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第4章【不可思議な世界】

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ふと背中に温かいものが当てられた感触を覚えて振り返る。

「……ジスカル…?」

幻光虫が纏わり付くように飛び回る中に立っていたのは、かつてのベベルの老師だった。
そして、私の中の祈り子。

「…あ、ジスカルは、無事なんだな…?」
ラフテル、…わしの意識を開放してくれんか』
「なっ! そ、そんなことをしたら、他の皆と同じに…!」
『それでいいのだ。これ以上お前を苦しめる訳には、いかん』
「………」
ラフテル…』
「……ダメだ」
『なんだと…』
「ダメだ!! ジスカルまで失うわけにはいかない。やつらはあなたの存在に気付いていない。このまま私の中に……」
『しかし、それではお前が…』
「私は! ……私は、大丈夫。だから、お願いだジスカル。まだ……」



『……わかった』

返事が返ってくるまで随分長い時間が過ぎたように感じた。
たった一言を発するまでに、随分と悩んで考えたことだろう。
寂しそうに、辛そうに薄い笑みを微かに浮かべ、ジスカルは幻光虫の1つとなって私の中へと吸い込まれていった。
私は再び祈り子の影と向き合う。
しかし、もうそこは何も無い、誰もいないただ暗い闇が広がっているだけの空間。
まるで助けを求めるように私に縋ってきた彼らを、私はどうしてやることもできないまま、いなくなってしまったその姿だけを思い浮かべた。

「…ごめん、みんな。……助けられなくて、……ごめん…」






『……… …ラフテル…』

「……!?」

ラフテル、おい!!しっかりしろ!」

頬を軽く叩かれる感覚に意識を戻す。
聞こえた声に反応してその人物の名を口にする。

「…ジェクト…?」
「気ぃついたか。大丈夫か?」

開いた目に飛び込んできたのは、よく見知った顔。
心配そうに覗き込んでいる髭面の男。
私が目を覚ましたことに安堵したのか、体を起こしてその場に片膝を着く。

「うん、大丈夫だ」
「…はあぁ、なら、よかった。……」

心の底から安堵したというように、ジェクトは深い溜息を小さな笑みと共に零した。

「ずっと目ェ覚まさねーし、なんか魘されてうわ言言ってるしよ、どうしようかと思っちまったぜ」
「…ずっと…? 私、どのくらい眠ってたんだ…?」
「さあな、正確な時間まではわかんねーよ。ブラスカじゃあるめーし。…オレも半分意識持ってかれちまってたしな」

どこか拗ねてしまったように私から目を逸らして宙を眺める。
だが、そんな仕草がやっぱりいつものジェクトらしくて、安心してしまう。

「…ジェクト、だよな…?」
「さっきは、悪かった。なんとか止めようとしたんだがよ、…こう、なんか黒い煙みてーなもんが頭ん中にぶわ~ってなっちまって、そんで…」
「もう、いいよジェクト。…ジェクトは、抗ってくれたんだな」
「お、おう」
「もう、今は平気なのか?」
「…あんまし平気じゃねえな。またいつ、あいつに好きにされるかわかんねえんだ」

「……あいつ…?」







14,oct,2011
2/7ページ
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