第8章【感情は心より生まれる】
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【 73 】
「アーロン、あの人、だろ? アーロンが言ってた人…」
「…あぁ」
「どうして戦ってるんだ!? 心を取り戻すことはできたのか?」
見つけたと思ったら見失い、触れられたと思えばすり抜けていき、捕まえたと思っても消えてしまう。
そうやってお前はいつも俺の前から姿を消す。
幼い頃から近くにいたはずだというのに、お前と共に過ごした時間は、あまりにも短い。
これは天が俺に与えた罰だとでもいうのか。
…定められた運命なのか。
ブラスカもジェクトも、ティーダもキノックも、そして、ラフテルも。
俺に近付く者は皆消えていく。
俺の側にいることを許されぬかのように。
今も、同じだ。
こんな地の奥底の暗い世界にまでやってきて、やっとお前を、本当のお前を見つけたのに、こうも拒絶される。
…教えてくれ。俺は、どうしたらいいのか…。
「キャ————ッ!!」
甲高い悲鳴が岩の洞窟内に響き渡る。
はっとして顔を上げ、悲鳴が上がった辺りに視線を向けた。
その先にいたのは、真っ白な羽の生えた馬に乗っていた女。
と、その喉元に剣先を突き付けたラフテル。
「何するんだ!」
「メグ!」
この女性が何者でここにいる者達とどんな関係があるのかなどさっぱりわからんが、ラフテルが取っている行動はどう見ても好ましいとは思えない。
あいつは一体何を考えているんだ?
ソラが素早くそちらへ駆け寄って武器を構えた。
「お姉さん、またメグを拐って何かさせるつもり?」
「…拐うつもりなどない。 もうこの女は用済みだ」
「じゃあどうして!?」
ラフテルは手にしていた武器を今度はソラに向けて突き出した。
「!?」
「…私が用があるのは、そっちだ」
「ええっ!? 僕達?」
「また戦わなくちゃいけないのかな?」
「じゃあそう言えばいいだろ、メグは関係ない!」
「…彼女は、お前達を怒らせるための道具だ。 私にとっても意味はない。 …ただ…」
「?」
「…あの男の見てる前で、そいつが探していた女を倒せるのかと思ってね。 光の戦士であるお前達に…」
「!! そ、それは…」
ソラ達がちらりとこちらを振り返る。
保たれていた気持ちが揺らいでいるのが、漂う気配で丸わかりだ。
ソラの殺気がどんどん小さくなる。
「どうした? やはりこの女を傷つけねば私と戦えないのか?」
「やめろ! そんなことしなくても、戦ってやる! メグを離せ!」
口調は挑発的で強いものだが、気迫が丸で感じられない。
こんな状態であいつとまともにやりあえる訳がない。
ましてやソラはまだこんなにも幼いのだ。
だがなぜ、ラフテルはソラと戦わねばならないんだ…?
「…そうか」
納得したかのようにラフテルは手にしていた武器を下ろし、深く瞬きをするかのように一度俯いてからしっかりとソラを見た。
ラフテルと目が合った瞬間、ソラは瞬間的に怯んだのだろう。
ビクリと僅かに肩が震えた。
…俺はここで何をしている?
あんな子供が戦おうとしているというのに、ただここで傍観か?
だが…。
「メグ、早くヘラクレスのところへ! 俺も、必ず行くから!」
ソラの力強い言葉を受けて、女性を乗せた馬が高く舞い上がった。
「…うーん、ソラを本気にさせる手駒がなくなってしまったな。 さてどうしたものか」
「もう冥界の呪いは消えたんだ、あの時とは違う!」
「そうか、じゃあ私も消してみろ」
「い、言われなくても! ドナルド、グーフィー、行くよ!」
だが俺は、動けなかった。
俺の体はまだ呪いとやらが蝕んでいるせいか、思うように動けない。
これではかえってあの子供達の足を引くことになる。
ソラ達の本当の戦いを目にして愕然とする。
以前共に戦った時とは全く違う動きや力の強さに言葉も出ない。
これが、彼らの本当の力なのか。
「どうした、キーブレードの力はそんなものか?」
ラフテルの顔には余裕の笑みさえ浮かんでいる。
先程自分が戦った時にも感じたが、ラフテルの力が増しているようだ。
この世界で初めてお前の姿を見て戦ったあの時はまだ、それまでのよく知る彼女だったはずだが、あれから時間が過ぎて、ラフテルの纏う気配や雰囲気が違ってきている…?
禍々しささえ感じるような、彼女本来のものとは思えない黒い闇に取り付かれているようだ。
まさか、その闇の力がラフテルをああも変えてしまったのだろうか?
