第9章【覚悟を決めよう】
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『79』~3人目の黒~
変態野郎の部屋から出て、薄暗い洞窟の細い小道をゆっくり歩いた。
頭の中に浮かぶのは、聞かされた話の内容。
ファレルクスという名のもう1人の私。
彼女が目を覚ました時、何を思ったんだろう。何を感じたんだろう?
私の記憶から生まれたのならば、きっと私も同じことを考えただろう。
目覚めた自分が本当の自分ではなく、作られた存在だと理解したら…。
いや、そう簡単には受け入れられないだろう。
…今の私のように。
そうだ、作られた人形だというファレルクスは、作られたハートレスである私と同じなのだ。
そんな考えに没頭してしまっていた私の目の前に、闇の扉が現れた。
足を止め、そこから姿を見せた人物に目を見張る。
顔をすっかり覆っているフードとよく見覚えのある黒いコート。
「…ⅩⅢ、機関…?」
私がここにいたことは、こいつにとっては想定外だったのか、私が発した声に反応してこちらを向いた。
これは、誰だ!?
シグバールではない、一番最初に出会ったあの若者とも違う。
シグバールも一度帰還すると言っていた。
彼の代わりに機関から派遣されたメンバーだろうか?
コートの人物は数歩こちらに足を進めると、突然眼前に武器の尖端を突き付けた。
「…お前のようなハートレスがなぜこんなところをうろうろしている」
男の声だ。太い、力強い男の声。
「…私がハートレスだと?」
「それだけ闇の気配を振り撒いていれば当然だ」
闇の、気配…。
そうか、そうだろう。私は闇の側の存在だ。
そして、目の前の男もシグバールも、闇の存在。
私にも感じる。彼らの持つ、闇の気配を。
「ここにキーブレード使いが来たはずだ。 なぜハートレスであるお前が存在している?」
「キーブレード…? ソラのことか?」
「!! …ソラを、知っているのか」
男が纏う雰囲気が突然変わった。
禍々しささえ感じていた気は急激に収まって、それどころか夜が終わりを告げて空が白んでくるような感覚。
重く暗い曇天から幾本もの光の筋が零れ落ちてくるような、それまで闇に覆われていたはずなのに、なぜだろうか、この男からは、ソラのような輝きを感じた。
男が私に突き付けていた武器を腕と共に下ろした。
「あの子は、私を倒せない。 あの子は、私がハートレスであることを、たぶん知らない」
「何故だ?」
「私と同じ世界から来た男に手を貸してしまったから」
「…詳しく聞かせてくれ」
私の言葉に興味を覚えたのか妙に食いついてきた。
ソラを知ってる、ということは、こいつもキーブレードに関連した何らかの因縁があるのか、それともソラ本人か…?
「あんたが聞きたいのは、ハートレスである私のことか? キーブレードに選ばれた少年のことか?」
私の問いに、男は何も答えなかった。
ただじっと、私の答えを待っているかのようだった。
力ずくで聞き出すでもなく、見返りを求めるでもなく、私が話すのを当然のようにただ待っていた。
正直言って、どうすればいいのかわからない。
シグバール達のような黒い服を身に纏っているが、こいつもⅩⅢ機関の人間なのかわからない。
ただ、こいつは機関の奴らと同じような闇の者。
光に包まれたあの少年の事を話していいものなのだろうか。
「…はぁ、 話すと言っても、私もそれほど知っているわけではない」
「お前が見聞きしたことだけでいい」
小さく溜息を零しながら発した私の言葉に、男はすぐに返してよこす。
いいからさっさと言え、と無言の脅迫を受けているようにすら感じてしまった。
→
4,sep,2015
変態野郎の部屋から出て、薄暗い洞窟の細い小道をゆっくり歩いた。
頭の中に浮かぶのは、聞かされた話の内容。
ファレルクスという名のもう1人の私。
彼女が目を覚ました時、何を思ったんだろう。何を感じたんだろう?
私の記憶から生まれたのならば、きっと私も同じことを考えただろう。
目覚めた自分が本当の自分ではなく、作られた存在だと理解したら…。
いや、そう簡単には受け入れられないだろう。
…今の私のように。
そうだ、作られた人形だというファレルクスは、作られたハートレスである私と同じなのだ。
そんな考えに没頭してしまっていた私の目の前に、闇の扉が現れた。
足を止め、そこから姿を見せた人物に目を見張る。
顔をすっかり覆っているフードとよく見覚えのある黒いコート。
「…ⅩⅢ、機関…?」
私がここにいたことは、こいつにとっては想定外だったのか、私が発した声に反応してこちらを向いた。
これは、誰だ!?
シグバールではない、一番最初に出会ったあの若者とも違う。
シグバールも一度帰還すると言っていた。
彼の代わりに機関から派遣されたメンバーだろうか?
コートの人物は数歩こちらに足を進めると、突然眼前に武器の尖端を突き付けた。
「…お前のようなハートレスがなぜこんなところをうろうろしている」
男の声だ。太い、力強い男の声。
「…私がハートレスだと?」
「それだけ闇の気配を振り撒いていれば当然だ」
闇の、気配…。
そうか、そうだろう。私は闇の側の存在だ。
そして、目の前の男もシグバールも、闇の存在。
私にも感じる。彼らの持つ、闇の気配を。
「ここにキーブレード使いが来たはずだ。 なぜハートレスであるお前が存在している?」
「キーブレード…? ソラのことか?」
「!! …ソラを、知っているのか」
男が纏う雰囲気が突然変わった。
禍々しささえ感じていた気は急激に収まって、それどころか夜が終わりを告げて空が白んでくるような感覚。
重く暗い曇天から幾本もの光の筋が零れ落ちてくるような、それまで闇に覆われていたはずなのに、なぜだろうか、この男からは、ソラのような輝きを感じた。
男が私に突き付けていた武器を腕と共に下ろした。
「あの子は、私を倒せない。 あの子は、私がハートレスであることを、たぶん知らない」
「何故だ?」
「私と同じ世界から来た男に手を貸してしまったから」
「…詳しく聞かせてくれ」
私の言葉に興味を覚えたのか妙に食いついてきた。
ソラを知ってる、ということは、こいつもキーブレードに関連した何らかの因縁があるのか、それともソラ本人か…?
「あんたが聞きたいのは、ハートレスである私のことか? キーブレードに選ばれた少年のことか?」
私の問いに、男は何も答えなかった。
ただじっと、私の答えを待っているかのようだった。
力ずくで聞き出すでもなく、見返りを求めるでもなく、私が話すのを当然のようにただ待っていた。
正直言って、どうすればいいのかわからない。
シグバール達のような黒い服を身に纏っているが、こいつもⅩⅢ機関の人間なのかわからない。
ただ、こいつは機関の奴らと同じような闇の者。
光に包まれたあの少年の事を話していいものなのだろうか。
「…はぁ、 話すと言っても、私もそれほど知っているわけではない」
「お前が見聞きしたことだけでいい」
小さく溜息を零しながら発した私の言葉に、男はすぐに返してよこす。
いいからさっさと言え、と無言の脅迫を受けているようにすら感じてしまった。
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4,sep,2015