからなくなってくる。
目の前にいる若い姿のアーロンが口にする言葉で、私は何を信じればいいのかさえ、分からなくなってくる。
→
14,Mar,2012
ふいに巨大な覇気が空気を割って私達の間を吹き抜けた。
同時に響く、魔物の咆哮。
はっとして目を向けた先には、またも巨大な魔物と、召喚獣となったジェクト。
と、その奥には禍々しい気を放っている、闇の召喚獣アニマ。
先程から一体どれだけの魔物と対峙しているだろうか?
彼らにも限界がある。
時間を大分無駄にしてしまったようだ。
アーロンに目配せをして、走った。
ブラスカとジェクトが向かっていった場所へ。
でかい魔物と召喚獣が戦い、地を揺らしているその場所へ。
近づくにつれて確信する。
アニマを召喚した人物の姿を。
ある目的の為に何度も私を欲し、何度も倒されながらも立ちはだかった男。
私と魂の共有をした人物の息子。
死してなお、その目的を果たそうと私たちの前に現れた。
彼を諭し、この異界へ送ったはずだ。
なぜここにあの男がいるのかなんてわからないが、そんなことは今は関係ない。
私の目には、若いアーロンの姿しか見えなくなっていた。
片手を振り上げて、次々と魔物を生み出しているその姿は、グアド族が魔物を召喚する様子によく似ていた。
違和感があるとすれば、それが若いアーロンの姿をしているということ。
「そこまでだ!!」
私の声に、振り上げた手をぴたりと止めて、奴は私達のほうをゆっくりと振り仰ぐ。
その目は狂気に憑依れ血走っていた。
私の存在を知ったからか、突然その表情は穏やかになる。
ゆっくりと腕を下ろしながら私達の方へ向き直った。
「…ラフテル」
「!!」
違うと分かっているのに、アーロンは私の隣にいるというのに、どうしても惑わされる。
「…ふん、過去にケリをつけるには、もってこいの姿だな」
私の隣から一歩前に歩み出たアーロンはいつの間にかその肩にいつもの武器を担いでいた。
「ラフテル、こいつは誰だ?」
若い姿のアーロンが、私の隣に立つ男を睨みつけながら問いかける。
「彼が、アーロンだ。…あんたこそ、誰なんだ…」
「何を言っている、ラフテル。アーロンは俺だ」
「違う!!」
私は激しく首を振った。
「アーロンが祈り子に、ジェクトに、…私に、あんなことするはずがない」
若い姿のアーロンが、微笑む。
その顔に、私の心は再び揺れてしまう。
「…ラフテル、なぜ、俺を信じない。お前の隣にいるそいつが、本物だという証拠があるのか?」
「なっ…!」
「……っ!」
スピラからこの世界に一緒に来て、共に過ごして、ずっと見てきたこのアーロンが本物かどうかなど、愚問だ。
「お前は俺に言ったじゃないか。“10年振りに会った”と」
「………」
「10年で、今の俺の姿がそんな風になるなんて、俺は信じない。俺はずっと、もっと幼い頃からお前を見てきた。共に訓練をして、共に旅に出て、共にシンと戦った。…10年間、ずっと一緒にいた俺ではなく、離れていたそいつを信じると言うのか、ラフテル…」
「!!」
思わず、隣に立つ人物を見つめてしまう。
ここにいる、隣にいるこのアーロンがわからなくなってくる。
目の前にいる若い姿のアーロンが口にする言葉で、私は何を信じればいいのかさえ、分からなくなってくる。
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14,Mar,2012