第7章【闇の私とは真逆の存在】
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『65』~少年とキーブレード~
子供だ。
目の前にいるのは、どう見てもまだ年端のいかない子供。
こんな子供が、選ばれし者…?
キーブレードを持つ資格を与えられし者、そして私の敵だというのか。
私よりももっと細い首や手足は簡単に折れてしまいそうではないか。
私が両手に握った武器の意味を汲み取ったのだろう。
目の前の小さな勇者達も、それぞれに武器を手にして身構えた。
その目に力強い光を宿して。
…立ち向かうつもりなのか? この私に。
受け止めきれるのか? その小さな体で。
あの変態野郎の呪いのせいで、まともな力を出すこともできない状況で今の私に勝つどころか、傷の一つすらつけることはできないだろう。
ましてや、たった今激しい戦闘を終えたばかり。
私を誰かと勘違いしていたあいつは、一旦は引いたようだが、あれは遊びだった。
手加減をしていたとかではなく、完全に手抜きの戯れだった。
あいつが何かなど、私には関係ない。
どこかの誰かと勝手に間違って言いたいことだけ言ってどこかへ消えた。
もう会うこともあるまい。
それよりも今は…。
「お、お姉さんは、アーロンの知り合いなんだろ…?」
「!」
じっと睨んだまま動かない私に、武器を構えたままで少年が声をかけた。
その名に反応してしまう。
誤魔化すように足を一歩踏み出した。
少年達は怯まない。
「お姉さんは、アーロンと同じ世界から来たんだろ? なんでハデスと一緒にいたの?」
「………」
この少年達は何をしたいのだろうか。
また一歩、足を踏み出す。
わざとらしく殺気を剥き出しにしてまた一歩。
「…ソラ、なんか物凄く嫌な予感するんだけど」
「予感どころか、凄くヤバい!」
「お、お姉さんは…」
「『エアロラ!』」
「うわっ!!」
「ギャッ!」
「わあぁっ!」
これ以上子供の戯れ言に付き合う余裕はなかった。
こちらが武器を手にして立ちはだかったのに対して、同じように武器を構えた所まではよかった。
だが、やはり子供なのだ。
私の発する殺気の意味を理解する力が乏しい。
少年達の言葉を遮るように発した風の魔法は、魔力を限界まで抑えたもの。
見た目の通り軽い少年と小動物では、いとも簡単に煽られ転がってしまった。
起き上がろうとする動作に気を取られている隙をついて、両手に握りしめた小太刀を構えたまま走った。
無防備な少年目掛けて武器を振り下ろす。
一瞬の間で少年がそれを防いだ。
例の武器で。
この反射神経は素晴らしい。
持って生まれた才能か、それともこの武器の力によるものか。
牽制の意味を込めての一撃だったため、それ程重い一撃ではない。
私の武器を跳ね返すと同時に、少年は身軽に体勢を飛び起こした。
私も数歩下がって構え直す。
「グワ、魔法なら僕に任せて!」
アヒルのような生き物が私に向かって杖を翳す。
上手く言葉を理解できないのは私だけだろうか?
そもそも、こんな生き物が言葉を話している方が不思議だ。
しかも、…魔法!?
「サンダー!!」
アヒルが手にしている杖の先が光って、一瞬体に静電気が走ったときのようなピリっとした感覚が私を襲った。
だが、特別ダメージを受けたようにも感じられない。
……何だ、これ? 魔法、なのか…?
「……あれ?」
「ドナルド、全然効いてないみたいだよ~」
一緒に居た犬の様な奴はでかい盾を手にして身を守るだけか…
そちらに気を取られて、少年が一気に飛びあがって攻撃してきたことに一瞬の遅れを生んでしまった。
眼前で小太刀を交差させて一撃を防ぐ。
やはり少年の力では大した威力はないようだ。
しかも、この武器、どう見ても攻撃力があるようには見えない。
でかい鍵にしか見えない。
斬るというよりは、打撃攻撃が重視なのだろう。
「…やっぱり、冥界の呪いのせいで力が出ないや」
「…冥界の、呪い…?」
→
19,aug,2015
子供だ。
目の前にいるのは、どう見てもまだ年端のいかない子供。
こんな子供が、選ばれし者…?
