第11章【帰ろう、ともに…】
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≪ 98 ≫
ハデスはあっさりとお姉さんの人形を渡してきた。
“契約は完了しちまったし”
と言いながら目の前に出された何かの紙は、煙になって消えてしまった。
“壊れたオモチャには興味ない”
とも言ってた。
こそこそと逃げようとしてたハデスを捕まえて、ぐるぐる巻きにしといた。
ヘラクレスが自分のマントを少し分けてくれたんだ。
光の力が込められてるから、闇の力では解くことはできないだろう。
「さあ、ハデス! 彼女を!」
ヘラクレスが剣を突きつけてハデスを急かす。
その瞬間は驚いた顔を見せたものの、すぐに憮然とした顔で俺達を見渡した。
「お前達、ラフテルを生き返らせたいとか言ってたよな~? へ~へっへっへっへっへ…」
「…?」
「神にだって決まりはある。 そんな簡単に亡者を生き返らせることはできない」
「!? …だがあの時…」
「貴様らを倒す為の方便だ。 あれを言えば生き返りたい亡者共は我先にその時のターゲットを狙う。
…まあ、勝てるとは思ってないがな」
「…お前…!」
「もう1つ言っておこう。 …お前達が望むラフテルは、俺の力でも生き返らせることはできない」
「!!」
「なんだって!?」
ドナルドとグーフィーは今にも飛びかかりそうだ。
…でも、俺にはわかったんだ。
さっきの、アーロンのあの言葉。
それに、お姉さんは、…今でも信じられないけどハートレスなんだ。
だから、俺のキーブレードで倒すしかない。
ハデスの闇の力ではダメなんだ。
「だけど、約束は約束。 別の形でも守ってもらわなくちゃ!」
「ふん、そんな規則に反することができるか」
ぐるぐる巻きにされて動けないくせに、まだ意地を張るかのようにそっぽを向いて見せる。
いい加減諦めたらいいのに…。
するとヘラクレスが、手にしていた剣を振った。
「ひっ!」
「今更何を言ってるんだ。 ルール違反なんて、いつものことだろう」
「………」
ヘラクレスの剣はハデスの顔をほんのちょっぴり傷つけただけで、すぐに鞘に納められた。
憮然とした顔をしながらも、ハデスは小さな声で了承の言葉を口にした。
少し俯いて何かごにょごにょと言ってたみたいだったけど、何を言ってるのかまではわからなかった。
すぐに顔を上げて、すっごい嫌そうに俺達を見た。
「ラフテルの代わりだ。 確かに代償は払ったぞ」
縛られたまま、それでもよろよろと立ち上がったハデスに声をかける。
「それで、このコロシアムをまた封印したいんだけど…」
「な、なんだと!? せっかくわざわざあの女まで使って解かせたってのに…、…おっ、……あっ、……わっ!」
「「??」」
「ちょ、まっ…、あ、ああああああぁぁぁぁぁ~~~……」
「あ~あ…」
「ま、あいつのことだから無事だろ、それから、コロシアムのことは僕から父さんに頼んでおくよ」
「ありがとう、ヘラクレス! …ヘラクレスのお父さんて、もしかして偉い人?」
「えっ、あ、いや、まあ、…たぶんね」
少し照れたように笑うヘラクレスにも、人には言いにくいことがあるんだ、きっと。
余計な詮索はしない。俺は子供じゃないからな!
ハデスはおかしな声を上げて穴に落ちていったけど、ヘラクレスが言ったように別に何ともなさそう。
またすぐにおかしな悪だくみを考え始めるんだと思う。
もしそうなっても、俺がまた懲らしめてやるけどね。
そう言えばアーロン達の姿が見えない。
お姉さんの代わりに生き返らせて貰ってると思う。
確認しておきたかったし、取り返した人形を返そうと思ったんだけどな。
改めて手にしたお姉さんの人形を見つめた。
黒い服を着たお姉さんそっくりな人形は、胸に大きな穴が開いていた。
これは、俺がつけた穴…。
「………」
「ソラ~、行くよ~」
ドナルド達の声に顔を上げてそちらを振り返る。
闘技場の周りの穴はいつの間にか元の観客席に戻っていた。
お客さんは誰もいなかったけど。
ハデスの使い魔のちっこい奴が器用に小舟を操って俺達を迎えに来てた。
…アーロン、お姉さん、どこいっちゃったんだ?
「さあ、これからはこっちのコロシアムでもっともっと頑張らなくちゃ」
すっかり元気を取り戻したヘラクレスは凄く生き生きしてて、見てる俺まで元気を分けて貰えるみたいだ。
「……ソラ」
「あ、アーロン、どこ行って…」
「こっちだ」
闘技場から控室に向かって歩いて行くヘラクレスたちを見送って、俺はこっそりアーロンの元へ近づいた。
連れて行かれた先は闘技場の人気のない裏側。
そこには、お姉さんではない、あの時アーロンと戦っていた黒い怪物。
闇を纏って、金色に光る眼で俺を見た。
背中をぞわっと何かが走った。
本物の獣みたいな唸り声をあげて俺を威嚇してる。
「アーロン、これってもしかして…」
隣に立っていたと思ったら、いつの間にか少し離れた所で動かないお姉さんを抱いていた。
なんだ、お姉さんじゃないんだ、こいつ。
そうか、まずは俺の腕を見たいってことかな。よーし!
