第6章【心の逆転を】
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「……っ!」
魔物の強烈な一撃がまともに入った。
声を出すこともできずに、私は地に叩きつけられる。
もう何度受けたかも分からない衝撃は、おかしなもので慣れという感覚で括られてくる。
ふとジェクトに視線を移す。
その体が僅かだが、薄らいで見えたような気がした。
ゾワリと背筋に何かが走る。
恐らく久しぶりに感じたであろうその感覚に、嫌な予感を覚える。
変な焦燥感が走る。
時間にして本当にほんの一瞬のことだったのだろう。
ジェクトの様子に気を取られて、私は対峙していた魔物から一瞬だけ気を離してしまった。
魔物は、その一瞬を逃さなかった。
はっとしてそちらを振り仰いだその瞬間、視界に入った魔物の影。
次に感じた、脳がグラリと揺れる感覚。
鈍い、音が聞こえたような気がした。
頭では、動けと命じている。
動く気でいる。
動くのが当然だと思っている。
それなのに、体は、動かない。
動かしたつもりでいるのに、思うように実際に体は、動いてくれない。
「(…おかしいな、動く、はずなのに…、どうして…、なんで動かないんだ……?)」
薄く開いた目に映るのは、横になった世界と、少し離れたところにいる魔物たち。
自分の身に何が起こったのか理解できない。
どうしてこんな体勢になったのか、なぜ今戦っていた魔物たちがあんなに離れたところにいるのか、わからない。
「…ぁ、…はぁ、はぁ、はぁ…はっ、…くっ…!」
頭を持ち上げようとして、身を起こそうとして、すぐに行動を起こせない自分自身に苛付く。
短い呼吸だけが喉の奥から絞り出てくる。
戦うどころか、己の身ひとつ満足に動かすこともできない状況で、これ以上私に何ができるというのだろうか…
己にはもう力は残されていない。
頼るべき人物も、いない。
襲い来る魔物一体まもともに相手することもできない。
…私は、糸の切れた操り人形のように、心の糸までも切れてしまっていたのかもしれない。
必死に留めようとしていた意識が、次第に薄れていく。
駄目だ駄目だと頑なに抵抗していた瞼が、重くなってくる。
私はここで意識を手放してしまうわけには行かない。
私自身もそうだが、実体が薄らいできているジェクトは、このまま幻光虫を吸い取られ続ければ、やがて消えてしまうだろう。
そんなことは、絶対にさせられない。
だが、気持ちとは裏腹に、身体は言うことを聞いてくれない。
気持ちが、強い心が無ければ身体は伴わない。
どうにもならない状況で、私は、どこかで諦めてしまっていた。
→
18,Jan,2012
「……っ!」
魔物の強烈な一撃がまともに入った。
声を出すこともできずに、私は地に叩きつけられる。
もう何度受けたかも分からない衝撃は、おかしなもので慣れという感覚で括られてくる。
ふとジェクトに視線を移す。
その体が僅かだが、薄らいで見えたような気がした。
ゾワリと背筋に何かが走る。
恐らく久しぶりに感じたであろうその感覚に、嫌な予感を覚える。
変な焦燥感が走る。
時間にして本当にほんの一瞬のことだったのだろう。
ジェクトの様子に気を取られて、私は対峙していた魔物から一瞬だけ気を離してしまった。
魔物は、その一瞬を逃さなかった。
はっとしてそちらを振り仰いだその瞬間、視界に入った魔物の影。
次に感じた、脳がグラリと揺れる感覚。
鈍い、音が聞こえたような気がした。
頭では、動けと命じている。
動く気でいる。
動くのが当然だと思っている。
それなのに、体は、動かない。
動かしたつもりでいるのに、思うように実際に体は、動いてくれない。
「(…おかしいな、動く、はずなのに…、どうして…、なんで動かないんだ……?)」
薄く開いた目に映るのは、横になった世界と、少し離れたところにいる魔物たち。
自分の身に何が起こったのか理解できない。
どうしてこんな体勢になったのか、なぜ今戦っていた魔物たちがあんなに離れたところにいるのか、わからない。
「…ぁ、…はぁ、はぁ、はぁ…はっ、…くっ…!」
頭を持ち上げようとして、身を起こそうとして、すぐに行動を起こせない自分自身に苛付く。
短い呼吸だけが喉の奥から絞り出てくる。
戦うどころか、己の身ひとつ満足に動かすこともできない状況で、これ以上私に何ができるというのだろうか…
己にはもう力は残されていない。
頼るべき人物も、いない。
襲い来る魔物一体まもともに相手することもできない。
…私は、糸の切れた操り人形のように、心の糸までも切れてしまっていたのかもしれない。
必死に留めようとしていた意識が、次第に薄れていく。
駄目だ駄目だと頑なに抵抗していた瞼が、重くなってくる。
私はここで意識を手放してしまうわけには行かない。
私自身もそうだが、実体が薄らいできているジェクトは、このまま幻光虫を吸い取られ続ければ、やがて消えてしまうだろう。
そんなことは、絶対にさせられない。
だが、気持ちとは裏腹に、身体は言うことを聞いてくれない。
気持ちが、強い心が無ければ身体は伴わない。
どうにもならない状況で、私は、どこかで諦めてしまっていた。
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18,Jan,2012