「やあっ!!」
ソラの覇気の込められた一撃がラフテルの頭上から振り下ろされる。
だがそれすらも軽く往なして、逆にソラを地面に叩き付ける。
思わず体が動いた。
咄嗟のことだったのだろう。
考えるより早かった。
体勢を立て直そうとしているソラの前へ飛び出した。
→
28,aug,2015
「アーロン、あの人、だろ? アーロンが言ってた人…」
「…あぁ」
「どうして戦ってるんだ!? 心を取り戻すことはできたのか?」
見つけたと思ったら見失い、触れられたと思えばすり抜けていき、捕まえたと思っても消えてしまう。
そうやってお前はいつも俺の前から姿を消す。
幼い頃から近くにいたはずだというのに、お前と共に過ごした時間は、あまりにも短い。
これは天が俺に与えた罰だとでもいうのか。
…定められた運命なのか。
ブラスカもジェクトも、ティーダもキノックも、そして、ラフテルも。
俺に近付く者は皆消えていく。
俺の側にいることを許されぬかのように。
今も、同じだ。
こんな地の奥底の暗い世界にまでやってきて、やっとお前を、本当のお前を見つけたのに、こうも拒絶される。
…教えてくれ。俺は、どうしたらいいのか…。
「キャ————ッ!!」
甲高い悲鳴が岩の洞窟内に響き渡る。
はっとして顔を上げ、悲鳴が上がった辺りに視線を向けた。
その先にいたのは、真っ白な羽の生えた馬に乗っていた女。
と、その喉元に剣先を突き付けたラフテル。
「何するんだ!」
「メグ!」
この女性が何者でここにいる者達とどんな関係があるのかなどさっぱりわからんが、ラフテルが取っている行動はどう見ても好ましいとは思えない。
あいつは一体何を考えているんだ?
ソラが素早くそちらへ駆け寄って武器を構えた。
「お姉さん、またメグを拐って何かさせるつもり?」
「…拐うつもりなどない。 もうこの女は用済みだ」
「じゃあどうして!?」
ラフテルは手にしていた武器を今度はソラに向けて突き出した。
「!?」
「…私が用があるのは、そっちだ」
「ええっ!? 僕達?」
「また戦わなくちゃいけないのかな?」
「じゃあそう言えばいいだろ、メグは関係ない!」
「…彼女は、お前達を怒らせるための道具だ。 私にとっても意味はない。 …ただ…」
「?」
「…あの男の見てる前で、そいつが探していた女を倒せるのかと思ってね。 光の戦士であるお前達に…」
「!! そ、それは…」
ソラ達がちらりとこちらを振り返る。
保たれていた気持ちが揺らいでいるのが、漂う気配で丸わかりだ。
ソラの殺気がどんどん小さくなる。
「どうした? やはりこの女を傷つけねば私と戦えないのか?」
「やめろ! そんなことしなくても、戦ってやる! メグを離せ!」
口調は挑発的で強いものだが、気迫が丸で感じられない。
こんな状態であいつとまともにやりあえる訳がない。
ましてやソラはまだこんなにも幼いのだ。
だがなぜ、ラフテルはソラと戦わねばならないんだ…?
「…そうか」
納得したかのようにラフテルは手にしていた武器を下ろし、深く瞬きをするかのように一度俯いてからしっかりとソラを見た。
ラフテルと目が合った瞬間、ソラは瞬間的に怯んだのだろう。
ビクリと僅かに肩が震えた。
…俺はここで何をしている?
あんな子供が戦おうとしているというのに、ただここで傍観か?
だが…。
「メグ、早くヘラクレスのところへ! 俺も、必ず行くから!」
ソラの力強い言葉を受けて、女性を乗せた馬が高く舞い上がった。
「…うーん、ソラを本気にさせる手駒がなくなってしまったな。 さてどうしたものか」
「もう冥界の呪いは消えたんだ、あの時とは違う!」
「そうか、じゃあ私も消してみろ」
「い、言われなくても! ドナルド、グーフィー、行くよ!」
だが俺は、動けなかった。
俺の体はまだ呪いとやらが蝕んでいるせいか、思うように動けない。
これではかえってあの子供達の足を引くことになる。
ソラ達の本当の戦いを目にして愕然とする。
以前共に戦った時とは全く違う動きや力の強さに言葉も出ない。
これが、彼らの本当の力なのか。
「どうした、キーブレードの力はそんなものか?」
ラフテルの顔には余裕の笑みさえ浮かんでいる。
先程自分が戦った時にも感じたが、ラフテルの力が増しているようだ。
この世界で初めてお前の姿を見て戦ったあの時はまだ、それまでのよく知る彼女だったはずだが、あれから時間が過ぎて、ラフテルの纏う気配や雰囲気が違ってきている…?
禍々しささえ感じるような、彼女本来のものとは思えない黒い闇に取り付かれているようだ。
まさか、その闇の力がラフテルをああも変えてしまったのだろうか?
「やあっ!!」
ソラの覇気の込められた一撃がラフテルの頭上から振り下ろされる。
だがそれすらも軽く往なして、逆にソラを地面に叩き付ける。
思わず体が動いた。
咄嗟のことだったのだろう。
考えるより早かった。
体勢を立て直そうとしているソラの前へ飛び出した。
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28,aug,2015