第3章【何かがおかしい】
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=15=
「ラフテル、1つ頼まれてくれないか」
「何?」
ある日、いつものように仕事帰りに会って話をしていると、突然若い姿のアーロンが私に聞いてきた。
その時にすぐ気付くべきだった。
その日の彼の様子がいつもと違っていたことに。
「ラフテル、俺を愛しているか?」
「えっ! ……えっと…、そ、それは……」
「愛しているだろ」
「…あ、いや、……いや、そうじゃなくて、…あの、あー……」
両の肩を掴まれて、私は逃げることもできない。
なんとか誤魔化そうと思うが、じっと見つめられて私はどう答えていいのかわからない。
私は曖昧な言葉を繰り返し、なんとか視線を逸らしながらなぜこんなことを言い出すのかと考えた。
「愛しているはずだ。…そうだろ?」
両手で私の顔を包み込むように両脇から挟む。
私は顔を逸らすこともできなくなった。
自信に満ちた瞳で、私をじっと見つめる。
「…あ、あぁ、…わ、わたし、は……」
「ラフテル……」
彼の顔がゆっくりと近づいてくる。
今から何をするつもりなのか、私は何を期待しているのか、もう動かないはずの心臓が喉から飛び出すんじゃないかと思ってしまうほど。
なぜ抵抗しなかったのか、なぜ受け入れてしまったのか、よく分からない。
でも、決して嫌だとは思わなかった。
むしろ、そうして貰えたことに喜びさえ覚えた。
彼の、優しい口付けに。
今の、隻眼のアーロンは、こんなことをしない。
こんな優しい口付けをされたのは生まれて初めてで、あの荒々しいものとはまるで違う甘い感覚が私を包み込んだ。
どこか気恥ずかしいような、幼い気持ちを揺り動かされる、くすぐったいような感じ。
離れてしまった唇が名残惜しくて、訴えるように目を開く。
…こんな顔は、反則だ。
「ラフテル、お前の力を貸してくれ」
「…うん」
そんな優しい吸い込まれそうな瞳で言われたら、こんな優しい口付けをくれたら、断ることなんてできない。
私は、彼の言葉に頷いてしまった。
「何を、すればいいんだ?」
「詳しいことはまた後で説明するが」
「難しいことなのか?…もしかして、時間がかかる、とか?」
「心配することはない。簡単なことだ。 ……問題が?」
「あ、いや、私には一応、帰る家があるから…」
「心配する奴がいるのか? 俺以外に?」
あんた自身だ、とは言えない。
何をするのかは分からないが、長く家を空けるとなればそれなりに今のアーロンに言っておかなくてはならないだろう。
だが、今、奴とは少々不協和音だ。
この上、更に奴以外の人物と家を空けるなんて言っても許されないだろう。
目の前にいるアーロンが、ゆっくりでいいと笑って言った。
その言葉に甘えて、私は一度家に戻ることにした。
→
9,aug,2011
「ラフテル、1つ頼まれてくれないか」
「何?」
ある日、いつものように仕事帰りに会って話をしていると、突然若い姿のアーロンが私に聞いてきた。
その時にすぐ気付くべきだった。
その日の彼の様子がいつもと違っていたことに。
「ラフテル、俺を愛しているか?」
「えっ! ……えっと…、そ、それは……」
「愛しているだろ」
「…あ、いや、……いや、そうじゃなくて、…あの、あー……」
両の肩を掴まれて、私は逃げることもできない。
なんとか誤魔化そうと思うが、じっと見つめられて私はどう答えていいのかわからない。
私は曖昧な言葉を繰り返し、なんとか視線を逸らしながらなぜこんなことを言い出すのかと考えた。
「愛しているはずだ。…そうだろ?」
両手で私の顔を包み込むように両脇から挟む。
私は顔を逸らすこともできなくなった。
自信に満ちた瞳で、私をじっと見つめる。
「…あ、あぁ、…わ、わたし、は……」
「ラフテル……」
彼の顔がゆっくりと近づいてくる。
今から何をするつもりなのか、私は何を期待しているのか、もう動かないはずの心臓が喉から飛び出すんじゃないかと思ってしまうほど。
なぜ抵抗しなかったのか、なぜ受け入れてしまったのか、よく分からない。
でも、決して嫌だとは思わなかった。
むしろ、そうして貰えたことに喜びさえ覚えた。
彼の、優しい口付けに。
今の、隻眼のアーロンは、こんなことをしない。
こんな優しい口付けをされたのは生まれて初めてで、あの荒々しいものとはまるで違う甘い感覚が私を包み込んだ。
どこか気恥ずかしいような、幼い気持ちを揺り動かされる、くすぐったいような感じ。
離れてしまった唇が名残惜しくて、訴えるように目を開く。
…こんな顔は、反則だ。
「ラフテル、お前の力を貸してくれ」
「…うん」
そんな優しい吸い込まれそうな瞳で言われたら、こんな優しい口付けをくれたら、断ることなんてできない。
私は、彼の言葉に頷いてしまった。
「何を、すればいいんだ?」
「詳しいことはまた後で説明するが」
「難しいことなのか?…もしかして、時間がかかる、とか?」
「心配することはない。簡単なことだ。 ……問題が?」
「あ、いや、私には一応、帰る家があるから…」
「心配する奴がいるのか? 俺以外に?」
あんた自身だ、とは言えない。
何をするのかは分からないが、長く家を空けるとなればそれなりに今のアーロンに言っておかなくてはならないだろう。
だが、今、奴とは少々不協和音だ。
この上、更に奴以外の人物と家を空けるなんて言っても許されないだろう。
目の前にいるアーロンが、ゆっくりでいいと笑って言った。
その言葉に甘えて、私は一度家に戻ることにした。
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9,aug,2011