第10章【冥界コロシアム】
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≪ 95 ≫
どこから聞こえたのかわからない声の主を探すように、俺とハデスはキョロキョロと辺りを見渡した。
闘技場の端から姿を表したのは、なんとヘラクレスだ!
冥界の牢獄に落ちたはずだったのに。
そして、その手にはしっかりとメグを抱き抱えていた。
「ヘラクレス! よかった、無事だったんだね!」
「な、なんだと!? そんな馬鹿な! あそこに落ちて助かるわけが……!! ま、まさか…」
ゆっくりとメグを下ろし、胸を張ってどうだと言わんばかりにポーズをとって見せた。
その顔は力と自信に満ち溢れていて、ついさっきまでの弱った様子は微塵も感じられない。
どこから見ても、立派な英雄だ。
それに、ヘラクレス自体がほんのり光って見える。
…えーと、こういうの何て言うんだっけ?
まるで神様みたいだ。
「ソラ、立てるかい?」
「…あ、ああ、うん」
爽やかな笑顔で差し伸べられた手を掴んだ。
と思ったら、ぐいっと上に引き上げられて俺は両足でちゃんと立ち上がれていた。
なんか、握った手から暖かい何かが流れ込んでくるみたいだった。
足の痛みも体の疲れも、ハデスへの憎しみさえなくなってしまったみたいだった。
これが、光の力。
ヘラクレスの、本当の英雄としての姿なんだ。
フィルが俺達をまだまだだって言った意味がよくわかった。
本当に俺達はまだ卵なんだ。
「行くぞソラ。 ハデスを懲らしめなくちゃ!」
「うん!!」
ヘラクレスの光の力は凄いんだろうなあ、なんて考えていたけど、今まで俺達がやってたことが遊びみたいだ。
光の力は本当に凄い!強い!!
あれだけ俺達を苦しめていたハデスがあっと言う間にボロボロだ。
奴の闇の力をヘラクレスが光の力で無効化して、俺のキーブレードを叩き込む。
いくら闇の力を使って魔物を呼び出しても、俺達の攻撃の前には何匹出てきても意味はない。
もうハデスを庇ってくれるお姉さんは俺が…。
たった1人で、無限とも思える闇の力で戦い続けるハデスが、なんか憐れに思えてきた。
「止めだ!」
渾身の一撃を打ち込むと、ハデスはその場にガクリと膝をついた。
やった!とうとう倒したぞ!
「ハデス、敗けを認めるんだ。 お前が死ねないのと同じように、天属の僕には勝てないのはわかってるはずだ」
「…?」
ヘラクレスの言ってる意味がよくわからないけど、これでオリンポスも平和になるはずだ。
あとは、この禍々しい闘技場をまた封印しなくちゃ。
「ねえソラ」
「なに? グーフィー」
「僕達、優勝したんだよね?」
「あっ、そうか!」
「ちゃんと賞品は出して貰うからね!」
ドナルドが短い羽を腰に当ててハデスを睨んでみせる。
未だに膝をついたまま、それでも奴はふんとそっぽを向いた。
もちろん、ヘラクレスもそれを知ってる。
この戦いが始まる前にハデス自身が言い出したことだ。
ハデスの側まで近付いて、ヘラクレスは腰の剣をスラリと引き抜いた。
「さあハデス、約束は守ってもらうぞ」
剣先をハデスの喉元に向けると、それをチラリと横目で見たハデスは黒い煙になって姿を消した。
少し離れた場所にまた黒い煙と共に現れたハデスは、両手の指先だけを合わせた姿勢でそれでも俺達と目を合わせないようにしてた。
「あ~、約束? したっけ?」
「とぼけても無駄だぞ」
ヘラクレスと同時に俺達も武器を構えてみせる。
もともと悪いこいつの顔色が変わったかどうかはわからなかったけど、頭で燃えてる炎が小さくなったのはわかった。
「へ、へへへへ、冗談だよ、じょーだん! 約束ね、わかった、叶えよう」
「やった!」
「…んで? 誰を生き返らせるんだ?」
「………」
俺達は互いに顔を見合わせた。
俺には思い当たる人は、1人しかいない。
でも、ヘラクレスやドナルドやグーフィーはどうだろう?
誰か大事な人がいるんだろうか?
「ソラ」
ヘラクレスが俺の名を呼ぶ。
「ソラ」
ドナルドとグーフィーも、いつもとは違う優しい口調で名を呼ぶ。
…いいのかな?
俺が決めても、いいのかな?
順番に3人の顔を見ていく。
目を合わせてくれてから、頷いて笑顔を向けてくれた。
そして俺もそれに応えるように大きく頷いた。
「じゃあ……」
そこで俺は振り返る。
目線の先にいる人物を見つめながら、俺達は声を合わせてその人の名を呼んだ。
「「「ラフテル!!」」」
第10章終
→第11章【帰ろう、ともに…】
22,sep,2015
19,Feb,2018 携帯版より転載
どこから聞こえたのかわからない声の主を探すように、俺とハデスはキョロキョロと辺りを見渡した。
闘技場の端から姿を表したのは、なんとヘラクレスだ!
