第10章【冥界コロシアム】
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≪ 87 ≫
ドナルドの声に我に返った瞬間、お姉さんが飛び掛かってきた。
咄嗟にキーブレードで受けるけど、物凄い力だ。
俺の体は簡単に飛ばされてハデスの部屋の扉に背中を打った。
「うっ…」
すぐに俺の前にドナルドとグーフィが来てくれたけど、その2人も簡単に飛ばされてしまった。
…やっぱりお姉さんは強いや。
お姉さんは何も言わない。
言葉もなく、ただ金色のキツイ目で俺を見下ろしてた。
ここまで来て、手ぶらで帰るわけには行かない。
せっかく、疲れた体に無理してまで時間を作ってくれた英雄に悪いもんね。
それに…。
「まだまだあ!」
飛び起きて武器を構えた。
お姉さんがその気なら俺だってやってやる。
気合いの掛け声と共にキーブレードを握る掌に力を込める。
負けたくない、負けられない。
お姉さんは本当に強い。
こっちの渾身の一撃もいとも簡単に弾いちゃうし、時々使ってくる魔法もドナルドが使うものとは全然違って威力が違いすぎる。
アーロンが使う武器は凄く大きくて威力があるってのはわかる。
だけどお姉さんの手にある武器は短くてそんなに太くないのが二本。
あんなの、キーブレードが当たっただけで折れそうなのに。
なのに、歯が立たない。
俺、結構素早さには自身あるのに、お姉さんはもっと早い。
それに、一番恐ろしいと思ったのは、“闇”。
ⅩⅢ機関の奴らみたいに移動したり攻撃する時に出てくる黒い煙みたいなやつ。
英雄が言ってた闇を纏うって、きっとこのことなんだ。
お姉さんから出てくる闇は、まるで生きてるみたいに見える。
近付いたり剣を合わせた瞬間、草の蔓みたいに腕に巻き付いてくる。
その度に力が入らなくなるみたいだ。
言葉を発する変わりに、お姉さんは金色の目で俺を見て、そして小さく笑ってみせる。
なんだろう、なんか、この感じ、前にも体験したことあるような気がする。
「…はぁ、はぁ、はぁ」
肩で息をしている俺と違って、息も乱さないお姉さんを見上げてると、ドナルドとグーフィが回復してくれた。
「助かるよ!」
元気を分けてもらって、俺はまた自分に気合いを入れ直す。
こんなときこそ、フィルに受けた特訓を思い出すんだ!
「ドナルド、グーフィ、力を貸して!」
俺達の最強必殺技、三位一体攻撃だ!
その技が決まる瞬間、お姉さんの口許が小さく笑ってたように見えたのは、俺の気のせいかな。
避けることもできなかったのか、まともに食らったお姉さんはさっきの俺みたいに壁に激突した。
そのまま、地面に座り込むみたいな体勢で動かなくなった。
3人で喜びの声を上げちゃったけど、お姉さん、大丈夫かな?
と思ったのは一瞬で、お姉さんはすぐに立ち上がって服の埃を払ってみせた。
その動きは凄くゆっくりで、よく見たら壁に背を預けてようやく立っている、って感じだった。
「あ、あの……」
俯いたままのお姉さんに声を掛ける。
お姉さんから発せられてた黒い靄みたいなものがすーっと消えて、顔を上げた口から血が流れていた。
「……見事だ、ソラ」
掠れた声で、そう言った。
これは、しなくていい戦いだったはずだ。
でも、きっと何か事情があるんだよね?
同じ世界から来たアーロンが一緒に帰りたい、心を取り戻したいって言ってた。
でも、それは難しいみたいで。
俺達のわからない、大人の事情ってやつ?
