第9章【覚悟を決めよう】
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『77』~どうしても知りたい~
「(………、……)」
翳した手をそのまま止めてしまった。
変態野郎の部屋の扉の前に来たときだった。
中から誰かの話し声が聞こえた。
聞いたことの、ある声。
これは……、…シグバール!?
別に立ち聞きするつもりも盗み聞きするつもりもなかった。
だが、部屋の中から漏れ聞こえる会話の中に私の名が出たような気がした。
気のせいかとも思ったが、なんということもない。
入って確かめればいいだけの話だ。
迷うこともなく扉に手をかける。
そっと開いた僅かな隙間から、冥界の底のあの嫌な匂いが漏れてきた。
その時突然、私の侵入を阻むかのように、扉の端にクナイのようなものが2本、小気味良い音を立てて突き刺さった。
「!!」
少々驚いたが、気にせず扉を開けて姿を見せた。
部屋の中には変態野郎と、こちらに武器を向けたままのシグバール。
「…なんだ、子猫ちゃんか」
私の姿を見た途端、剥き出しだった殺気は嘘のように立ち消え、扉の端に刺さったものも煙のように闇に消えた。
「シグバール、ここで何を…」
「ラフテル~、お前からここに来るなんて珍しい」
「呼ぶな、気色悪い」
「こいつは良くて俺にはなんて言種 だ!」
「ハハハハ! お前達おもしろいな。 だが丁度よかった。 この際だからはっきりさせとこう」
シグバールがその場で闇に溶け、次の瞬間、私の腰はぐいと引き寄せられた。
一瞬で好きな場所に移動できるなんて、いい能力だと思ってしまう。
私はせいぜい抜け道を作り出すことしかできない。
「おいっ貴様! ラフテルは俺のハートレスだぞ! どういうことだ?」
「だから、こういうこと。 主人に逆らう奴なんていらないよなってハナシ」
そう言って、シグバールは更に私を引き寄せた。
私は訳がわからずシグバールから逃れようと腕を突いてみるが、どうしてこう男どもの女を拘束する力って無駄に強いんだ。
「嫌がってるじゃねーか、ラフテルを離せ!」
「別に取って食おうってわけじゃない。 奴に聞きたいことがあっただけなんだが、これがまた手強くてね。 なかなか教えてくれない」
「それで私を利用しようと思ったのか。 私にはそんな価値はないぞ」
「そうでもなさそうだけどな」
変態野郎のほうに視線を向けたシグバールの顔は楽しげに歪んでいた。
逆に苦虫を噛み潰したかのように顔をしかめた変態野郎は、それでもすぐにいつもの気取ったポーズで何かを考え始めた。
「…で、何を聞きたかったんだ?」
「おたくの答えをまだ貰ってない質問と同じさ。 おたくというハートレスをどこから生み出したのか、知りたくてねえ」
「…はあ、…わかった。 言うから手を離してくれ。 私から言えばこいつも話す気になるだろう」
「俺はこのままでも一向に構わんが?」
顔は笑っているが、目はそうじゃない。シグバールの鈍く光る金色の目は、暗に私を脅しているのだ。
だが、こんな目をしても私には意味はない。よく知っているのだから…。
→
2,sep,2015
「(………、……)」
翳した手をそのまま止めてしまった。
変態野郎の部屋の扉の前に来たときだった。
中から誰かの話し声が聞こえた。
聞いたことの、ある声。
これは……、…シグバール!?
別に立ち聞きするつもりも盗み聞きするつもりもなかった。
だが、部屋の中から漏れ聞こえる会話の中に私の名が出たような気がした。
気のせいかとも思ったが、なんということもない。
入って確かめればいいだけの話だ。
迷うこともなく扉に手をかける。
そっと開いた僅かな隙間から、冥界の底のあの嫌な匂いが漏れてきた。
その時突然、私の侵入を阻むかのように、扉の端にクナイのようなものが2本、小気味良い音を立てて突き刺さった。
「!!」
少々驚いたが、気にせず扉を開けて姿を見せた。
部屋の中には変態野郎と、こちらに武器を向けたままのシグバール。
「…なんだ、子猫ちゃんか」
私の姿を見た途端、剥き出しだった殺気は嘘のように立ち消え、扉の端に刺さったものも煙のように闇に消えた。
「シグバール、ここで何を…」
「ラフテル~、お前からここに来るなんて珍しい」
「呼ぶな、気色悪い」
「こいつは良くて俺にはなんて
「ハハハハ! お前達おもしろいな。 だが丁度よかった。 この際だからはっきりさせとこう」
シグバールがその場で闇に溶け、次の瞬間、私の腰はぐいと引き寄せられた。
一瞬で好きな場所に移動できるなんて、いい能力だと思ってしまう。
私はせいぜい抜け道を作り出すことしかできない。
「おいっ貴様! ラフテルは俺のハートレスだぞ! どういうことだ?」
「だから、こういうこと。 主人に逆らう奴なんていらないよなってハナシ」
そう言って、シグバールは更に私を引き寄せた。
私は訳がわからずシグバールから逃れようと腕を突いてみるが、どうしてこう男どもの女を拘束する力って無駄に強いんだ。
「嫌がってるじゃねーか、ラフテルを離せ!」
「別に取って食おうってわけじゃない。 奴に聞きたいことがあっただけなんだが、これがまた手強くてね。 なかなか教えてくれない」
「それで私を利用しようと思ったのか。 私にはそんな価値はないぞ」
「そうでもなさそうだけどな」
変態野郎のほうに視線を向けたシグバールの顔は楽しげに歪んでいた。
逆に苦虫を噛み潰したかのように顔をしかめた変態野郎は、それでもすぐにいつもの気取ったポーズで何かを考え始めた。
「…で、何を聞きたかったんだ?」
「おたくの答えをまだ貰ってない質問と同じさ。 おたくというハートレスをどこから生み出したのか、知りたくてねえ」
「…はあ、…わかった。 言うから手を離してくれ。 私から言えばこいつも話す気になるだろう」
「俺はこのままでも一向に構わんが?」
顔は笑っているが、目はそうじゃない。シグバールの鈍く光る金色の目は、暗に私を脅しているのだ。
だが、こんな目をしても私には意味はない。よく知っているのだから…。
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2,sep,2015