冥界の牢獄に落ちたはずだったのに。
そして、その手にはしっかりとメグを抱き抱えていた。
「ヘラクレス! よかった、無事だったんだね!」
「な、なんだと!? そんな馬鹿な! あそこに落ちて助かるわけが……!! ま、まさか…」
ゆっくりとメグを下ろし、胸を張ってどうだと言わんばかりにポーズをとって見せた。
その顔は力と自信に満ち溢れていて、ついさっきまでの弱った様子は微塵も感じられない。
どこから見ても、立派な英雄だ。
それに、ヘラクレス自体がほんのり光って見える。
…えーと、こういうの何て言うんだっけ?
まるで神様みたいだ。
「ソラ、立てるかい?」
「…あ、ああ、うん」
爽やかな笑顔で差し伸べられた手を掴んだ。
と思ったら、ぐいっと上に引き上げられて俺は両足でちゃんと立ち上がれていた。
なんか、握った手から暖かい何かが流れ込んでくるみたいだった。
足の痛みも体の疲れも、ハデスへの憎しみさえなくなってしまったみたいだった。
これが、光の力。
ヘラクレスの、本当の英雄としての姿なんだ。
フィルが俺達をまだまだだって言った意味がよくわかった。
本当に俺達はまだ卵なんだ。
「行くぞソラ。 ハデスを懲らしめなくちゃ!」
「うん!!」
ヘラクレスの光の力は凄いんだろうなあ、なんて考えていたけど、今まで俺達がやってたことが遊びみたいだ。
光の力は本当に凄い!強い!!
あれだけ俺達を苦しめていたハデスがあっと言う間にボロボロだ。
奴の闇の力をヘラクレスが光の力で無効化して、俺のキーブレードを叩き込む。
いくら闇の力を使って魔物を呼び出しても、俺達の攻撃の前には何匹出てきても意味はない。
もうハデスを庇ってくれるお姉さんは俺が…。
たった1人で、無限とも思える闇の力で戦い続けるハデスが、なんか憐れに思えてきた。
「止めだ!」
渾身の一撃を打ち込むと、ハデスはその場にガクリと膝をついた。
やった!とうとう倒したぞ!
「ハデス、敗けを認めるんだ。 お前が死ねないのと同じように、天属の僕には勝てないのはわかってるはずだ」
「…?」
ヘラクレスの言ってる意味がよくわからないけど、これでオリンポスも平和になるはずだ。
あとは、この禍々しい闘技場をまた封印しなくちゃ。
「ねえソラ」
「なに? グーフィー」
「僕達、優勝したんだよね?」
「あっ、そうか!」
「ちゃんと賞品は出して貰うからね!」
ドナルドが短い羽を腰に当ててハデスを睨んでみせる。
未だに膝をついたまま、それでも奴はふんとそっぽを向いた。
もちろん、ヘラクレスもそれを知ってる。
この戦いが始まる前にハデス自身が言い出したことだ。
ハデスの側まで近付いて、ヘラクレスは腰の剣をスラリと引き抜いた。
「さあハデス、約束は守ってもらうぞ」
剣先をハデスの喉元に向けると、それをチラリと横目で見たハデスは黒い煙になって姿を消した。
少し離れた場所にまた黒い煙と共に現れたハデスは、両手の指先だけを合わせた姿勢でそれでも俺達と目を合わせないようにしてた。
「あ~、約束? したっけ?」
「とぼけても無駄だぞ」
ヘラクレスと同時に俺達も武器を構えてみせる。
もともと悪いこいつの顔色が変わったかどうかはわからなかったけど、頭で燃えてる炎が小さくなったのはわかった。
「へ、へへへへ、冗談だよ、じょーだん! 約束ね、わかった、叶えよう」
「やった!」
「…んで? 誰を生き返らせるんだ?」
「………」
俺達は互いに顔を見合わせた。
俺には思い当たる人は、1人しかいない。
でも、ヘラクレスやドナルドやグーフィーはどうだろう?
誰か大事な人がいるんだろうか?
「ソラ」
ヘラクレスが俺の名を呼ぶ。
「ソラ」
ドナルドとグーフィーも、いつもとは違う優しい口調で名を呼ぶ。
…いいのかな?
俺が決めても、いいのかな?
順番に3人の顔を見ていく。
目を合わせてくれてから、頷いて笑顔を向けてくれた。
そして俺もそれに応えるように大きく頷いた。
「じゃあ……」
そこで俺は振り返る。
目線の先にいる人物を見つめながら、俺達は声を合わせてその人の名を呼んだ。
「「「ラフテル!!」」」
第10章終
→第11章【帰ろう、ともに…】
22,sep,2015
19,Feb,2018 携帯版より転載