第7章【闇の私とは真逆の存在】
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【 60 】
「突然の展開に混乱しちゃってる?」
「!?」
どこからともなく聞こえてきた声に思わず身構える。
反射的に振り返った先に、奴が現れた。
ボフン、などとあり得ない音と共に黒い煙が上がる。
それは一瞬のことで、煙が晴れたそこには奴が立っていたのだ。
何だ今のは?
どこから現れた?
…なるほど、これがラフテルが言っていた、おかしな力、か。
血色の悪い青い顔をして、なぜか頭が燃えているが、 …いや、考えるのは止めておこう。
恐らくここは、俺のいた世界の常識は通用しないのだろう。
ラフテルも初めはかなり戸惑ったことだろう。
「へーっへっへっへっへ。 やあ、冥界の戦士アーロン、ん~ふふん。 あー、元気?」
「………なるほど」
「…なにが、“なるほど”?」
「あいつが、ラフテルが嫌うはずだ」
「!!」
薄気味の悪い笑みを浮かべながらこちらに近付き、俺の名を呼ぶ。
なんだ、この不気味さは!
ラフテルが嫌悪感を抱くのも尤もだ。
その旨をこいつに言った途端、目を飛び出すんじゃないかと思えるほどに大きく見開いて大袈裟に驚いてみせた。
何を言うにしてもするにしても、こいつの動きはいちいち仰々しい。
俺もこういう奴は鬱陶しいと思う。
一連のアクションが終わったのか、奴は胸の前で腕を組み、俺を勝ち誇ったような顔で見下ろす。
俺よりも頭1つ以上はでかいこいつの顔を見上げるのは疲れそうだ。
「ところで、今日はお前にと~ってもいい話がある」
「断る」
「早っ! …まだ何も言ってないのに」
「…貴様の考えていることなど考えるまでもない。 どうせ録でもないことだ」
「あ~らら、お前もつれない。 …だが、お前は自ら俺の契約を受け入れることになる。 …絶対な」
つかつかとこちらへ歩み寄ってくる男に対して、警戒心を剥き出しにすることは普通の行為だと思うが…。
こいつが、全ての元凶。
ラフテルと俺をこの訳のわからない世界に連れ込んだ男。
理由などどうでもいい。
だが1つだけ、こいつには聞いておかねばならないことがある。
更に距離を縮めてくる男が何をするつもりかはわからんが、どんな動きにもすぐに対応できるようにしておかねば。
太刀の柄に手をかけたまま、奴の動き一つ一つに神経を尖らせる。
相変わらずにやにやと薄気味悪い笑みを浮かべ、攻撃の意思はないとばかりに両手を顔の横に掲げてから、胸の前で指先だけを押し合わせた。
その位置はもう、手を伸ばせば触れられるところだ。
何を思ったのか、体の横に己の体を擦り寄せてきた。
「アーロン、お前はラフテルとどんな関係なのかな~? ラフテルはお前にとってどんな存在?
あいつが俺の僕として言いなりになってるのを見てどう思う?」
「…何が言いたい」
「ん~ふふん。 あれは、人間じゃない」
「!?」
「あれは、ラフテルという人間から作り出した、ハートレスという、心なき存在」
「何だと!?」
まるで耳打ちでもするように、俺の耳元でわざわざ身を屈めて小声で話す姿は虫酸が走る。
だがその内容は俺にとっては衝撃だった。
ラフテルが、人間ではない…。
すぐにあの時の光景を思い浮かべる。
彼女の首元にあった、あのおかしな印。
そして思い出す。
あの子供達、ソラと共に走った洞窟の中で戦った魔物。
その魔物にも、同じような印がついていなかっただろうか?
つまり、ラフテルはそんな魔物と同じような存在だというのか?
不気味な笑い声を上げながら、男は数歩離れたところでこちらを振り返る。
→
9,aug,2015
「突然の展開に混乱しちゃってる?」
「!?」
どこからともなく聞こえてきた声に思わず身構える。
反射的に振り返った先に、奴が現れた。
ボフン、などとあり得ない音と共に黒い煙が上がる。
それは一瞬のことで、煙が晴れたそこには奴が立っていたのだ。
何だ今のは?
どこから現れた?
…なるほど、これがラフテルが言っていた、おかしな力、か。
血色の悪い青い顔をして、なぜか頭が燃えているが、 …いや、考えるのは止めておこう。
恐らくここは、俺のいた世界の常識は通用しないのだろう。
ラフテルも初めはかなり戸惑ったことだろう。
「へーっへっへっへっへ。 やあ、冥界の戦士アーロン、ん~ふふん。 あー、元気?」
「………なるほど」
「…なにが、“なるほど”?」
「あいつが、ラフテルが嫌うはずだ」
「!!」
薄気味の悪い笑みを浮かべながらこちらに近付き、俺の名を呼ぶ。
なんだ、この不気味さは!
ラフテルが嫌悪感を抱くのも尤もだ。
その旨をこいつに言った途端、目を飛び出すんじゃないかと思えるほどに大きく見開いて大袈裟に驚いてみせた。
何を言うにしてもするにしても、こいつの動きはいちいち仰々しい。
俺もこういう奴は鬱陶しいと思う。
一連のアクションが終わったのか、奴は胸の前で腕を組み、俺を勝ち誇ったような顔で見下ろす。
俺よりも頭1つ以上はでかいこいつの顔を見上げるのは疲れそうだ。
「ところで、今日はお前にと~ってもいい話がある」
「断る」
「早っ! …まだ何も言ってないのに」
「…貴様の考えていることなど考えるまでもない。 どうせ録でもないことだ」
「あ~らら、お前もつれない。 …だが、お前は自ら俺の契約を受け入れることになる。 …絶対な」
つかつかとこちらへ歩み寄ってくる男に対して、警戒心を剥き出しにすることは普通の行為だと思うが…。
こいつが、全ての元凶。
ラフテルと俺をこの訳のわからない世界に連れ込んだ男。
理由などどうでもいい。
だが1つだけ、こいつには聞いておかねばならないことがある。
更に距離を縮めてくる男が何をするつもりかはわからんが、どんな動きにもすぐに対応できるようにしておかねば。
太刀の柄に手をかけたまま、奴の動き一つ一つに神経を尖らせる。
相変わらずにやにやと薄気味悪い笑みを浮かべ、攻撃の意思はないとばかりに両手を顔の横に掲げてから、胸の前で指先だけを押し合わせた。
その位置はもう、手を伸ばせば触れられるところだ。
何を思ったのか、体の横に己の体を擦り寄せてきた。
「アーロン、お前はラフテルとどんな関係なのかな~? ラフテルはお前にとってどんな存在?
あいつが俺の僕として言いなりになってるのを見てどう思う?」
「…何が言いたい」
「ん~ふふん。 あれは、人間じゃない」
「!?」
「あれは、ラフテルという人間から作り出した、ハートレスという、心なき存在」
「何だと!?」
まるで耳打ちでもするように、俺の耳元でわざわざ身を屈めて小声で話す姿は虫酸が走る。
だがその内容は俺にとっては衝撃だった。
ラフテルが、人間ではない…。
すぐにあの時の光景を思い浮かべる。
彼女の首元にあった、あのおかしな印。
そして思い出す。
あの子供達、ソラと共に走った洞窟の中で戦った魔物。
その魔物にも、同じような印がついていなかっただろうか?
つまり、ラフテルはそんな魔物と同じような存在だというのか?
不気味な笑い声を上げながら、男は数歩離れたところでこちらを振り返る。
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9,aug,2015