第5章【気持ちと心の変化】
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=35=
やばいと思った。
身の危険を感じた。
もう、とっくに命は無い死んでいる身だったとしても、これがどんなに危ない状況なのかわかった。
このままでは、私たちは魂までをも消滅させられてしまう。
魂が消えたら、私は死人としてどころか、幻光虫になることさえできなくなる。
死を、怖いと思った。
本気で恐ろしいと感じた。
まだ命があったあの頃にも感じなかった、死への恐怖。
あの頃は、死に対して憧れに近いものさえ持っていたと思う。
大切だと思っていた人物はことごとく命を落とし、自分一人だけが生きている。
早く死にたいと思ったわけではない。
だが、死を怖いとは思わなかった。
命を落とすことを、人生の一部くらいにしか考えていなかったように思う。
それなのに、……死が、恐ろしくて、堪らない…
アーロンはその場を動かない。
ただ薄い笑みを口元に浮かべて私を見つめているだけ。
彼の背後に現れた巨大な醜い魔物2体が、地に伏している私たちをバカにするように見下ろしてゆっくりと近づいてくる。
足を進める度に身に感じる、大きな振動。
2体分のそれは私に与える恐怖を更に増幅させていく。
私は、縋る様に動かないジェクトに身を寄せた。
そして名を繰り返す。
助けて欲しいと、力になって欲しいと、願いながら。
血を流している私の体はもう、まともに動くことはできないだろう。
この男に散々殴られ、幻光虫を吸い取られ、それ以前にジェクトと激しい戦闘を繰り広げた直後なのだ。
私に残っている力なんて高が知れている。
それでも向かってくる敵に立ち向かわなくてはならない。
…この世界に、残るために…
存在していられる為に…!
己自身の力の限界は分かっている。
そんな限界なんて、もうとうに超えてしまっている。
横たわったまま、動きの無いジェクトを守るように、私は1本だけの小太刀を握り締め、残り少ない魔力をかき集め、魔物と対峙する。
巨大な魔物を相手にする。
もし私の体が万全であったとしても、たった一人でこの巨大な魔物を2体同時に相手にするのは難しいだろう。
泣きたくなった……
いい歳をして、こんな状況にあって…
逃げたいと思った。
心の中で、助けを求めていた。
必死に、その名を呼んだ。
そんなこと、できるわけがないのに、有り得ない事なのに……!
現実から、今のこの状況から逃れたいと本気で思って、そして叫んでいた。
…その、名前を。
→第6章
17,dec,2011
やばいと思った。
身の危険を感じた。
もう、とっくに命は無い死んでいる身だったとしても、これがどんなに危ない状況なのかわかった。
このままでは、私たちは魂までをも消滅させられてしまう。
魂が消えたら、私は死人としてどころか、幻光虫になることさえできなくなる。
死を、怖いと思った。
本気で恐ろしいと感じた。
まだ命があったあの頃にも感じなかった、死への恐怖。
あの頃は、死に対して憧れに近いものさえ持っていたと思う。
大切だと思っていた人物はことごとく命を落とし、自分一人だけが生きている。
早く死にたいと思ったわけではない。
だが、死を怖いとは思わなかった。
命を落とすことを、人生の一部くらいにしか考えていなかったように思う。
それなのに、……死が、恐ろしくて、堪らない…
アーロンはその場を動かない。
ただ薄い笑みを口元に浮かべて私を見つめているだけ。
彼の背後に現れた巨大な醜い魔物2体が、地に伏している私たちをバカにするように見下ろしてゆっくりと近づいてくる。
足を進める度に身に感じる、大きな振動。
2体分のそれは私に与える恐怖を更に増幅させていく。
私は、縋る様に動かないジェクトに身を寄せた。
そして名を繰り返す。
助けて欲しいと、力になって欲しいと、願いながら。
血を流している私の体はもう、まともに動くことはできないだろう。
この男に散々殴られ、幻光虫を吸い取られ、それ以前にジェクトと激しい戦闘を繰り広げた直後なのだ。
私に残っている力なんて高が知れている。
それでも向かってくる敵に立ち向かわなくてはならない。
…この世界に、残るために…
存在していられる為に…!
己自身の力の限界は分かっている。
そんな限界なんて、もうとうに超えてしまっている。
横たわったまま、動きの無いジェクトを守るように、私は1本だけの小太刀を握り締め、残り少ない魔力をかき集め、魔物と対峙する。
巨大な魔物を相手にする。
もし私の体が万全であったとしても、たった一人でこの巨大な魔物を2体同時に相手にするのは難しいだろう。
泣きたくなった……
いい歳をして、こんな状況にあって…
逃げたいと思った。
心の中で、助けを求めていた。
必死に、その名を呼んだ。
そんなこと、できるわけがないのに、有り得ない事なのに……!
現実から、今のこの状況から逃れたいと本気で思って、そして叫んでいた。
…その、名前を。
→第6章
17,dec,2011