第5章【その武器の名はキーブレード】
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【 47 】
少年が片手を前に翳した。
その行動が何を意味するのかわからぬまま見つめた。
どこからともなく光の粒が収束してきたかと思うと、少年の手にはあの時に見た、鍵状の武器。
「…それは?」
ここに辿り着くまでに、魔物との戦いの中でも振るっていた、この少年の武器なのだろう。
見たことのない獲物に、普段は気にも止めない他人の武器について、思わず声を掛けてしまった。
「これは、キーブレード」
「それで開くのか」
「キーブレードは選ばれた使い手だけが手にすることができる、伝説の武器」
「世界のあらゆる鍵を封印・解放できる!」
俺の質問に、少年はゆっくり大きく頷き、補足するかのように動物達が言葉を続けた。
…選ばれた者…!?
この少年が?
少年に掛ける言葉を探していたその時だった。
強い大きな気配と共に、地の底から沸き上がるような重い咆哮を聞いた。
それは少年も同じだったようで、はっとして後ろを振り返った。
こちらに近づいてくる、魔物の気配。
その速さに焦燥感が湧き上がる。
「急げ!」
少年が両手で握り締めたそのキーブレードとやらをゆっくりと錠前に向けて掲げていく。
武器の先端から迸る光が錠前に届いた瞬間、パキリと硬質な音がして光となって消えた。
俺にはかなりおかしな現象に見受けられるのだが、この世界では特に気にすることでもないのか。
鍵が開くのを待ち構えていたかのように、動物達が両の扉をそれぞれ左右に開いていく。
重い音が響き、ゆっくりと扉の向こう側が見えてきた。
その間も、どんどんここに近づいているこの凶悪な気配に警戒しつつ、彼らから数歩遅れた位置でその作業を待った。
気配が急激に強まる。
重々しい大気の波が押し寄せてくるようだ。
この岩肌のそう広くは無い空間に、ビリビリと耳を劈くような咆哮と共に、そいつは現れた。
「!!」
少年達はまだそこにいる。
大きな岩の扉は、そう簡単には開いてはくれないのだろう。
渾身の力を込めて左右に押し開いている声がここまで聞こえてくる。
改めてここに現れた怪物を見やる。
三つ首の巨大な黒い犬、………ケルベロスか!
…スピラでよく見かけるキマイラという魔物が確か三つ首だったが、大きさはその比ではない。
その昔、それこそ1000年前のザナルカンドが繁栄していた時代には、このケルベロスも召喚獣として扱える人間がいたらしいが…
今はそんなことよりも、この子供達を早くここから脱出させなくてはならない。
目の前に立ちはだかり、肩に担ぐようにして己の太刀を構えた。
巨大な3つの首がそれぞれ、牙を剥き出しにして涎を垂らしながら、グルグルと唸っている。
いつもの力がまともに出せない今の状況で、今の俺にどこまでこいつの相手ができるのかわからない。
背後の重い岩の音が止んだ。
どうやらやっと通ることができるようになったらしい。
「「ソラ!!」」
動物達の声がきれいに重なって響いた。
同時にこちらに走ってくる小さな足音。
「!! お前…」
→
19,jul,2015
少年が片手を前に翳した。
その行動が何を意味するのかわからぬまま見つめた。
どこからともなく光の粒が収束してきたかと思うと、少年の手にはあの時に見た、鍵状の武器。
「…それは?」
ここに辿り着くまでに、魔物との戦いの中でも振るっていた、この少年の武器なのだろう。
見たことのない獲物に、普段は気にも止めない他人の武器について、思わず声を掛けてしまった。
「これは、キーブレード」
「それで開くのか」
「キーブレードは選ばれた使い手だけが手にすることができる、伝説の武器」
「世界のあらゆる鍵を封印・解放できる!」
俺の質問に、少年はゆっくり大きく頷き、補足するかのように動物達が言葉を続けた。
…選ばれた者…!?
この少年が?
少年に掛ける言葉を探していたその時だった。
強い大きな気配と共に、地の底から沸き上がるような重い咆哮を聞いた。
それは少年も同じだったようで、はっとして後ろを振り返った。
こちらに近づいてくる、魔物の気配。
その速さに焦燥感が湧き上がる。
「急げ!」
少年が両手で握り締めたそのキーブレードとやらをゆっくりと錠前に向けて掲げていく。
武器の先端から迸る光が錠前に届いた瞬間、パキリと硬質な音がして光となって消えた。
俺にはかなりおかしな現象に見受けられるのだが、この世界では特に気にすることでもないのか。
鍵が開くのを待ち構えていたかのように、動物達が両の扉をそれぞれ左右に開いていく。
重い音が響き、ゆっくりと扉の向こう側が見えてきた。
その間も、どんどんここに近づいているこの凶悪な気配に警戒しつつ、彼らから数歩遅れた位置でその作業を待った。
気配が急激に強まる。
重々しい大気の波が押し寄せてくるようだ。
この岩肌のそう広くは無い空間に、ビリビリと耳を劈くような咆哮と共に、そいつは現れた。
「!!」
少年達はまだそこにいる。
大きな岩の扉は、そう簡単には開いてはくれないのだろう。
渾身の力を込めて左右に押し開いている声がここまで聞こえてくる。
改めてここに現れた怪物を見やる。
三つ首の巨大な黒い犬、………ケルベロスか!
…スピラでよく見かけるキマイラという魔物が確か三つ首だったが、大きさはその比ではない。
その昔、それこそ1000年前のザナルカンドが繁栄していた時代には、このケルベロスも召喚獣として扱える人間がいたらしいが…
今はそんなことよりも、この子供達を早くここから脱出させなくてはならない。
目の前に立ちはだかり、肩に担ぐようにして己の太刀を構えた。
巨大な3つの首がそれぞれ、牙を剥き出しにして涎を垂らしながら、グルグルと唸っている。
いつもの力がまともに出せない今の状況で、今の俺にどこまでこいつの相手ができるのかわからない。
背後の重い岩の音が止んだ。
どうやらやっと通ることができるようになったらしい。
「「ソラ!!」」
動物達の声がきれいに重なって響いた。
同時にこちらに走ってくる小さな足音。
「!! お前…」
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19,jul,2015