第1章【2年後のお話】
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=2=
そのまま私達は別れ、私は家に帰った。
私は今、あるものを探している。
それを探しにスピラの各地に飛び、人知れず魔物を倒している。
簡単そうだと思っていたことだが、実質簡単ではあるがその量が半端なくて特定のものを見つけ出すのが難しい。
それでも見つけたそれを少しずつ集めている。
今日見つけたそれを大切にしまいこみ、そして出会った人物のことを思い出していた。
かなり驚いた。
自分のよく見知った人物が10年前の姿で現れたら驚かない奴はいないと思うが…。
それにしても一体なぜ今更あんな姿で出てきたんだ、あいつは?
しかもどこか記憶が螺曲がってるような感じだったし…。
「ラフテル、帰ってたのか」
掛けられた声に振り返る。
そこにいたのはいつものこいつ。
「アーロン…、…アーロン、だよな」
「……はっ?」
「いやほらさっき会った時…」
「さっき、とは?」
私の言葉を理解できないようで、眉間に皴を寄せてみせる。
「大分早くに帰ってたのか?ラフテル」
「…今、戻ったところだが、あんただって今来たんだろ?」
「俺はずっとここにいたぞ。…誰かと会ってたのか…、誰だ?」
「………」
ずっとここにいた…!?
では先程の若いアーロンは一体誰だと言うのだ?
今ここにいるこのアーロンが若返ったという訳ではなさそうだ。
「…アーロン、明日、空いてるか?」
「明日はブラスカと一緒にガンドフ様のところに行くつもりだが、…何かあるのか?」
「あ、そうなのか、いや、いいんだ。単なる私の我侭だ。気にしないでくれ」
「……何かあるなら正直に話せ」
「いや、本当に何でも無い。ただちょっと、あんたと2人でいたかっただけだ…」
「なんだ、寂しかったのか」
どこか嬉しそうに口元をニヤリと歪めて笑みを浮かべた。
「…そ、うかもな…」
何を考えたのだろうか。
また明日、とそう言ったあの青年と、このアーロンを引き会わせてみたい、とか。
こいつの腕の中に抱き締められて、その温もりを感じる。
もう、異界の匂いはしない。
普通の生きている人間と同じ様に温かくて柔らかくて力強い。
こうして私を包み込んでくれる胸に顔を埋めていられる時間は、本当に幸せで平和で、素直に嬉しいと思える。
今ここにいるアーロンに、さっき出会った若い姿のことを聞こうと思ったが、なぜかそれは躊躇われて、私はまたこいつの熱に溺れていく。
次の日、私はいつものように夜のスピラに出かけていく。
ここ異界とスピラとでは流れる時間が違うようで、昼と夜が逆転している。
こっちの世界に来て初めて知ったことの1つだった。
それから異界には、スピラと同じ様に街があり、人が住んでいる。
魂だけとなっている者や、私たちのように生前の姿のままの者もいるし、だが多くは転生して次の命を授かり、スピラに新しく生まれていく者がほとんどだ。
私もいつかはそうやって誰かの子として新しい人生を送るのだろうか…
シンが倒されてから2年。
スピラは大きく変わった。
もうその脅威に怯えることもなく、人々は幸せの為に生きている。
だが未だ魔物は多く、住人たちがその犠牲になることも少なくはない。
シンというとてつもなく大きな1つの魔物に囚われていた夥しい数の幻光虫は、スピラの各地に降り注いだ。
ユウナ1人だけの異界送りではとても全ての幻光虫を送ることなど到底無理な話だ。
そのせいでスピラの魔物の生態系はガラリと変わり、それまで見たことも無いような魔物が平和な土地を歩き回るようになってしまったのだ。
私はそうした魔物を倒し、幻光虫を調べ、そこに混じったある物を探している。
スピラから戻り、昨日“彼”に言われた通り再びあの場所へ向かった。
美しい花畑の広がる幻想的な世界。
スピラから覗くことができる異界の一部。
ここは本当に一部だけなんだと、これも異界に来て初めて知ったことの1つ。
別にここを通らなくても家に帰ることはできるのだが、この美しい景色を見たいが為に、私はわざとここを通っていた。
そして、彼に出会ったのだ。
→
23,jun,2011
そのまま私達は別れ、私は家に帰った。
私は今、あるものを探している。
それを探しにスピラの各地に飛び、人知れず魔物を倒している。
簡単そうだと思っていたことだが、実質簡単ではあるがその量が半端なくて特定のものを見つけ出すのが難しい。
それでも見つけたそれを少しずつ集めている。
今日見つけたそれを大切にしまいこみ、そして出会った人物のことを思い出していた。
かなり驚いた。
自分のよく見知った人物が10年前の姿で現れたら驚かない奴はいないと思うが…。
それにしても一体なぜ今更あんな姿で出てきたんだ、あいつは?
