第4章【不可思議な世界】
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彼が、目の前まで近づいた。
危険な存在だと、認識している。
近づいてはダメだと、心の中で叫んでいる。
…あぁ、なのに、なんだろう、この安心感は。
私の肩に触れる彼の両手が、私を見つめる優しい2つの瞳が、彼を彼だと思わせる思考が、全てが私を包み込む。
彼に触れられることを拒絶するどころか、全てを受け入れてしまっている自分を、自分の中のもう一人の私が見つめているような気分。
「…あ、アーロン…… っっ!!… …ん、んんっ! …ん!!」
突然体全部を包み込むように抱きしめられたかと思うと、いつものように前触れも無い激しい口付けが与えられる。
でも、もう、いつの間にかこれにも慣れてしまったのかもしれない。
これが、彼なのだと証明できる決定的な行動。
熱い…… この熱は、何度与えられても慣れることはなく、そしてもっと欲してしまう私の欲。
漏れる吐息と共に出る微かな声が鼻から抜けていく。
口の中は別の生き物が既に支配してしまっていて、私の口の中の生き物を犯していく。
次第に抜けていく頭の中のもやもやと、体中の力。
彼の背中に回した手でぎゅっとその部分の服を握り締める。
突然、口の中にそれまでの感覚と全く違うものが入り込んできた。
それと同時にアーロンは私を抱きしめていた力を抜いて私を解放する。
頭の中でおぞましい声が響きだした。
同時に激しい苦痛に襲われる。
「…う、…うう、…うぁ、……あ、ああぁっ、……ああっっ!! うわあああっっ!!!」
「クククク…、さあラフテル、素直になれ。自分の心を偽るな。心を、精神を解放するんだ。苦しみから抜け出すにはそうするしかないぞ。
抵抗するな。反発すればするほど、そいつはお前を飲み込んでいく」
「…なんだ、何をしたんだ…?」
自身も苦しみに苛まれているというのに、ジェクトは疑問符を浮かべながらアーロンを睨み付ける。
「…そうか、お前が…」
「?」
「お前は特別な存在だ。この世界の祈り子たちの夢の中で生まれ、夢であるにも関わらずこの世界で具現化し、さらに祈り子とまでなった存在」
「…な、なんだ、何を言っている? …夢?」
「お前は己自身がどこでどんな風に生まれたのかも知らんのか。…哀れだな」
「…くっ…、何を言ってやがる…!」
「まだ、抵抗するのか。…ほう、これだけ蹂躙されて、まだその意識を保っていられるとはな」
「…うっ、っっ!!」
ジェクトとアーロンが話をしている。
声が微かに聞こえてくる。
酷く痛む、苦しい頭を抱えながら、自分の中で暴れている何かの存在に気付いていた。
『苦しい、痛い、やめろ…。頭の中をかき回すのはやめてくれ! …何を、何を言っているんだ? 何をしようとしているんだ…?
