第2章【過去の記憶】
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=10=
「ラフテル!」
呼ばれた声にはっとした。
魔物の攻撃を受け止めているため、手は塞がれているし、身動きは取れない。
だが声がしたほうからまたもう1体の魔物がこちらにキバを向けて襲い掛かってくるのが見えた。
死を感じる瞬間て、こういうものなのだろうか、なんて暢気に考えてしまった。
目を見開いたまま、私は動くこともできずに迫ってくる魔物の姿を見つめていた。
凶悪な唸り声を上げて鋭い牙を剥き出しにした魔物が直前まで迫ってきた。
己に感じるであろう恐怖や痛みを覚悟して、思わず目を閉じた。
だが突然、その魔物は断末魔の叫びを上げて幻光虫へと変わった。
開いた目に飛び込んできたのは、幻光虫の向こう側にいる、太刀を振りきったアーロンの姿。
助かった……。
そう思った瞬間、彼の更に後ろの上空にふわふわと浮かぶ幾匹かの目玉の魔物。
「アーロン!!」
私の意図を理解したのか、アーロンがその場で振り返る。
だが、遅かった。
目玉からの光線のような攻撃を食らってしまった。
「!! くっ!」
私の小太刀で抑えられていた魔物を切り裂いて、慌ててアーロンのほうへ足を向けた。
アーロンの様子がおかしい。
ふらふらと足がおぼつかない。
そこに魔物がいるというのに、太刀を構えることもしない。
「!?」
違和感を感じて更にアーロンのほうへ駆け寄る。
アーロンはあろうことか、崖の方へ進んでいく。このままでは谷底へ落ちてしまう。
そう思っているうちに、本当にアーロンは道の端から姿を消してしまった。
「アーロン!!」
慌てて駆け寄ったその場所から、下を覗き込む。
少し下のほうに、棚場のようにせり出した岩があり、そこに赤いものが見えた。
アーロンだ。
よかった。遥か下まで落ちていたらどうしようかと思ってしまった。
背後の魔物もそうだが、今はこの下にいるアーロンをなんとかしなければ。
ふと背後に目を向ける。
遠くのほうで、ブラスカが召喚獣を呼び出し、その周りで必死に剣を振るっているジェクトの姿が見えた。
いつのまにか随分2人と離れてしまっていたようだ。
今から彼らを呼びに行くのは難しいかもしれない。
私は、飛び降りた。
アーロンのところへ。
そこは小さな空洞があった。
アーロンは見た目は特に怪我をした様子もなく、声を掛けるとすぐに目を覚まして起き上がった。
この地形が作り出した、天然の洞穴の入り口のようにも見えるが、奥が深いわけでもなく、人2人が入れば一杯になってしまうほどの小さなもの。
「…こんな場所があったのか」
「…う、うう……」
「アーロン、大丈夫?」
声を掛けたが、アーロンはどこか痛めたのか苦痛に顔を歪めていた。
「…アーロン…? ……!!」
振り返ったアーロンは、視点が定まっていなかった。
一目で様子がおかしいことがわかる。
そして私の顔を見た途端に、太刀の切っ先を喉元に突きつけられた。
「…あ、アーロン、何、して……」
「黙れ」
「アーロン、しっかりして、私だ!」
「黙れ!この魔物が!」
「!!!」
泳ぐ目をしながらも、それでも怒気を孕んだ低い声で私に向かって脅しをかける。
はっとした。
……混乱している。
先程の魔物、ステータス異常を引き起こす攻撃をしかけてきていたのだ。
避ける間もなくまともにその攻撃を受けてしまったアーロンは、まさにそのステータス異常に陥ってしまったということか。
→
20,jul,2011
「ラフテル!」
呼ばれた声にはっとした。
魔物の攻撃を受け止めているため、手は塞がれているし、身動きは取れない。
だが声がしたほうからまたもう1体の魔物がこちらにキバを向けて襲い掛かってくるのが見えた。
死を感じる瞬間て、こういうものなのだろうか、なんて暢気に考えてしまった。
目を見開いたまま、私は動くこともできずに迫ってくる魔物の姿を見つめていた。
凶悪な唸り声を上げて鋭い牙を剥き出しにした魔物が直前まで迫ってきた。
己に感じるであろう恐怖や痛みを覚悟して、思わず目を閉じた。
だが突然、その魔物は断末魔の叫びを上げて幻光虫へと変わった。
開いた目に飛び込んできたのは、幻光虫の向こう側にいる、太刀を振りきったアーロンの姿。
助かった……。
そう思った瞬間、彼の更に後ろの上空にふわふわと浮かぶ幾匹かの目玉の魔物。
「アーロン!!」
私の意図を理解したのか、アーロンがその場で振り返る。
だが、遅かった。
目玉からの光線のような攻撃を食らってしまった。
「!! くっ!」
私の小太刀で抑えられていた魔物を切り裂いて、慌ててアーロンのほうへ足を向けた。
アーロンの様子がおかしい。
ふらふらと足がおぼつかない。
そこに魔物がいるというのに、太刀を構えることもしない。
「!?」
違和感を感じて更にアーロンのほうへ駆け寄る。
アーロンはあろうことか、崖の方へ進んでいく。このままでは谷底へ落ちてしまう。
そう思っているうちに、本当にアーロンは道の端から姿を消してしまった。
「アーロン!!」
慌てて駆け寄ったその場所から、下を覗き込む。
少し下のほうに、棚場のようにせり出した岩があり、そこに赤いものが見えた。
アーロンだ。
よかった。遥か下まで落ちていたらどうしようかと思ってしまった。
背後の魔物もそうだが、今はこの下にいるアーロンをなんとかしなければ。
ふと背後に目を向ける。
遠くのほうで、ブラスカが召喚獣を呼び出し、その周りで必死に剣を振るっているジェクトの姿が見えた。
いつのまにか随分2人と離れてしまっていたようだ。
今から彼らを呼びに行くのは難しいかもしれない。
私は、飛び降りた。
アーロンのところへ。
そこは小さな空洞があった。
アーロンは見た目は特に怪我をした様子もなく、声を掛けるとすぐに目を覚まして起き上がった。
この地形が作り出した、天然の洞穴の入り口のようにも見えるが、奥が深いわけでもなく、人2人が入れば一杯になってしまうほどの小さなもの。
「…こんな場所があったのか」
「…う、うう……」
「アーロン、大丈夫?」
声を掛けたが、アーロンはどこか痛めたのか苦痛に顔を歪めていた。
「…アーロン…? ……!!」
振り返ったアーロンは、視点が定まっていなかった。
一目で様子がおかしいことがわかる。
そして私の顔を見た途端に、太刀の切っ先を喉元に突きつけられた。
「…あ、アーロン、何、して……」
「黙れ」
「アーロン、しっかりして、私だ!」
「黙れ!この魔物が!」
「!!!」
泳ぐ目をしながらも、それでも怒気を孕んだ低い声で私に向かって脅しをかける。
はっとした。
……混乱している。
先程の魔物、ステータス異常を引き起こす攻撃をしかけてきていたのだ。
避ける間もなくまともにその攻撃を受けてしまったアーロンは、まさにそのステータス異常に陥ってしまったということか。
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20,jul,2011