俺達がアーロンを元に戻せたら、次はお姉さんも戻せたらいいな。
「ここに用があるんだろ?」
「…いいの?」
「私に勝ったんだ、誇れ。 そして、友達を助けてやれ」
お姉さんは闇の扉を開けてくれた。
3人で迷わずそこへ飛び込む。
出た先は、あの時の部屋。
初めてアーロンとお姉さんに会った、ハデスの部屋。
…それにしても、“友達”なんて、どういう意味だろ?
まあ、いいや。
そしてそこで、俺達は見つけた。
きっとこれで元に戻せる!
一番先に手を出したのはドナルド。
彼にそっくりな人形に触れた途端、まるで雷にでも打たれたみたいに青白いスパークを放ちながらブルブル痺れ始めた。
「グワワワワワワ…!」
「ドナルド! あひょひょひょひょひょ…!」
「グーフィまで、…うわわわあああ…!!」
痺れたドナルドに触れたグーフィも痺れて、グーフィに触れた俺にまで伝わってきて、手が離せなかった。
なんとかドナルドを人形から引き剥がした瞬間、目の前を光の塊みたいなものがフワッと横切った。
そしてそれと同時に部屋の中に響く声。
『…えりましょ……、……なたが死ぬのはたえ……、……ラフテル、お前があ……、…ふざけるなっ!!…』
「これ、アーロンの声だよ!」
「アーロンの、記憶…?」
「たぶん、これがアーロンの心なんだ!」
これをアーロンに返せば、きっと元に戻る。
…問題は、どうやって持っていくか、だけど。
3人で顔を見合わせてなんとなく譲り合ってしまう。
またさっきみたいに痺れるのはゴメンだもんね。
2人して、俺の顔を見つめながら背中をつついてくるもんだから、俺がやるしかない。
ゴクリと生唾を飲み込んでから、取り出したキーブレードで人形に触れてみる。
2人がずっこけた姿が見えたけど、気にしない!
「よし、急いで闘技場に戻ろう!」
人形を握りしめ高々と掲げて見せた。
「へっぴり腰って言葉知ってる?」
ドナルドの小さな呟きが聞こえたけど、気にしない!
→
12,sep,2015
ドナルドの声に我に返った瞬間、お姉さんが飛び掛かってきた。
咄嗟にキーブレードで受けるけど、物凄い力だ。
俺の体は簡単に飛ばされてハデスの部屋の扉に背中を打った。
「うっ…」
すぐに俺の前にドナルドとグーフィが来てくれたけど、その2人も簡単に飛ばされてしまった。
…やっぱりお姉さんは強いや。
お姉さんは何も言わない。
言葉もなく、ただ金色のキツイ目で俺を見下ろしてた。
ここまで来て、手ぶらで帰るわけには行かない。
せっかく、疲れた体に無理してまで時間を作ってくれた英雄に悪いもんね。
それに…。
「まだまだあ!」
飛び起きて武器を構えた。
お姉さんがその気なら俺だってやってやる。
気合いの掛け声と共にキーブレードを握る掌に力を込める。
負けたくない、負けられない。
お姉さんは本当に強い。
こっちの渾身の一撃もいとも簡単に弾いちゃうし、時々使ってくる魔法もドナルドが使うものとは全然違って威力が違いすぎる。
アーロンが使う武器は凄く大きくて威力があるってのはわかる。
だけどお姉さんの手にある武器は短くてそんなに太くないのが二本。
あんなの、キーブレードが当たっただけで折れそうなのに。
なのに、歯が立たない。
俺、結構素早さには自身あるのに、お姉さんはもっと早い。
それに、一番恐ろしいと思ったのは、“闇”。
ⅩⅢ機関の奴らみたいに移動したり攻撃する時に出てくる黒い煙みたいなやつ。
英雄が言ってた闇を纏うって、きっとこのことなんだ。
お姉さんから出てくる闇は、まるで生きてるみたいに見える。
近付いたり剣を合わせた瞬間、草の蔓みたいに腕に巻き付いてくる。
その度に力が入らなくなるみたいだ。
言葉を発する変わりに、お姉さんは金色の目で俺を見て、そして小さく笑ってみせる。
なんだろう、なんか、この感じ、前にも体験したことあるような気がする。
「…はぁ、はぁ、はぁ」
肩で息をしている俺と違って、息も乱さないお姉さんを見上げてると、ドナルドとグーフィが回復してくれた。
「助かるよ!」
元気を分けてもらって、俺はまた自分に気合いを入れ直す。
こんなときこそ、フィルに受けた特訓を思い出すんだ!
