第8章【感情は心より生まれる】
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『69』~2人目の黒~
暗い岩だらけの空間に時たま現れるハートレス。
私と同じように黒い闇の空間から突如姿を現し、うろうろと彷徨っては消えていく。
淡い不気味な色を放ちながら舞う光の球は、幻光虫を思い出させ、ここを異界と錯覚してしまう。
空気や雰囲気がよく似ているのだ。
最初の頃は面白がって手当たり次第にそんなハートレスどもを倒していたが、こいつらと私は所詮同じ。
同じ印を持ち、同じ目的を持つ存在。
倒したところで誰かが得をするわけでもない。
出会った時は微かに闇の気配を立ち上らせてやる。
それだけで、奴らは私を同じものと認識するのだろう。
最近では見向きもされなくなった。
淡い光の球がフワリと舞う度に、辺りをほんのりと照らしていく。
それがなかったら、光も差さないこの世界は完全な闇に覆われているだろう。
歩き回っていた足を止めた。
ふと、自分がどうしてこんな場所でこんなことをしているのか疑問に感じてしまったのだ。
同時に、何かの気配。
これは私と同じ闇のもの…?
立ち止まった足をその場で反転させる。
真後ろの太い岩の柱に視線を向けた。
「出てきたらどうだ?」
黒い闇の名残を一瞬見せて、柱の影から黒い服に身をすっぽりと覆った人物が現れた。
その姿にはっとする。
見覚えがあったのだ。
フードを深く被った顔は全く見えない。
この暗い世界に溶けてしまうのではないだろうかと思えてしまう、闇を纏う黒いコートを着ていた。
こいつは先程の人物とは別人のようだ。
纏う気配や雰囲気が全く違う。
私を誰かと間違えたあの若い男と同じ服を着ているということは、仲間、なのだろうか?
また私を誰かと勘違いするのだろうか?
黒い服の人物がゆっくりとこちらに近付いてきた。
私はどう反応を返せばいいのかわからずただその動きを見つめていた。
知り合いらしく振る舞えばいいのか、敵と認識すべきか迷ってしまう。
こちらの事情などお構いなしに、相手はどんどん距離を詰めてくる。
あと数歩で私の攻撃範囲に届くという微妙な距離で、その人物は足を止めた。
「……んん、………ああ…、あー……」
「?」
男の声だ。それも壮年の。
何を言っているのかわからないが、何やら思案しているようだ。
「…はあ、なんだ、本当にあいつだったらややこしいところだったが、これはこれでややこしい」
「?」
顔が見えないのでどんな表情をしているのかわからないが、大袈裟な身ぶり手振りが気持ちを表してくれている。
人の顔を見てややこしいとは、失礼な!
「…お、もしかして、気に障った? だが、気にすることじゃないってハナシ。 元々心なんてないんだから」
「!!」
…こいつは、知って、いる…?
私に心がないことを。
私が人間ではないことを…
「…お、今度は物凄い警戒してるねぇ。 こちらの言葉一つに反応するその態度を見れば丸わかりってハナシ。 おたくは機関の人間じゃない」
「…機関…?」
「そもそも、おたくは人間ですらない」
「……わかるのか」
「んん? 興味津津って顔してるねぇ。 おたくは自分自身が何者か知らないわけ?」
まだこの人物が何者でどんな目的でここへやってきたのかもわからない。
以前出会ったこいつの仲間には勘違いされたが、今目の前に居るこいつには通じないようだ。
しかも、色々と事情を知っているようだ。
…聞いてみたい。たくさん話をしてみたい。わからないこと、知らないこと、たくさんのことを教えて貰いたいと思う。
→
24,aug,2015
暗い岩だらけの空間に時たま現れるハートレス。
私と同じように黒い闇の空間から突如姿を現し、うろうろと彷徨っては消えていく。
淡い不気味な色を放ちながら舞う光の球は、幻光虫を思い出させ、ここを異界と錯覚してしまう。
空気や雰囲気がよく似ているのだ。
最初の頃は面白がって手当たり次第にそんなハートレスどもを倒していたが、こいつらと私は所詮同じ。
同じ印を持ち、同じ目的を持つ存在。
倒したところで誰かが得をするわけでもない。
出会った時は微かに闇の気配を立ち上らせてやる。
それだけで、奴らは私を同じものと認識するのだろう。
最近では見向きもされなくなった。
淡い光の球がフワリと舞う度に、辺りをほんのりと照らしていく。
それがなかったら、光も差さないこの世界は完全な闇に覆われているだろう。
歩き回っていた足を止めた。
ふと、自分がどうしてこんな場所でこんなことをしているのか疑問に感じてしまったのだ。
同時に、何かの気配。
これは私と同じ闇のもの…?
立ち止まった足をその場で反転させる。
真後ろの太い岩の柱に視線を向けた。
「出てきたらどうだ?」
黒い闇の名残を一瞬見せて、柱の影から黒い服に身をすっぽりと覆った人物が現れた。
その姿にはっとする。
見覚えがあったのだ。
フードを深く被った顔は全く見えない。
この暗い世界に溶けてしまうのではないだろうかと思えてしまう、闇を纏う黒いコートを着ていた。
こいつは先程の人物とは別人のようだ。
纏う気配や雰囲気が全く違う。
私を誰かと間違えたあの若い男と同じ服を着ているということは、仲間、なのだろうか?
また私を誰かと勘違いするのだろうか?
黒い服の人物がゆっくりとこちらに近付いてきた。
私はどう反応を返せばいいのかわからずただその動きを見つめていた。
知り合いらしく振る舞えばいいのか、敵と認識すべきか迷ってしまう。
こちらの事情などお構いなしに、相手はどんどん距離を詰めてくる。
あと数歩で私の攻撃範囲に届くという微妙な距離で、その人物は足を止めた。
「……んん、………ああ…、あー……」
「?」
男の声だ。それも壮年の。
何を言っているのかわからないが、何やら思案しているようだ。
「…はあ、なんだ、本当にあいつだったらややこしいところだったが、これはこれでややこしい」
「?」
顔が見えないのでどんな表情をしているのかわからないが、大袈裟な身ぶり手振りが気持ちを表してくれている。
人の顔を見てややこしいとは、失礼な!
「…お、もしかして、気に障った? だが、気にすることじゃないってハナシ。 元々心なんてないんだから」
「!!」
…こいつは、知って、いる…?
私に心がないことを。
私が人間ではないことを…
「…お、今度は物凄い警戒してるねぇ。 こちらの言葉一つに反応するその態度を見れば丸わかりってハナシ。 おたくは機関の人間じゃない」
「…機関…?」
「そもそも、おたくは人間ですらない」
「……わかるのか」
「んん? 興味津津って顔してるねぇ。 おたくは自分自身が何者か知らないわけ?」
まだこの人物が何者でどんな目的でここへやってきたのかもわからない。
以前出会ったこいつの仲間には勘違いされたが、今目の前に居るこいつには通じないようだ。
しかも、色々と事情を知っているようだ。
…聞いてみたい。たくさん話をしてみたい。わからないこと、知らないこと、たくさんのことを教えて貰いたいと思う。
→
24,aug,2015