第7章【闇の私とは真逆の存在】
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『63』~初対面?再会?~
封印の間から、闇の扉を開かずにわざわざ扉を使って外に出たのは、あの変態野郎と同等だと思われることへの嫌悪感から。
もうすでにこいつの仲間だと、彼女と一緒に自ら開いた闇の扉を潜ってこの部屋に来たと言うのに。
人間としてのおかしな心理が働くあたり、まだどこかに人間であるという意識が残っているのかもしれない。
…もう私は人間ではないのに。
アーロンにも、私が人間ではないことを知られてしまった。
私は人間らしい感情がなくなって、その内、変態野郎に名を呼ばれても平気になってきてしまうのだろうか?
気色悪い、ムカつく、苛つくと思っている内は、まだ人間として存在していられるんだろうか。
そもそも、私はどうしたいのだろう?
ここでこのまま暮らすことになるのか?
元の世界に戻れるのか?
…戻りたいと、思って、る……?
扉が閉じた瞬間、一瞬だけおかしな気配を感じた。
それは本当に一瞬のことで、遠くのほうでカタリと小さな物音がしたがなんでもない、そんな程度のものだ。
はっと気付いた時にはもう何も感じなかったし、改めて辺りに警戒を巡らせてみても、特別異変はなかった。
気のせいだろうと、足を一歩踏み出した途端、また一瞬だけ気配が私をすり抜けた。
「!?」
あるかないかわからないような、おかしな気配が私を苛立たせる。
気持ちが悪いったらない。
思いきって数歩前へ身を進めた。
部屋に通じる狭いホールの中央で、今度はじっくりと気配を探った。
それは突然現れた。
私が立つ真後ろに、ふいに足元に何かを感じたと思った次の瞬間には、もう後ろをとられていた。
武器に手をかける暇もなく、後ろに回した腕はあっさりとそいつに捕まれてしまう。
「くっ…」
その人物を確かめようと、捕まれて捻られたことで近くなった奴の顔を横目で睨み付ける。
そこにいたのは、真黒なフードを被った人物だった。
「…あれ、お前、…ファレ? ファレルクスだよな? なんでこんなとこにいんだ?」
「……?」
誰かと勘違いでもしているのだろうか?
だがその勘違いのお陰か、私の腕を解放した。
手首を捕まれるのは平気だが、あらぬ方向へ捻られるというのは辛い。
後ろを振り返り、わざとらしく手首を擦りながら改めてそいつを確認する。
身長は私と同じくらいだろうか…、いや、ヒールのある靴の分、僅かに私のほうが小さいか。
“誰だ?”と問いかけるのは簡単だが、向こうは私を誰かと間違っている。
その人物と目の前のこいつがどんな関係なのかは知らないが、名前を愛称で呼ぶところをみると、かなり親しい間柄なのだろう。
「で、こんなところで何やってんだ?」
「……あんたこそ」
「俺のことなんてどーでもいい。それよりファレがここにいるほうがびっくりー。どうしちゃったワケ? あっちで見つからなかったからこっち来たの?」
「相変わらずやかましいな」
「うっわ、いつもながら冷たいお言葉! …でも、お前らしい。 …で、どうなんだよ」
「望むものは強く望むほど手に入らない」
「あはははは、確かに! 俺のほうは2つほど、な」
「え…」
「なんだその意外そうな顔! …ま、まだどっちも確証はなくてそれっぽいってだけなんだけどな」
話の途中で被っていたフードを下ろしたそいつは、若い男だった。
声や話し方である程度想像はついていたが、強ち違わなかったことに安心する。
だが、安易に安心などできない。
会話は交わしているが、私には全く意味はわからない。
こいつの名前も正体も何も知らないのだ。
相手は私を誰かと勘違いしているようだが、その人物はそれほどまでに私に似ているのだろうか?
いや、もしかしたら違うとすでにわかっていて、それを悟られぬように演じているのかもしれない。
どちらにせよ、これ以上会話を続けるわけにはいかない。
彼が思っていた人物ではないとわかったら、彼は私をどうする?
…決まっている。
いとも簡単に私の背後を取り、腕を捻りあげるような奴だ。
答えはわかりきっている。
さっさとこいつの前から姿を消したほうが懸命だ。
「私は、行かなければならない所がある」
「お、そうか。 お前も早く見つけなきゃだもんな…!!」
「「!!」」
2人同時に振り向いた。
何かの気配を感じたからだ。
こちらに向かって走ってくる。
…複数いるようだ。
「この感じ…、キーブレードか!」
「私の獲物だ」
キーブレード使いとその仲間を倒す。
それが私の新たな契約の内容だ。
私にはわからないが、この近づいてくる気配は確かにそのキーブレード使いのものだという。
私が果たすべき仕事が向こうから来てくれるとはなんとも好都合。
これで私は契約を果たし、元の世界に戻れるのだ。
「ファレは引っ込んでな! 俺様の出番だ!」
「なっ!」
→
12,aug,2015
封印の間から、闇の扉を開かずにわざわざ扉を使って外に出たのは、あの変態野郎と同等だと思われることへの嫌悪感から。
もうすでにこいつの仲間だと、彼女と一緒に自ら開いた闇の扉を潜ってこの部屋に来たと言うのに。
人間としてのおかしな心理が働くあたり、まだどこかに人間であるという意識が残っているのかもしれない。
…もう私は人間ではないのに。
アーロンにも、私が人間ではないことを知られてしまった。
私は人間らしい感情がなくなって、その内、変態野郎に名を呼ばれても平気になってきてしまうのだろうか?
