第3章【何かがおかしい】
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=21=
戦いたくない。戦えない…
また……。
ジェクトと戦うなんて、嫌だ。できない。
思い出す、あの日。
最後の日。
私の攻撃を受けてジェクトが僅かによろめく。
咄嗟に体勢を立て直して距離を取る。
距離を開けたことで、視界が大きく広がった。
そして目の端に写った赤い影。
いつからそこにいたのだろうか。
私達の戦いをじっと見守るように見つめている人物がいた。
紛れも無い、それは若い姿のアーロン。
片手に構えた太刀をいつものように肩に担いだ姿勢のまま、じっとこちらを見つめ続けていた。
「…アーロン」
私の呟きに、ゆっくりと足をこちらに進めてきた。
私がジェクトから取った距離と同じだけの距離で立ち止まる。
その姿は当然ジェクトにも捉えられる。
体勢を立て直したジェクトがそちらを振り返って微かに動揺を見せた。
「…あ、……アー、ロン…?」
たった今まで私に向けていた、ジェクトの痛いほどの覇気がアーロンの登場によって途端に立ち消えた。
いつもの柔らかい空気を纏ったジェクトの気配だけがすぐ側で感じられる。
そこに現れた人物を見て、驚かないわけは無い。
「ジェクト、…あ、これは……」
「…ラフテル、……お、俺に…、近づく、んじゃ、…ねぇ!」
酷く苦しそうにジェクトが私に向かって呟く。
「ジェクト!?」
「…ほう、まだ意識が残っていたとはな。流石、かつての大召喚士の祈り子だ。これほどまでに高い能力を持っていたとは…」
「!!」
彼の口から出た言葉に耳を疑った。
どういうことなんだ?
これは、アーロン、ではないのか…!?
つい昨日までは優しい目と言葉をくれたというのに、今日はずっと様子がおかしい。
これはまるで別人ではないか。
「…ラフテル」
「!!」
じっと私の顔を見つめて、いつもの優しい声で私の名を呼ぶ。
これだけで、これが別人だなんて割り切ることはできない。
アーロンが1歩歩み寄った。
その顔は見る見る暗い影に覆われていき、鋭い眼光だけが私を睨み付ける。
「お前も、持っているのだろう?この力を…。さあ、俺と来い。そしてその力を差し出すのだ」
「…アーロン、…な、何言って……」
ジェクトに向き合ったアーロンが、手で何かの合図を出すように翳すと、どこからともなく沸いた幻光虫がいくつもジェクトの体に入り込む。
苦しそうに呻き声を上げたジェクトの体全部を、幻光虫が薄い膜で覆ってしまったようにジェクトの体が黒く光る。
俯いていた顔を勢いよく上げたかと思うと、ジェクトは剣を振りかぶって私に突進してきた。
「う、うわああああああああああっっ!!」
ジェクトの剣を受け止めきれるはずが無いのだ。
私はジェクトと共に、岩の端から真っ黒な世界に落とされてしまった。
→第4章
18,sep,2011
戦いたくない。戦えない…
また……。
ジェクトと戦うなんて、嫌だ。できない。
思い出す、あの日。
最後の日。
私の攻撃を受けてジェクトが僅かによろめく。
咄嗟に体勢を立て直して距離を取る。
距離を開けたことで、視界が大きく広がった。
そして目の端に写った赤い影。
いつからそこにいたのだろうか。
私達の戦いをじっと見守るように見つめている人物がいた。
紛れも無い、それは若い姿のアーロン。
片手に構えた太刀をいつものように肩に担いだ姿勢のまま、じっとこちらを見つめ続けていた。
「…アーロン」
私の呟きに、ゆっくりと足をこちらに進めてきた。
私がジェクトから取った距離と同じだけの距離で立ち止まる。
その姿は当然ジェクトにも捉えられる。
体勢を立て直したジェクトがそちらを振り返って微かに動揺を見せた。
「…あ、……アー、ロン…?」
たった今まで私に向けていた、ジェクトの痛いほどの覇気がアーロンの登場によって途端に立ち消えた。
いつもの柔らかい空気を纏ったジェクトの気配だけがすぐ側で感じられる。
そこに現れた人物を見て、驚かないわけは無い。
「ジェクト、…あ、これは……」
「…ラフテル、……お、俺に…、近づく、んじゃ、…ねぇ!」
酷く苦しそうにジェクトが私に向かって呟く。
「ジェクト!?」
「…ほう、まだ意識が残っていたとはな。流石、かつての大召喚士の祈り子だ。これほどまでに高い能力を持っていたとは…」
「!!」
彼の口から出た言葉に耳を疑った。
どういうことなんだ?
これは、アーロン、ではないのか…!?
つい昨日までは優しい目と言葉をくれたというのに、今日はずっと様子がおかしい。
これはまるで別人ではないか。
「…ラフテル」
「!!」
じっと私の顔を見つめて、いつもの優しい声で私の名を呼ぶ。
これだけで、これが別人だなんて割り切ることはできない。
アーロンが1歩歩み寄った。
その顔は見る見る暗い影に覆われていき、鋭い眼光だけが私を睨み付ける。
「お前も、持っているのだろう?この力を…。さあ、俺と来い。そしてその力を差し出すのだ」
「…アーロン、…な、何言って……」
ジェクトに向き合ったアーロンが、手で何かの合図を出すように翳すと、どこからともなく沸いた幻光虫がいくつもジェクトの体に入り込む。
苦しそうに呻き声を上げたジェクトの体全部を、幻光虫が薄い膜で覆ってしまったようにジェクトの体が黒く光る。
俯いていた顔を勢いよく上げたかと思うと、ジェクトは剣を振りかぶって私に突進してきた。
「う、うわああああああああああっっ!!」
ジェクトの剣を受け止めきれるはずが無いのだ。
私はジェクトと共に、岩の端から真っ黒な世界に落とされてしまった。
→第4章
18,sep,2011