「アーロン! いいの!?」
「そいつはラフテルが抱えていた闇の部分だ。 構わん、やれ」
「わかった!」
闇と戦うのは慣れてる。
たくさんのハートレスやノーバディと戦った。
それに、ここのコロシアムでも凄くでかくて強い奴とたくさん戦ってきたんだ。
こんな闇の塊、すぐに倒してやる。
…そう思ってたのに、俺ならいけると思ったのは、俺の思い違いだったのかな?
こいつ、こんな闇の塊のクセしてすごく強い。
獣みたいな唸り声を上げて、獣なのかと思ったら人の形で武器を振ってみたり…。
しかもそれが両手に持った短い刀。
本当にお姉さんにそっくりだ。
お姉さんについた闇だけあって、形とか戦い方とか、そのまま出てくるんだな。
…って言うか、お姉さんの闇だけでこんなに強いのに、お姉さん本人と戦ってたアーロンはやっぱり凄いや。
火花を散らせて、俺のキーブレードが弾かれる。
それに合わせて体に強烈な蹴りを入れられて、俺は闘技場の壁に派手な音を立ててぶつかった。
一瞬息ができなくなって目がくらっとした。
「くそ~、まだまだ!」
「ソラ! 見つけた!」
「どこ行っちゃったのかって、探したんだよ」
「ドナルド、グーフィー…。 ごめん、でも、今それどころじゃないんだ」
「なんだ、言い訳かい?」
「理由は後でちゃんと聞くよ。 さあ行こう」
「危ないっ!!」
「「!?」」
2人は後ろの黒い闇の塊に気が付いてないみたいだ。
慌てて2人を突き飛ばして押し潰すように上から押さえつけた。
この2人は関係ない。
俺がこいつを倒さなくちゃいけないんだ。
すぐに起き上ってなるべく2人から離れようと距離を取る。
2人のいる場所からこいつを俺だけに引きつけなくちゃ。
驚きながらも、俺を手伝うって言ってくれてる。
嬉しいけど、2人の力を借りるわけにはいかない。
→
25,sep,2015
ハデスはあっさりとお姉さんの人形を渡してきた。
“契約は完了しちまったし”
と言いながら目の前に出された何かの紙は、煙になって消えてしまった。
“壊れたオモチャには興味ない”
とも言ってた。
こそこそと逃げようとしてたハデスを捕まえて、ぐるぐる巻きにしといた。
ヘラクレスが自分のマントを少し分けてくれたんだ。
光の力が込められてるから、闇の力では解くことはできないだろう。
「さあ、ハデス! 彼女を!」
ヘラクレスが剣を突きつけてハデスを急かす。
その瞬間は驚いた顔を見せたものの、すぐに憮然とした顔で俺達を見渡した。
「お前達、ラフテルを生き返らせたいとか言ってたよな~? へ~へっへっへっへっへ…」
「…?」
「神にだって決まりはある。 そんな簡単に亡者を生き返らせることはできない」
「!? …だがあの時…」
「貴様らを倒す為の方便だ。 あれを言えば生き返りたい亡者共は我先にその時のターゲットを狙う。
…まあ、勝てるとは思ってないがな」
「…お前…!」
「もう1つ言っておこう。 …お前達が望むラフテルは、俺の力でも生き返らせることはできない」
「!!」
「なんだって!?」
ドナルドとグーフィーは今にも飛びかかりそうだ。
…でも、俺にはわかったんだ。
さっきの、アーロンのあの言葉。
それに、お姉さんは、…今でも信じられないけどハートレスなんだ。
だから、俺のキーブレードで倒すしかない。
ハデスの闇の力ではダメなんだ。
「だけど、約束は約束。 別の形でも守ってもらわなくちゃ!」
「ふん、そんな規則に反することができるか」
ぐるぐる巻きにされて動けないくせに、まだ意地を張るかのようにそっぽを向いて見せる。
いい加減諦めたらいいのに…。
するとヘラクレスが、手にしていた剣を振った。
「ひっ!」
「今更何を言ってるんだ。 ルール違反なんて、いつものことだろう」
「………」
ヘラクレスの剣はハデスの顔をほんのちょっぴり傷つけただけで、すぐに鞘に納められた。
憮然とした顔をしながらも、ハデスは小さな声で了承の言葉を口にした。
少し俯いて何かごにょごにょと言ってたみたいだったけど、何を言ってるのかまではわからなかった。
すぐに顔を上げて、すっごい嫌そうに俺達を見た。
「ラフテルの代わりだ。 確かに代償は払ったぞ」
縛られたまま、それでもよろよろと立ち上がったハデスに声をかける。
「それで、このコロシアムをまた封印したいんだけど…」
「な、なんだと!? せっかくわざわざあの女まで使って解かせたってのに…、…おっ、……あっ、……わっ!」
「「??」」
「ちょ、まっ…、あ、ああああああぁぁぁぁぁ~~~……」
「あ~あ…」
「ま、あいつのことだから無事だろ、それから、コロシアムのことは僕から父さんに頼んでおくよ」
「ありがとう、ヘラクレス! …ヘラクレスのお父さんて、もしかして偉い人?」
「えっ、あ、いや、まあ、…たぶんね」
少し照れたように笑うヘラクレスにも、人には言いにくいことがあるんだ、きっと。
余計な詮索はしない。俺は子供じゃないからな!