気色悪い、ムカつく、苛つくと思っている内は、まだ人間として存在していられるんだろうか。
そもそも、私はどうしたいのだろう?
ここでこのまま暮らすことになるのか?
元の世界に戻れるのか?
…戻りたいと、思って、る……?
扉が閉じた瞬間、一瞬だけおかしな気配を感じた。
それは本当に一瞬のことで、遠くのほうでカタリと小さな物音がしたがなんでもない、そんな程度のものだ。
はっと気付いた時にはもう何も感じなかったし、改めて辺りに警戒を巡らせてみても、特別異変はなかった。
気のせいだろうと、足を一歩踏み出した途端、また一瞬だけ気配が私をすり抜けた。
「!?」
あるかないかわからないような、おかしな気配が私を苛立たせる。
気持ちが悪いったらない。
思いきって数歩前へ身を進めた。
部屋に通じる狭いホールの中央で、今度はじっくりと気配を探った。
それは突然現れた。
私が立つ真後ろに、ふいに足元に何かを感じたと思った次の瞬間には、もう後ろをとられていた。
武器に手をかける暇もなく、後ろに回した腕はあっさりとそいつに捕まれてしまう。
「くっ…」
その人物を確かめようと、捕まれて捻られたことで近くなった奴の顔を横目で睨み付ける。
そこにいたのは、真黒なフードを被った人物だった。
「…あれ、お前、…ファレ? ファレルクスだよな? なんでこんなとこにいんだ?」
「……?」
誰かと勘違いでもしているのだろうか?
だがその勘違いのお陰か、私の腕を解放した。
手首を捕まれるのは平気だが、あらぬ方向へ捻られるというのは辛い。
後ろを振り返り、わざとらしく手首を擦りながら改めてそいつを確認する。
身長は私と同じくらいだろうか…、いや、ヒールのある靴の分、僅かに私のほうが小さいか。
“誰だ?”と問いかけるのは簡単だが、向こうは私を誰かと間違っている。
その人物と目の前のこいつがどんな関係なのかは知らないが、名前を愛称で呼ぶところをみると、かなり親しい間柄なのだろう。
「で、こんなところで何やってんだ?」
「……あんたこそ」
「俺のことなんてどーでもいい。それよりファレがここにいるほうがびっくりー。どうしちゃったワケ? あっちで見つからなかったからこっち来たの?」
「相変わらずやかましいな」
「うっわ、いつもながら冷たいお言葉! …でも、お前らしい。 …で、どうなんだよ」
「望むものは強く望むほど手に入らない」
「あはははは、確かに! 俺のほうは2つほど、な」
「え…」
「なんだその意外そうな顔! …ま、まだどっちも確証はなくてそれっぽいってだけなんだけどな」
話の途中で被っていたフードを下ろしたそいつは、若い男だった。
声や話し方である程度想像はついていたが、強ち違わなかったことに安心する。
だが、安易に安心などできない。
会話は交わしているが、私には全く意味はわからない。
こいつの名前も正体も何も知らないのだ。
相手は私を誰かと勘違いしているようだが、その人物はそれほどまでに私に似ているのだろうか?
いや、もしかしたら違うとすでにわかっていて、それを悟られぬように演じているのかもしれない。
どちらにせよ、これ以上会話を続けるわけにはいかない。
彼が思っていた人物ではないとわかったら、彼は私をどうする?
…決まっている。
いとも簡単に私の背後を取り、腕を捻りあげるような奴だ。
答えはわかりきっている。
さっさとこいつの前から姿を消したほうが懸命だ。
「私は、行かなければならない所がある」
「お、そうか。 お前も早く見つけなきゃだもんな…!!」
「「!!」」
2人同時に振り向いた。
何かの気配を感じたからだ。
こちらに向かって走ってくる。
…複数いるようだ。
「この感じ…、キーブレードか!」
「私の獲物だ」
キーブレード使いとその仲間を倒す。
それが私の新たな契約の内容だ。
私にはわからないが、この近づいてくる気配は確かにそのキーブレード使いのものだという。
私が果たすべき仕事が向こうから来てくれるとはなんとも好都合。
これで私は契約を果たし、元の世界に戻れるのだ。
「ファレは引っ込んでな! 俺様の出番だ!」
「なっ!」
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12,aug,2015