キーブレードを持つ資格を与えられし者、そして私の敵だというのか。
私よりももっと細い首や手足は簡単に折れてしまいそうではないか。
私が両手に握った武器の意味を汲み取ったのだろう。
目の前の小さな勇者達も、それぞれに武器を手にして身構えた。
その目に力強い光を宿して。
…立ち向かうつもりなのか? この私に。
受け止めきれるのか? その小さな体で。
あの変態野郎の呪いのせいで、まともな力を出すこともできない状況で今の私に勝つどころか、傷の一つすらつけることはできないだろう。
ましてや、たった今激しい戦闘を終えたばかり。
私を誰かと勘違いしていたあいつは、一旦は引いたようだが、あれは遊びだった。
手加減をしていたとかではなく、完全に手抜きの戯れだった。
あいつが何かなど、私には関係ない。
どこかの誰かと勝手に間違って言いたいことだけ言ってどこかへ消えた。
もう会うこともあるまい。
それよりも今は…。
「お、お姉さんは、アーロンの知り合いなんだろ…?」
「!」
じっと睨んだまま動かない私に、武器を構えたままで少年が声をかけた。
その名に反応してしまう。
誤魔化すように足を一歩踏み出した。
少年達は怯まない。
「お姉さんは、アーロンと同じ世界から来たんだろ? なんでハデスと一緒にいたの?」
「………」
この少年達は何をしたいのだろうか。
また一歩、足を踏み出す。
わざとらしく殺気を剥き出しにしてまた一歩。
「…ソラ、なんか物凄く嫌な予感するんだけど」
「予感どころか、凄くヤバい!」
「お、お姉さんは…」
「『エアロラ!』」
「うわっ!!」
「ギャッ!」
「わあぁっ!」
これ以上子供の戯れ言に付き合う余裕はなかった。
こちらが武器を手にして立ちはだかったのに対して、同じように武器を構えた所まではよかった。
だが、やはり子供なのだ。
私の発する殺気の意味を理解する力が乏しい。
少年達の言葉を遮るように発した風の魔法は、魔力を限界まで抑えたもの。
見た目の通り軽い少年と小動物では、いとも簡単に煽られ転がってしまった。
起き上がろうとする動作に気を取られている隙をついて、両手に握りしめた小太刀を構えたまま走った。
無防備な少年目掛けて武器を振り下ろす。
一瞬の間で少年がそれを防いだ。
例の武器で。
この反射神経は素晴らしい。
持って生まれた才能か、それともこの武器の力によるものか。
牽制の意味を込めての一撃だったため、それ程重い一撃ではない。
私の武器を跳ね返すと同時に、少年は身軽に体勢を飛び起こした。
私も数歩下がって構え直す。
「グワ、魔法なら僕に任せて!」
アヒルのような生き物が私に向かって杖を翳す。
上手く言葉を理解できないのは私だけだろうか?
そもそも、こんな生き物が言葉を話している方が不思議だ。
しかも、…魔法!?
「サンダー!!」
アヒルが手にしている杖の先が光って、一瞬体に静電気が走ったときのようなピリっとした感覚が私を襲った。
だが、特別ダメージを受けたようにも感じられない。
……何だ、これ? 魔法、なのか…?
「……あれ?」
「ドナルド、全然効いてないみたいだよ~」
一緒に居た犬の様な奴はでかい盾を手にして身を守るだけか…
そちらに気を取られて、少年が一気に飛びあがって攻撃してきたことに一瞬の遅れを生んでしまった。
眼前で小太刀を交差させて一撃を防ぐ。
やはり少年の力では大した威力はないようだ。
しかも、この武器、どう見ても攻撃力があるようには見えない。
でかい鍵にしか見えない。
斬るというよりは、打撃攻撃が重視なのだろう。
「…やっぱり、冥界の呪いのせいで力が出ないや」
「…冥界の、呪い…?」
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19,aug,2015