ハデスはおかしな声を上げて穴に落ちていったけど、ヘラクレスが言ったように別に何ともなさそう。
またすぐにおかしな悪だくみを考え始めるんだと思う。
もしそうなっても、俺がまた懲らしめてやるけどね。
そう言えばアーロン達の姿が見えない。
お姉さんの代わりに生き返らせて貰ってると思う。
確認しておきたかったし、取り返した人形を返そうと思ったんだけどな。
改めて手にしたお姉さんの人形を見つめた。
黒い服を着たお姉さんそっくりな人形は、胸に大きな穴が開いていた。
これは、俺がつけた穴…。
「………」
「ソラ~、行くよ~」
ドナルド達の声に顔を上げてそちらを振り返る。
闘技場の周りの穴はいつの間にか元の観客席に戻っていた。
お客さんは誰もいなかったけど。
ハデスの使い魔のちっこい奴が器用に小舟を操って俺達を迎えに来てた。
…アーロン、お姉さん、どこいっちゃったんだ?
「さあ、これからはこっちのコロシアムでもっともっと頑張らなくちゃ」
すっかり元気を取り戻したヘラクレスは凄く生き生きしてて、見てる俺まで元気を分けて貰えるみたいだ。
「……ソラ」
「あ、アーロン、どこ行って…」
「こっちだ」
闘技場から控室に向かって歩いて行くヘラクレスたちを見送って、俺はこっそりアーロンの元へ近づいた。
連れて行かれた先は闘技場の人気のない裏側。
そこには、お姉さんではない、あの時アーロンと戦っていた黒い怪物。
闇を纏って、金色に光る眼で俺を見た。
背中をぞわっと何かが走った。
本物の獣みたいな唸り声をあげて俺を威嚇してる。
「アーロン、これってもしかして…」
隣に立っていたと思ったら、いつの間にか少し離れた所で動かないお姉さんを抱いていた。
なんだ、お姉さんじゃないんだ、こいつ。
そうか、まずは俺の腕を見たいってことかな。よーし!
「アーロン! いいの!?」
「そいつはラフテルが抱えていた闇の部分だ。 構わん、やれ」
「わかった!」
闇と戦うのは慣れてる。
たくさんのハートレスやノーバディと戦った。
それに、ここのコロシアムでも凄くでかくて強い奴とたくさん戦ってきたんだ。
こんな闇の塊、すぐに倒してやる。
…そう思ってたのに、俺ならいけると思ったのは、俺の思い違いだったのかな?
こいつ、こんな闇の塊のクセしてすごく強い。
獣みたいな唸り声を上げて、獣なのかと思ったら人の形で武器を振ってみたり…。
しかもそれが両手に持った短い刀。
本当にお姉さんにそっくりだ。
お姉さんについた闇だけあって、形とか戦い方とか、そのまま出てくるんだな。
…って言うか、お姉さんの闇だけでこんなに強いのに、お姉さん本人と戦ってたアーロンはやっぱり凄いや。
火花を散らせて、俺のキーブレードが弾かれる。
それに合わせて体に強烈な蹴りを入れられて、俺は闘技場の壁に派手な音を立ててぶつかった。
一瞬息ができなくなって目がくらっとした。
「くそ~、まだまだ!」
「ソラ! 見つけた!」
「どこ行っちゃったのかって、探したんだよ」
「ドナルド、グーフィー…。 ごめん、でも、今それどころじゃないんだ」
「なんだ、言い訳かい?」
「理由は後でちゃんと聞くよ。 さあ行こう」
「危ないっ!!」
「「!?」」
2人は後ろの黒い闇の塊に気が付いてないみたいだ。
慌てて2人を突き飛ばして押し潰すように上から押さえつけた。
この2人は関係ない。
俺がこいつを倒さなくちゃいけないんだ。
すぐに起き上ってなるべく2人から離れようと距離を取る。
2人のいる場所からこいつを俺だけに引きつけなくちゃ。
驚きながらも、俺を手伝うって言ってくれてる。
嬉しいけど、2人の力を借りるわけにはいかない。
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25,sep,2015