「ドナルド、グーフィ、力を貸して!」
俺達の最強必殺技、三位一体攻撃だ!
その技が決まる瞬間、お姉さんの口許が小さく笑ってたように見えたのは、俺の気のせいかな。
避けることもできなかったのか、まともに食らったお姉さんはさっきの俺みたいに壁に激突した。
そのまま、地面に座り込むみたいな体勢で動かなくなった。
3人で喜びの声を上げちゃったけど、お姉さん、大丈夫かな?
と思ったのは一瞬で、お姉さんはすぐに立ち上がって服の埃を払ってみせた。
その動きは凄くゆっくりで、よく見たら壁に背を預けてようやく立っている、って感じだった。
「あ、あの……」
俯いたままのお姉さんに声を掛ける。
お姉さんから発せられてた黒い靄みたいなものがすーっと消えて、顔を上げた口から血が流れていた。
「……見事だ、ソラ」
掠れた声で、そう言った。
これは、しなくていい戦いだったはずだ。
でも、きっと何か事情があるんだよね?
同じ世界から来たアーロンが一緒に帰りたい、心を取り戻したいって言ってた。
でも、それは難しいみたいで。
俺達のわからない、大人の事情ってやつ?
俺達がアーロンを元に戻せたら、次はお姉さんも戻せたらいいな。
「ここに用があるんだろ?」
「…いいの?」
「私に勝ったんだ、誇れ。 そして、友達を助けてやれ」
お姉さんは闇の扉を開けてくれた。
3人で迷わずそこへ飛び込む。
出た先は、あの時の部屋。
初めてアーロンとお姉さんに会った、ハデスの部屋。
…それにしても、“友達”なんて、どういう意味だろ?
まあ、いいや。
そしてそこで、俺達は見つけた。
きっとこれで元に戻せる!
一番先に手を出したのはドナルド。
彼にそっくりな人形に触れた途端、まるで雷にでも打たれたみたいに青白いスパークを放ちながらブルブル痺れ始めた。
「グワワワワワワ…!」
「ドナルド! あひょひょひょひょひょ…!」
「グーフィまで、…うわわわあああ…!!」
痺れたドナルドに触れたグーフィも痺れて、グーフィに触れた俺にまで伝わってきて、手が離せなかった。
なんとかドナルドを人形から引き剥がした瞬間、目の前を光の塊みたいなものがフワッと横切った。
そしてそれと同時に部屋の中に響く声。
『…えりましょ……、……なたが死ぬのはたえ……、……ラフテル、お前があ……、…ふざけるなっ!!…』
「これ、アーロンの声だよ!」
「アーロンの、記憶…?」
「たぶん、これがアーロンの心なんだ!」
これをアーロンに返せば、きっと元に戻る。
…問題は、どうやって持っていくか、だけど。
3人で顔を見合わせてなんとなく譲り合ってしまう。
またさっきみたいに痺れるのはゴメンだもんね。
2人して、俺の顔を見つめながら背中をつついてくるもんだから、俺がやるしかない。
ゴクリと生唾を飲み込んでから、取り出したキーブレードで人形に触れてみる。
2人がずっこけた姿が見えたけど、気にしない!
「よし、急いで闘技場に戻ろう!」
人形を握りしめ高々と掲げて見せた。
「へっぴり腰って言葉知ってる?」
ドナルドの小さな呟きが聞こえたけど、気にしない!
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12,sep,2015