やめろ……。 私の体を勝手に使うな!!』
体が、動く。
私の意志ではない。
私は私が起す行動を私自身の頭の中から見ているような感覚だ。
『…!!』
それは本当に気分のいいものではない。
酷い苦しみと悲しみ、痛みと怒りと、憎しみと絶望…
泣き叫び、苦しみ悶え、耐え切れなくなって思わず上げるような絶叫が私の頭の中で響き渡っている。
自分で出す声すらも聞こえない。
なのに、傍にいる若い姿のアーロンや同じように苦しんでいるジェクトの声だけは聞こえている。
「クククク…」
喉の奥を震わせて悦んでいるような笑い声が癪に障る。
こちらはなにをされたかもわからず、この苦しみに耐えているというのに、どうして笑っていられるのか。
『憎しみや悲しみに支配された心ほど、支配するのは容易い』
「!?」
こいつが、アーロンがそんな言葉を口にするなんて思ってもいなかった。
…アーロンじゃない。
だが、まだどこかで同じ人物だという心理が働いているのだろう。
私がよく知るアーロンならば決して口にすることの無い言葉に、愕然とした。
→
23,oct,2011
彼が、目の前まで近づいた。
危険な存在だと、認識している。
近づいてはダメだと、心の中で叫んでいる。
…あぁ、なのに、なんだろう、この安心感は。
私の肩に触れる彼の両手が、私を見つめる優しい2つの瞳が、彼を彼だと思わせる思考が、全てが私を包み込む。
彼に触れられることを拒絶するどころか、全てを受け入れてしまっている自分を、自分の中のもう一人の私が見つめているような気分。
「…あ、アーロン…… っっ!!… …ん、んんっ! …ん!!」
突然体全部を包み込むように抱きしめられたかと思うと、いつものように前触れも無い激しい口付けが与えられる。
でも、もう、いつの間にかこれにも慣れてしまったのかもしれない。
これが、彼なのだと証明できる決定的な行動。
熱い…… この熱は、何度与えられても慣れることはなく、そしてもっと欲してしまう私の欲。
漏れる吐息と共に出る微かな声が鼻から抜けていく。
口の中は別の生き物が既に支配してしまっていて、私の口の中の生き物を犯していく。
次第に抜けていく頭の中のもやもやと、体中の力。
彼の背中に回した手でぎゅっとその部分の服を握り締める。
突然、口の中にそれまでの感覚と全く違うものが入り込んできた。
それと同時にアーロンは私を抱きしめていた力を抜いて私を解放する。
頭の中でおぞましい声が響きだした。
同時に激しい苦痛に襲われる。
「…う、…うう、…うぁ、……あ、ああぁっ、……ああっっ!! うわあああっっ!!!」
「クククク…、さあラフテル、素直になれ。自分の心を偽るな。心を、精神を解放するんだ。苦しみから抜け出すにはそうするしかないぞ。
抵抗するな。反発すればするほど、そいつはお前を飲み込んでいく」
「…なんだ、何をしたんだ…?」
自身も苦しみに苛まれているというのに、ジェクトは疑問符を浮かべながらアーロンを睨み付ける。
「…そうか、お前が…」
「?」
「お前は特別な存在だ。この世界の祈り子たちの夢の中で生まれ、夢であるにも関わらずこの世界で具現化し、さらに祈り子とまでなった存在」
「…な、なんだ、何を言っている? …夢?」
「お前は己自身がどこでどんな風に生まれたのかも知らんのか。…哀れだな」
「…くっ…、何を言ってやがる…!」
「まだ、抵抗するのか。…ほう、これだけ蹂躙されて、まだその意識を保っていられるとはな」
「…うっ、っっ!!」
ジェクトとアーロンが話をしている。
声が微かに聞こえてくる。
酷く痛む、苦しい頭を抱えながら、自分の中で暴れている何かの存在に気付いていた。
『苦しい、痛い、やめろ…。頭の中をかき回すのはやめてくれ! …何を、何を言っているんだ? 何をしようとしているんだ…?
やめろ……。 私の体を勝手に使うな!!』
体が、動く。
私の意志ではない。
私は私が起す行動を私自身の頭の中から見ているような感覚だ。
『…!!』
それは本当に気分のいいものではない。
酷い苦しみと悲しみ、痛みと怒りと、憎しみと絶望…
泣き叫び、苦しみ悶え、耐え切れなくなって思わず上げるような絶叫が私の頭の中で響き渡っている。
自分で出す声すらも聞こえない。
なのに、傍にいる若い姿のアーロンや同じように苦しんでいるジェクトの声だけは聞こえている。
「クククク…」
喉の奥を震わせて悦んでいるような笑い声が癪に障る。
こちらはなにをされたかもわからず、この苦しみに耐えているというのに、どうして笑っていられるのか。
『憎しみや悲しみに支配された心ほど、支配するのは容易い』
「!?」
こいつが、アーロンがそんな言葉を口にするなんて思ってもいなかった。
…アーロンじゃない。
だが、まだどこかで同じ人物だという心理が働いているのだろう。
私がよく知るアーロンならば決して口にすることの無い言葉に、愕然とした。
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23,oct,2011