第9章【覚悟を決めよう】
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『75』~重ねてしまう~
…夢?
夢を、見てる…?
……ああ、なんだ、いつもの夢か。
私の前を歩く広い背中と、歩く度に尻尾のように揺れる長い髪。
あんたのこの夢を見るの、久しぶりな気がする。
私の少し前を歩いて立ち止まり、振り返って私の名を呼ぶ。
そうすると私は目覚めてしまう。
いつもそうだ。
ほら、この夢の中のあんたも立ち止まった。
ゆっくりと私の方を振り向いたその顔は、アーロンじゃなかった!
「アーロン!!」
「うおっ、びっくりした」
「!?」
目が覚めた私のすぐ近くから聞こえた声に、こちらのほうが困惑してしまう。
体を起こして辺りを見回した。
ここはどこだ?
それにこいつは…。
「…シグバール」
どういうことだ?
なぜこいつがここにいる?
今までやっていた戦いはどうなった…?
「さっきは邪魔が入ったからな。 …ま、少々強引だがもう1つの質問の答えを聞かなきゃならんのでな、ご同行頂いたってハナシ」
「その答えはそんなに重要なのか」
「まあ、…多少は? それにおたく、わざと悪役になろうとしてないか?」
「!!」
そんなことはないと言おうとして、言葉を飲んだ。
答える代わりに自嘲のような笑みを浮かべた。
それを見て、奴もへへっと笑って見せた。
私達がいたところはコロシアムの外壁の上だった。
私が見慣れた姿は留めておらず、一体何があったのか瓦礫の山と化していた。
大方変態野郎が連れてきた冥界の怪物達の仕業だろう。
私がこいつに抱えられ、情けないことに眠りこけている間に、ソラ達はここで魔物と戦っていたらしい。
その後すぐに私とアーロンを探しに再び冥界の中へ戻って行ったのだそうだ。
英雄の卵は忙しそうだ。
「ま、あそこで俺がおたくを連れ出しちまったからなあ」
なんて他人事のように呟いたこいつは全く悪びれてもおらず、それどころかどこか楽しそうにさえ見えた。
そうだ、こいつも心がないんだったな。
私と同じように…。
「あんた達は……、いや、そっちの質問に答えるのが先だな。 もう1つの質問とは何だ?」
「…じゃあ、こちらからのもう1つの質問だ。 おたくはハートレスだ。 …ではおたくのノーバディはどこにいる?」
「……ノーバディ…?」
たしか、先程その言葉を聞いていた。
ヒトの心の脱け殻、だったか。
つまり、私というハートレスが抜けた脱け殻、私の元の体だったもの。
だがそれは必ずしもノーバディとなるわけではないはず。
「私のノーバディが存在していると?」
「勿論存在してる」
「なぜそう言い切れる?」
「おたくは人間だった時の姿も記憶も持った、超レアな存在だ。 前に言ったろ? 余程強い心を持っていたのだろうと。
おたくほどのハートレスとなる心の持ち主ならば、当然ノーバディもいる。 それに…」
「?」
そこで言葉を切ったシグバールは、じっと私の目を見つめた。
「……な、なんだ…?」
その真剣な眼差しに私はどうしたらいいのか反応に困ってしまう。
奴が向けて寄越す視線の重さに耐えきれなくなって、思わずふいとこちらから視線を外してしまった。
「…ファレルクス…」
「だから、私は……」
まだその名を呼ぶのかと、文句の1つでも言い返そうと思ったが、奴のほうに視線を戻したら言葉は出なくなった。
たった1つしかない眼は、両方の分の眼力を宿しているのだろう。
だからアーロンの視線もあんなに熱く感じるのかもしれない。
そして同時に浮かんできた、いつかの記憶。
…こいつと、前にも会ったことがあるような?
記憶違い、だろうか?
誰かと勘違いしてる?
→
31,aug,2015
…夢?
夢を、見てる…?
……ああ、なんだ、いつもの夢か。
私の前を歩く広い背中と、歩く度に尻尾のように揺れる長い髪。
あんたのこの夢を見るの、久しぶりな気がする。
私の少し前を歩いて立ち止まり、振り返って私の名を呼ぶ。
そうすると私は目覚めてしまう。
いつもそうだ。
ほら、この夢の中のあんたも立ち止まった。
ゆっくりと私の方を振り向いたその顔は、アーロンじゃなかった!
「アーロン!!」
「うおっ、びっくりした」
「!?」
目が覚めた私のすぐ近くから聞こえた声に、こちらのほうが困惑してしまう。
体を起こして辺りを見回した。
ここはどこだ?
それにこいつは…。
「…シグバール」
どういうことだ?
なぜこいつがここにいる?
今までやっていた戦いはどうなった…?
「さっきは邪魔が入ったからな。 …ま、少々強引だがもう1つの質問の答えを聞かなきゃならんのでな、ご同行頂いたってハナシ」
「その答えはそんなに重要なのか」
「まあ、…多少は? それにおたく、わざと悪役になろうとしてないか?」
「!!」
そんなことはないと言おうとして、言葉を飲んだ。
答える代わりに自嘲のような笑みを浮かべた。
それを見て、奴もへへっと笑って見せた。
私達がいたところはコロシアムの外壁の上だった。
私が見慣れた姿は留めておらず、一体何があったのか瓦礫の山と化していた。
大方変態野郎が連れてきた冥界の怪物達の仕業だろう。
私がこいつに抱えられ、情けないことに眠りこけている間に、ソラ達はここで魔物と戦っていたらしい。
その後すぐに私とアーロンを探しに再び冥界の中へ戻って行ったのだそうだ。
英雄の卵は忙しそうだ。
「ま、あそこで俺がおたくを連れ出しちまったからなあ」
なんて他人事のように呟いたこいつは全く悪びれてもおらず、それどころかどこか楽しそうにさえ見えた。
そうだ、こいつも心がないんだったな。
私と同じように…。
「あんた達は……、いや、そっちの質問に答えるのが先だな。 もう1つの質問とは何だ?」
「…じゃあ、こちらからのもう1つの質問だ。 おたくはハートレスだ。 …ではおたくのノーバディはどこにいる?」
「……ノーバディ…?」
たしか、先程その言葉を聞いていた。
ヒトの心の脱け殻、だったか。
つまり、私というハートレスが抜けた脱け殻、私の元の体だったもの。
だがそれは必ずしもノーバディとなるわけではないはず。
「私のノーバディが存在していると?」
「勿論存在してる」
「なぜそう言い切れる?」
「おたくは人間だった時の姿も記憶も持った、超レアな存在だ。 前に言ったろ? 余程強い心を持っていたのだろうと。
おたくほどのハートレスとなる心の持ち主ならば、当然ノーバディもいる。 それに…」
「?」
そこで言葉を切ったシグバールは、じっと私の目を見つめた。
「……な、なんだ…?」
その真剣な眼差しに私はどうしたらいいのか反応に困ってしまう。
奴が向けて寄越す視線の重さに耐えきれなくなって、思わずふいとこちらから視線を外してしまった。
「…ファレルクス…」
「だから、私は……」
まだその名を呼ぶのかと、文句の1つでも言い返そうと思ったが、奴のほうに視線を戻したら言葉は出なくなった。
たった1つしかない眼は、両方の分の眼力を宿しているのだろう。
だからアーロンの視線もあんなに熱く感じるのかもしれない。
そして同時に浮かんできた、いつかの記憶。
…こいつと、前にも会ったことがあるような?
記憶違い、だろうか?
誰かと勘違いしてる?
→
31,aug,2015