第9章【覚悟を決めよう】
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『80』~ともだちの形~
気が付いたらこの世界にいた事、アーロンの事、ケルベロスと戦った事、英雄の卵として訓練を受けていた事、そして実際にキーブレードを使って闘った時の事。
私がソラという少年と関わったことを掻い摘んで話した。
私とアーロンの問題に首を突っ込んで、真剣に説得しようとしてみたり、私達の戦いを止めに入ったりしたこともあった。
ハートレスである私には、確かにキーブレードは脅威だし邪魔なものだ。
だがそれを操る少年の方は、真っ直ぐで素直で、眩しすぎる。
「………」
僅かに俯いたフードを被ったままの顔の、口元の辺りに片手を当てた男の肩が小さく揺れている事に気付いた。
…まさか、笑っている…?
「…笑ってる、のか?」
「そうだな、あいつらしい、と思ってな」
やはりこいつはソラをよく知っている。
キーブレードを操る光に包まれた少年と、正反対の闇の中に身を置くこの人物。
こいつらがどんな関係なのか、少しだけ興味が沸いた。
「…あんたは、誰なんだ?」
男が改めて私のほうに向き直った。
そして徐にフードを外した。
後方に綺麗に撫でつけて整えられた銀髪に、浅黒い肌、切れ長の目は色の濃い金色だった。
声から想像していたよりも若い。
私とそう変わらない歳の頃だろうか。
それに、私の目の錯覚だろうか?
私の目の前に立つ男の頭ひとつ分低い辺りに、ぼんやりともう一人の影が見える。
「おれは、ソラの友達でありたいと願っている」
「…ともだち…、…だが」
「…あぁ、わかってる。 この姿は、仮初だ。 このままではソラには会えない。 だが力を貸すことはできる。 …俺達は、繋がっているから」
胸が、もやもやする。 きゅうっと締め付けられるような気がした。
これは、何だ?
頭に浮かんだのは、いつかの光景と台詞。
私に、ともだちになりたいと言ってくれた、あの少女達。
この感情を何と言うのだろう?
記憶だけは有るのに、心がない私には、味わうことができない感じることができない感覚だ。
この男の言葉で、私の中の記憶が急に蘇ったのか。
「お前こそどうなんだ。 元の世界に帰りたくはないのか? その姿だ、記憶も残っているんだろう? 心のないハートレスのままでは、記憶も失われていくだけだ」
「…戻れるものなら、今すぐにでも戻りたい。 ……だが、できないんだ」
あいつが、私を探していたということは知ってる。
私も早く元の世界に戻りたいと思っているのは同じだ。
だが、今の私にはできない。
元の世界、異界に存在していた頃の体ではないのだ。
心もなく、喜びも悲しみも感じることはない。
なまじ記憶など残っている為、思い出さなくてもいい記憶ばかりが甦り、記憶に残った感情の感覚で心があるかのように振る舞ってしまう。
いっそのこと、記憶など残らなければよかったのに。
…そんなことを言ってしまったら、もう1人の私であるファレルクスに悪いだろうか?
「お前を縛っている契約とは何だ?」
「…あんたに話したところで何の意味もない」
「確かにそうかもしれないが、 ……ハートレスであるお前を解放する手はある」
「!!」
「お前に、覚悟があるのなら、の話しだがな」
「………」
解放、される……。
…本当に?
「ソラのことを教えてくれた礼に話してやる。 …だが、それを実行するかどうかは、お前次第だ」
→
5,sep,2015
気が付いたらこの世界にいた事、アーロンの事、ケルベロスと戦った事、英雄の卵として訓練を受けていた事、そして実際にキーブレードを使って闘った時の事。
私がソラという少年と関わったことを掻い摘んで話した。
私とアーロンの問題に首を突っ込んで、真剣に説得しようとしてみたり、私達の戦いを止めに入ったりしたこともあった。
ハートレスである私には、確かにキーブレードは脅威だし邪魔なものだ。
だがそれを操る少年の方は、真っ直ぐで素直で、眩しすぎる。
「………」
僅かに俯いたフードを被ったままの顔の、口元の辺りに片手を当てた男の肩が小さく揺れている事に気付いた。
…まさか、笑っている…?
「…笑ってる、のか?」
「そうだな、あいつらしい、と思ってな」
やはりこいつはソラをよく知っている。
キーブレードを操る光に包まれた少年と、正反対の闇の中に身を置くこの人物。
こいつらがどんな関係なのか、少しだけ興味が沸いた。
「…あんたは、誰なんだ?」
男が改めて私のほうに向き直った。
そして徐にフードを外した。
後方に綺麗に撫でつけて整えられた銀髪に、浅黒い肌、切れ長の目は色の濃い金色だった。
声から想像していたよりも若い。
私とそう変わらない歳の頃だろうか。
それに、私の目の錯覚だろうか?
私の目の前に立つ男の頭ひとつ分低い辺りに、ぼんやりともう一人の影が見える。
「おれは、ソラの友達でありたいと願っている」
「…ともだち…、…だが」
「…あぁ、わかってる。 この姿は、仮初だ。 このままではソラには会えない。 だが力を貸すことはできる。 …俺達は、繋がっているから」
胸が、もやもやする。 きゅうっと締め付けられるような気がした。
これは、何だ?
頭に浮かんだのは、いつかの光景と台詞。
私に、ともだちになりたいと言ってくれた、あの少女達。
この感情を何と言うのだろう?
記憶だけは有るのに、心がない私には、味わうことができない感じることができない感覚だ。
この男の言葉で、私の中の記憶が急に蘇ったのか。
「お前こそどうなんだ。 元の世界に帰りたくはないのか? その姿だ、記憶も残っているんだろう? 心のないハートレスのままでは、記憶も失われていくだけだ」
「…戻れるものなら、今すぐにでも戻りたい。 ……だが、できないんだ」
あいつが、私を探していたということは知ってる。
私も早く元の世界に戻りたいと思っているのは同じだ。
だが、今の私にはできない。
元の世界、異界に存在していた頃の体ではないのだ。
心もなく、喜びも悲しみも感じることはない。
なまじ記憶など残っている為、思い出さなくてもいい記憶ばかりが甦り、記憶に残った感情の感覚で心があるかのように振る舞ってしまう。
いっそのこと、記憶など残らなければよかったのに。
…そんなことを言ってしまったら、もう1人の私であるファレルクスに悪いだろうか?
「お前を縛っている契約とは何だ?」
「…あんたに話したところで何の意味もない」
「確かにそうかもしれないが、 ……ハートレスであるお前を解放する手はある」
「!!」
「お前に、覚悟があるのなら、の話しだがな」
「………」
解放、される……。
…本当に?
「ソラのことを教えてくれた礼に話してやる。 …だが、それを実行するかどうかは、お前次第だ」
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5,sep,2015