第8章【感情は心より生まれる】
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『70』~黒との取引~
「…ファレルクス」
…またその名で私を呼ぶのか。
あの若い男は愛称で呼んでいたが…。
返事を返さずにいると、もう一度名を呼ばれた。
「…ファレルクス…?」
「私はそんな名ではない」
「おおっと失礼。 …そうか、機関員のほうの名ではなかったな。 では改めて自己紹介といこう」
男がゆっくりとフードに手を掛け、顔を見せた。
その姿に驚愕してしまう。
「!!」
「俺の名はシグバール、No.2だ。 んで、おたくは? 子猫ちゃん」
白髪の混じった長い髪を尻尾のように後ろで1つに束ね、右目には眼帯をしている。
…アーロンに、似ていると思ってしまった。
ただアーロンと違うのは、顔の傷。
こいつは左の頬にでかい傷が走っていた。
だが聞いていた声のイメージがそこからかけ離れていなかったことに少しだけ安堵した。
おかしな単語を拾った気がしたが気にしないでおこう。
「…ラフテル、だ」
「ではラフテル、2つほど質問したい。 答えてくれたら、そうだな…、おたくの聞きたいことに応えよう。 答えられる範囲でってハナシだが。
答えられなかったら、……消去する」
「!!」
消去とは大仰だ。少し迷ったが、受けることにした。
私の聞きたいことに応えてくれるということだし、相手の質問如何によっては答えなくてもいいと踏んだからだ。
「ラフテル、おたくは…いつ、どこで、どうやってハートレスとなった?」
少なからず驚きを覚えた。
そして、あの変態野郎の言葉を思い出す。
“ハートレス”
これまでにもうさんざん聞いた言葉。
そして、人間ではない私の正体。
「…正確には、わからない。 気が付いたらこの世界に居た。 そしてあの変態野郎が言ったんだ。“自らの手で作り出したハートレスだ”と…。
奴が冥界の呪いを発動させる前だ」
「…ふむ、あの坊や(デミックス)の任務内容が急に変更になった原因はこれか……、…変態野郎って?」
「それが2つめの質問か?」
「いやいや、これはただの好奇心。 ハートレスを作り出せる奴なんてそうそういないからな。 どこのどいつだってハナシ」
「……ふーん」
こいつとの会話がことの他、楽だ。
抱いていた警戒心も、感じていた疑心も、いつの間にか消えていた。
こいつとは初対面の筈だ。
なのに、なぜかどこかで会ったことがあるような、こいつを知っているような、どこか懐かしい感覚。
「さてお次は、おたくの番だ。 何が聞きたい?」
もう1つの質問をぶつけてくると思っていたのに、こちらに回ってくるとは。
聞きたいことはたくさんある。
ありすぎて、どこから聞いたらいいのかわからない。
「………」
「どうした? 何もないのか?」
「…その逆。 ありすぎて、…というか、私は何も知らないんだ」
「…お前の主から何も聞かされていないのか?」
「あんな変態野郎の言うことなど聞きたくもないし、奴の目的なんて興味ない」
「……っ、……くく…、わはははは!!」
「!?」
突然声を上げて笑いだしたこいつにビクリとしてしまう。
何がそんなにおかしいのか、私には理解できない。
「そういうところは、本当にファレルクスのままだな」
「………」
「ああ、いや、すまん。 …自分を作り出した主に逆らう意思を持ったハートレスなんて、初めて出会ったな」
「…?」
「おたくは、余程強い心を持っていたんだろうってハナシだ」
「…心なんて…、心はあいつに、変態野郎に奪われた。 だからさっさと取り返したいんだ」
「………」
「?」
「おかしなことを言う…。 本当に何も知らないのか」
「…それ、どういう意味…?」
「我々には、元々心などない」
「え……」
→
25,aug,2015
「…ファレルクス」
…またその名で私を呼ぶのか。
あの若い男は愛称で呼んでいたが…。
返事を返さずにいると、もう一度名を呼ばれた。
「…ファレルクス…?」
「私はそんな名ではない」
「おおっと失礼。 …そうか、機関員のほうの名ではなかったな。 では改めて自己紹介といこう」
男がゆっくりとフードに手を掛け、顔を見せた。
その姿に驚愕してしまう。
「!!」
「俺の名はシグバール、No.2だ。 んで、おたくは? 子猫ちゃん」
白髪の混じった長い髪を尻尾のように後ろで1つに束ね、右目には眼帯をしている。
…アーロンに、似ていると思ってしまった。
ただアーロンと違うのは、顔の傷。
こいつは左の頬にでかい傷が走っていた。
だが聞いていた声のイメージがそこからかけ離れていなかったことに少しだけ安堵した。
おかしな単語を拾った気がしたが気にしないでおこう。
「…ラフテル、だ」
「ではラフテル、2つほど質問したい。 答えてくれたら、そうだな…、おたくの聞きたいことに応えよう。 答えられる範囲でってハナシだが。
答えられなかったら、……消去する」
「!!」
消去とは大仰だ。少し迷ったが、受けることにした。
私の聞きたいことに応えてくれるということだし、相手の質問如何によっては答えなくてもいいと踏んだからだ。
「ラフテル、おたくは…いつ、どこで、どうやってハートレスとなった?」
少なからず驚きを覚えた。
そして、あの変態野郎の言葉を思い出す。
“ハートレス”
これまでにもうさんざん聞いた言葉。
そして、人間ではない私の正体。
「…正確には、わからない。 気が付いたらこの世界に居た。 そしてあの変態野郎が言ったんだ。“自らの手で作り出したハートレスだ”と…。
奴が冥界の呪いを発動させる前だ」
「…ふむ、あの坊や(デミックス)の任務内容が急に変更になった原因はこれか……、…変態野郎って?」
「それが2つめの質問か?」
「いやいや、これはただの好奇心。 ハートレスを作り出せる奴なんてそうそういないからな。 どこのどいつだってハナシ」
「……ふーん」
こいつとの会話がことの他、楽だ。
抱いていた警戒心も、感じていた疑心も、いつの間にか消えていた。
こいつとは初対面の筈だ。
なのに、なぜかどこかで会ったことがあるような、こいつを知っているような、どこか懐かしい感覚。
「さてお次は、おたくの番だ。 何が聞きたい?」
もう1つの質問をぶつけてくると思っていたのに、こちらに回ってくるとは。
聞きたいことはたくさんある。
ありすぎて、どこから聞いたらいいのかわからない。
「………」
「どうした? 何もないのか?」
「…その逆。 ありすぎて、…というか、私は何も知らないんだ」
「…お前の主から何も聞かされていないのか?」
「あんな変態野郎の言うことなど聞きたくもないし、奴の目的なんて興味ない」
「……っ、……くく…、わはははは!!」
「!?」
突然声を上げて笑いだしたこいつにビクリとしてしまう。
何がそんなにおかしいのか、私には理解できない。
「そういうところは、本当にファレルクスのままだな」
「………」
「ああ、いや、すまん。 …自分を作り出した主に逆らう意思を持ったハートレスなんて、初めて出会ったな」
「…?」
「おたくは、余程強い心を持っていたんだろうってハナシだ」
「…心なんて…、心はあいつに、変態野郎に奪われた。 だからさっさと取り返したいんだ」
「………」
「?」
「おかしなことを言う…。 本当に何も知らないのか」
「…それ、どういう意味…?」
「我々には、元々心などない」
「え……」
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25,aug,2015