第6章【心の逆転を】
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幻光虫が次第にヒトの形を作り出していく。
聞こえた声の主はこの人物達、なのか?
現れたのは3人の女性。
私はますます頭の整理が追い付かなくなる。
女性達が私に何事か話しかけていたようにも見えたが、その言葉が聞こえない。
いや、言葉として認識できずにただ呆けてしまっていた。
暖かい淡い癒しの光が私を包み込む。
「!!」
はっと意識を戻した時、彼女達は機嫌を損ねたような顔で踵を返した。
「立てるな?」
アーロンの声で、そう言えば体の痛みが消えていることに気が付いた。
一つ頷いて、何事もなかったかのように立ち上がって見せた。
3人の女性達がジェクトの所へ歩み寄って行くのを目で追いながら訊ねた。
「バハムート、彼女達は?」
「僕と、同じもの、だよ」
…同じ、祈り子か。
「礼を言いそびれてしまった……!! アーロン!」
「なんだ」
「…ブラスカも来てたのか」
未だ横たわったままのジェクトの傍らに跪いている人物を目にとめて、驚嘆の言葉を漏らした。
アーロンからの返事が届く前に耳に飛び込んで来たのは、魔物が上げたであろう、獣の咆哮。
私だけではない。
その場にいた者全ての視線を集める。
その姿に目を見張る。
驚くな、なんて言われたような気がしたが、これが驚かずになんとする。
そこにいたのは紛れもなく、闇の召喚獣アニマ。
その巨体から繰り出される強力な魔力は健在で、2体の魔物に容赦ない攻撃を与えている。
なぜ召喚獣が具現しているのだ。
祈り子の魂を呼び出すことができる召喚士がいなければ…。
先程ブラスカの姿を見たが、彼が?
ジェクトにも私にしてくれたように3人の女性達が回復の魔法をかけている様子が見えたが、ブラスカはずっとジェクトに付き添っていて召喚などできるはずもない。
では、誰が…?
思わず立ち上がったジェクトの元まで駆け寄った。
「ジェクト! ブラスカ!」
「ラフテル!無事だったか!」
「戻ったんだね、ラフテル」
「ジェクト、よかった! ブラスカも来てくれたんだ!」
私達の会話を掻き消すように、獣が再び咆哮をあげる。
はっとして目を向けた先に、見覚えのある後ろ姿。
「俺達もこうしちゃいらんねえ、行くぜブラスカ!」
「勿論だジェクト」
後ろ姿に気を取られて、2人が魔物達の元へ駆け寄って行くのを止めることどころか、声を掛けるタイミングさえ逃してしまった。
思わず挙げた手は行き場をなくし、虚しく元の位置に戻された。
話をしたいと思っただけなのに、今はそれどころじゃないと分かっているのに、妙に寂しく感じられてしまった。
走るジェクトの逞しい背中を見て、こうも高揚するというか、頼り概がある安心して任せられる。
そんな気持ちになる。
そして思い出す。
ジェクトに、顔も知らぬ父親像を重ねていたことを。
私の気持ちを知ってか知らずか、ジェクトが徐にこちらを振り返った。
「デカブツは俺らに任せとけ! おめぇらはちゃんと始末つけろよ!」
「当然だ!」
「!!!」
背後から上がった声にビクリと肩が浮き上がった。
アーロンの言葉に満足したのか、ジェクトは再び踵を返した。
「俺達も、行くとするか。…戦えるか、ラフテル?」
→
14,Mar,2012
幻光虫が次第にヒトの形を作り出していく。
聞こえた声の主はこの人物達、なのか?
現れたのは3人の女性。
私はますます頭の整理が追い付かなくなる。
女性達が私に何事か話しかけていたようにも見えたが、その言葉が聞こえない。
いや、言葉として認識できずにただ呆けてしまっていた。
暖かい淡い癒しの光が私を包み込む。
「!!」
はっと意識を戻した時、彼女達は機嫌を損ねたような顔で踵を返した。
「立てるな?」
アーロンの声で、そう言えば体の痛みが消えていることに気が付いた。
一つ頷いて、何事もなかったかのように立ち上がって見せた。
3人の女性達がジェクトの所へ歩み寄って行くのを目で追いながら訊ねた。
「バハムート、彼女達は?」
「僕と、同じもの、だよ」
…同じ、祈り子か。
「礼を言いそびれてしまった……!! アーロン!」
「なんだ」
「…ブラスカも来てたのか」
未だ横たわったままのジェクトの傍らに跪いている人物を目にとめて、驚嘆の言葉を漏らした。
アーロンからの返事が届く前に耳に飛び込んで来たのは、魔物が上げたであろう、獣の咆哮。
私だけではない。
その場にいた者全ての視線を集める。
その姿に目を見張る。
驚くな、なんて言われたような気がしたが、これが驚かずになんとする。
そこにいたのは紛れもなく、闇の召喚獣アニマ。
その巨体から繰り出される強力な魔力は健在で、2体の魔物に容赦ない攻撃を与えている。
なぜ召喚獣が具現しているのだ。
祈り子の魂を呼び出すことができる召喚士がいなければ…。
先程ブラスカの姿を見たが、彼が?
ジェクトにも私にしてくれたように3人の女性達が回復の魔法をかけている様子が見えたが、ブラスカはずっとジェクトに付き添っていて召喚などできるはずもない。
では、誰が…?
思わず立ち上がったジェクトの元まで駆け寄った。
「ジェクト! ブラスカ!」
「ラフテル!無事だったか!」
「戻ったんだね、ラフテル」
「ジェクト、よかった! ブラスカも来てくれたんだ!」
私達の会話を掻き消すように、獣が再び咆哮をあげる。
はっとして目を向けた先に、見覚えのある後ろ姿。
「俺達もこうしちゃいらんねえ、行くぜブラスカ!」
「勿論だジェクト」
後ろ姿に気を取られて、2人が魔物達の元へ駆け寄って行くのを止めることどころか、声を掛けるタイミングさえ逃してしまった。
思わず挙げた手は行き場をなくし、虚しく元の位置に戻された。
話をしたいと思っただけなのに、今はそれどころじゃないと分かっているのに、妙に寂しく感じられてしまった。
走るジェクトの逞しい背中を見て、こうも高揚するというか、頼り概がある安心して任せられる。
そんな気持ちになる。
そして思い出す。
ジェクトに、顔も知らぬ父親像を重ねていたことを。
私の気持ちを知ってか知らずか、ジェクトが徐にこちらを振り返った。
「デカブツは俺らに任せとけ! おめぇらはちゃんと始末つけろよ!」
「当然だ!」
「!!!」
背後から上がった声にビクリと肩が浮き上がった。
アーロンの言葉に満足したのか、ジェクトは再び踵を返した。
「俺達も、行くとするか。…戦えるか、ラフテル?」
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14,Mar,2012