しかもどこか記憶が螺曲がってるような感じだったし…。
「ラフテル、帰ってたのか」
掛けられた声に振り返る。
そこにいたのはいつものこいつ。
「アーロン…、…アーロン、だよな」
「……はっ?」
「いやほらさっき会った時…」
「さっき、とは?」
私の言葉を理解できないようで、眉間に皴を寄せてみせる。
「大分早くに帰ってたのか?ラフテル」
「…今、戻ったところだが、あんただって今来たんだろ?」
「俺はずっとここにいたぞ。…誰かと会ってたのか…、誰だ?」
「………」
ずっとここにいた…!?
では先程の若いアーロンは一体誰だと言うのだ?
今ここにいるこのアーロンが若返ったという訳ではなさそうだ。
「…アーロン、明日、空いてるか?」
「明日はブラスカと一緒にガンドフ様のところに行くつもりだが、…何かあるのか?」
「あ、そうなのか、いや、いいんだ。単なる私の我侭だ。気にしないでくれ」
「……何かあるなら正直に話せ」
「いや、本当に何でも無い。ただちょっと、あんたと2人でいたかっただけだ…」
「なんだ、寂しかったのか」
どこか嬉しそうに口元をニヤリと歪めて笑みを浮かべた。
「…そ、うかもな…」
何を考えたのだろうか。
また明日、とそう言ったあの青年と、このアーロンを引き会わせてみたい、とか。
こいつの腕の中に抱き締められて、その温もりを感じる。
もう、異界の匂いはしない。
普通の生きている人間と同じ様に温かくて柔らかくて力強い。
こうして私を包み込んでくれる胸に顔を埋めていられる時間は、本当に幸せで平和で、素直に嬉しいと思える。
今ここにいるアーロンに、さっき出会った若い姿のことを聞こうと思ったが、なぜかそれは躊躇われて、私はまたこいつの熱に溺れていく。
次の日、私はいつものように夜のスピラに出かけていく。
ここ異界とスピラとでは流れる時間が違うようで、昼と夜が逆転している。
こっちの世界に来て初めて知ったことの1つだった。
それから異界には、スピラと同じ様に街があり、人が住んでいる。
魂だけとなっている者や、私たちのように生前の姿のままの者もいるし、だが多くは転生して次の命を授かり、スピラに新しく生まれていく者がほとんどだ。
私もいつかはそうやって誰かの子として新しい人生を送るのだろうか…
シンが倒されてから2年。
スピラは大きく変わった。
もうその脅威に怯えることもなく、人々は幸せの為に生きている。
だが未だ魔物は多く、住人たちがその犠牲になることも少なくはない。
シンというとてつもなく大きな1つの魔物に囚われていた夥しい数の幻光虫は、スピラの各地に降り注いだ。
ユウナ1人だけの異界送りではとても全ての幻光虫を送ることなど到底無理な話だ。
そのせいでスピラの魔物の生態系はガラリと変わり、それまで見たことも無いような魔物が平和な土地を歩き回るようになってしまったのだ。
私はそうした魔物を倒し、幻光虫を調べ、そこに混じったある物を探している。
スピラから戻り、昨日“彼”に言われた通り再びあの場所へ向かった。
美しい花畑の広がる幻想的な世界。
スピラから覗くことができる異界の一部。
ここは本当に一部だけなんだと、これも異界に来て初めて知ったことの1つ。
別にここを通らなくても家に帰ることはできるのだが、この美しい景色を見たいが為に、私はわざとここを通っていた。
そして、彼に出会ったのだ。
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23,jun,2011