第4章【不可思議な世界】
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真っ暗な闇の中…
地表の下の異界の暗い世界から落ちて、もっともっとこの下へ行ったら、そこは一体どうなっているのだろう。
夢うつつのままのぼんやりとしたままの頭でそっと目を開く。
飛び込んできたのはいくつかの人影。
人の形をして、そこに存在している、そこにあると分かるのに、その姿は真っ黒で顔の判別はできない。
それは私の姿を目にした途端、こちらに向かってくる。
これが危険なものなのか、それともここから私を助け出そうとしているものなのか分からない。
その中の小さな子供ほどの影が私の目の前まで来て歩みを止める。
顔の部分の影が僅かに薄れて影に包まれた正体がチラリと見えた。
目深にフードをかぶった、よく見知った少年。
「!!」
その後ろに続く幾人かの影たちも、一瞬晴れた影の隙間から覗いた顔は見覚えのあるもの。
その中にはジスカルの妻の姿もあった。
これは、いなくなった祈り子たち。
必死に私に何かを訴えかけようとしているようだが、彼らが何を言っているのか言葉が聞き取れない。
苦しそうに影から抜け出ようとしている様子は見ていて分かった。
だがそれを私がどうしたらいいのか、私には分からない。
回復の魔法?
破邪の魔法?
それとも治療?
見ようによっては呪いを受けたようにも見えるが、それにしてはこの影は濃すぎる。
顔の判別ができなくなるほどのものなど、見たことが無い。
下手に魔法を放って彼らをもっと苦しめることになったらそれこそ意味は無い。
少年が、女性が、老人が、私に見せる顔はどれも苦痛に歪んでいる。
それを見せられて、私は何もできない。
何も助けてやることができない。
私は彼らに何をしてやればいいのだ。
どうやったら彼らを救うことができるというのだ。
「……ぁ、……ぅ ……」
何か言葉を発しているようだが、それを聞き取ることはできない。
「…あ、ああ…、私、どうすれば……」
私に伸ばされた手を掴もうとする。
しかしそれは空気を掴むような感覚で、私には彼らの手をとることもできない。
彼らを掴もうと伸ばした手は虚しく彼らの体をすり抜けるだけ。
そうしているうちに、ふいに水面に立つ波紋のようなものが彼らの足元に浮かび上がる。
赤黒く光ってさえ見える不気味な色をしたその闇の塊は、影に包まれた祈り子たちを地に飲み込んでいく。
ずぶずぶと音さえ聞こえてくる闇の動きがおぞましくて憎らしい。
助けたくても祈り子の体に触れることさえできない私にはどうしようもない。
目の前で苦しんでいる友を助けることもできない。
自分自身の力の無さに歯痒さを通り越して情けなくすらなってくる。
どうしようもないやり切れない気持ちが溢れて弾けて、私はその場に崩れ落ちた。
涙と一緒に叫び声が零れる。
悲鳴のような悲痛な叫びは、何も無い空間に吸い込まれていくだけ。
もうとっくに闇に飲み込まれて姿の無くなった祈り子たちが立っていた場所を掻き毟った。
気が触れたおかしくなった人間のように…
→
6,oct,2011
真っ暗な闇の中…
地表の下の異界の暗い世界から落ちて、もっともっとこの下へ行ったら、そこは一体どうなっているのだろう。
夢うつつのままのぼんやりとしたままの頭でそっと目を開く。
飛び込んできたのはいくつかの人影。
人の形をして、そこに存在している、そこにあると分かるのに、その姿は真っ黒で顔の判別はできない。
それは私の姿を目にした途端、こちらに向かってくる。
これが危険なものなのか、それともここから私を助け出そうとしているものなのか分からない。
その中の小さな子供ほどの影が私の目の前まで来て歩みを止める。
顔の部分の影が僅かに薄れて影に包まれた正体がチラリと見えた。
目深にフードをかぶった、よく見知った少年。
「!!」
その後ろに続く幾人かの影たちも、一瞬晴れた影の隙間から覗いた顔は見覚えのあるもの。
その中にはジスカルの妻の姿もあった。
これは、いなくなった祈り子たち。
必死に私に何かを訴えかけようとしているようだが、彼らが何を言っているのか言葉が聞き取れない。
苦しそうに影から抜け出ようとしている様子は見ていて分かった。
だがそれを私がどうしたらいいのか、私には分からない。
回復の魔法?
破邪の魔法?
それとも治療?
見ようによっては呪いを受けたようにも見えるが、それにしてはこの影は濃すぎる。
顔の判別ができなくなるほどのものなど、見たことが無い。
下手に魔法を放って彼らをもっと苦しめることになったらそれこそ意味は無い。
少年が、女性が、老人が、私に見せる顔はどれも苦痛に歪んでいる。
それを見せられて、私は何もできない。
何も助けてやることができない。
私は彼らに何をしてやればいいのだ。
どうやったら彼らを救うことができるというのだ。
「……ぁ、……ぅ ……」
何か言葉を発しているようだが、それを聞き取ることはできない。
「…あ、ああ…、私、どうすれば……」
私に伸ばされた手を掴もうとする。
しかしそれは空気を掴むような感覚で、私には彼らの手をとることもできない。
彼らを掴もうと伸ばした手は虚しく彼らの体をすり抜けるだけ。
そうしているうちに、ふいに水面に立つ波紋のようなものが彼らの足元に浮かび上がる。
赤黒く光ってさえ見える不気味な色をしたその闇の塊は、影に包まれた祈り子たちを地に飲み込んでいく。
ずぶずぶと音さえ聞こえてくる闇の動きがおぞましくて憎らしい。
助けたくても祈り子の体に触れることさえできない私にはどうしようもない。
目の前で苦しんでいる友を助けることもできない。
自分自身の力の無さに歯痒さを通り越して情けなくすらなってくる。
どうしようもないやり切れない気持ちが溢れて弾けて、私はその場に崩れ落ちた。
涙と一緒に叫び声が零れる。
悲鳴のような悲痛な叫びは、何も無い空間に吸い込まれていくだけ。
もうとっくに闇に飲み込まれて姿の無くなった祈り子たちが立っていた場所を掻き毟った。
気が触れたおかしくなった人間のように…
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6,oct,2011