第5章【その武器の名はキーブレード】
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『46』~今だ結論は出ず~
「………」
寝台の上にゴロリと寝転がった。
無機質な岩肌剥き出しの天井が目に映る。
光のほとんど差さない薄暗い室内で、光の当たらない箇所はもっと闇に染まっている。
「…闇に染まった心、か…」
あいつが散々言っていた。
私は—————だ、と。
奴がどこからともなく取り出した鏡に映った、自分自身の喉下にあった不思議な模様。
この世界の魔物たちの身体についた、同じ模様。
それが、—————であることの証。
ならば、私も闇に染まった心から生まれた存在だと言うのか。
私の中にあるこの記憶は?
私は誰の心から生まれた?
私は、………誰だ?
ここでこうしていつまでも一人でもんもんと考えていても拉致が明かない。
これから自分がどうすべきか、何をしなくてはいけないのかを決めなくてはならない。
一番手っ取り早いのは、さっさと奴との契約を果たして、序でに変態野郎をぶん殴って逃げる。
…だが今までそれをしなかったのは、契約内容の人物に興味を持ってしまったこと。
この世界や己自身の能力に面白さを覚えてしまったこと。
そして何より、あいつの手の内から逃れられないこと…。
離れれば勝手に連れ戻され、気に食わない言動を出せば苦痛を与えられる。
…さて、どうしたものか。
幸か不幸か、今この世界にはアーロンもいる。
話をしたいのは勿論だが、彼を殺せと私に命令してきた変態野郎は、それを許さないだろう。
ふいに窓の外から獣の唸り声のようなものが耳に届いた。
ここは冥界。
訳のわからない生き物や化け物はそこらじゅうに溢れている。
いつもなら意にも介しないことなのだが、その声と気配に尋常ではないただならぬ雰囲気を覚え、窓から外の様子を覗き込んだ。
黒い大きなものが凄い速さで駆け抜けていった。
「…なんだ、あれは」
岩肌の細い小道を一瞬にして飛び越えて視界から消えた。
まさに風のように翔て行ったそいつの姿を、僅かだったが確かに確認した。
頭が3つもある巨大な黒い犬。
私も噂に聞いたことがあるだけで、実際に目にするのは初めてだ。
あれが、あの変態野郎が可愛がっているという、地獄の番犬と言われる、ケルベロス。
ここからでも、その大きさははっきりわかる。
あの小道はもう何度も通ってきたのだから…。
あいつはあの変態野郎の言うことにのみ従う。
それが動いたということはつまり、奴が命を下したと言うことに他ならない。
奴がケルベロスまで駆り出した、つまり、殺そうとしている相手は、
…考えたくはないが、そう考えずにはいられない。
アーロンと、あの子供達。
アーロンはまあ問題ないとは思うが、あの時一緒にいた子供達は、あの巨大なケルベロスに襲われたら一堪りもないだろう。
「………(どうする)」
→
18,jul,2015
「………」
寝台の上にゴロリと寝転がった。
無機質な岩肌剥き出しの天井が目に映る。
光のほとんど差さない薄暗い室内で、光の当たらない箇所はもっと闇に染まっている。
「…闇に染まった心、か…」
あいつが散々言っていた。
私は—————だ、と。
奴がどこからともなく取り出した鏡に映った、自分自身の喉下にあった不思議な模様。
この世界の魔物たちの身体についた、同じ模様。
それが、—————であることの証。
ならば、私も闇に染まった心から生まれた存在だと言うのか。
私の中にあるこの記憶は?
私は誰の心から生まれた?
私は、………誰だ?
ここでこうしていつまでも一人でもんもんと考えていても拉致が明かない。
これから自分がどうすべきか、何をしなくてはいけないのかを決めなくてはならない。
一番手っ取り早いのは、さっさと奴との契約を果たして、序でに変態野郎をぶん殴って逃げる。
…だが今までそれをしなかったのは、契約内容の人物に興味を持ってしまったこと。
この世界や己自身の能力に面白さを覚えてしまったこと。
そして何より、あいつの手の内から逃れられないこと…。
離れれば勝手に連れ戻され、気に食わない言動を出せば苦痛を与えられる。
…さて、どうしたものか。
幸か不幸か、今この世界にはアーロンもいる。
話をしたいのは勿論だが、彼を殺せと私に命令してきた変態野郎は、それを許さないだろう。
ふいに窓の外から獣の唸り声のようなものが耳に届いた。
ここは冥界。
訳のわからない生き物や化け物はそこらじゅうに溢れている。
いつもなら意にも介しないことなのだが、その声と気配に尋常ではないただならぬ雰囲気を覚え、窓から外の様子を覗き込んだ。
黒い大きなものが凄い速さで駆け抜けていった。
「…なんだ、あれは」
岩肌の細い小道を一瞬にして飛び越えて視界から消えた。
まさに風のように翔て行ったそいつの姿を、僅かだったが確かに確認した。
頭が3つもある巨大な黒い犬。
私も噂に聞いたことがあるだけで、実際に目にするのは初めてだ。
あれが、あの変態野郎が可愛がっているという、地獄の番犬と言われる、ケルベロス。
ここからでも、その大きさははっきりわかる。
あの小道はもう何度も通ってきたのだから…。
あいつはあの変態野郎の言うことにのみ従う。
それが動いたということはつまり、奴が命を下したと言うことに他ならない。
奴がケルベロスまで駆り出した、つまり、殺そうとしている相手は、
…考えたくはないが、そう考えずにはいられない。
アーロンと、あの子供達。
アーロンはまあ問題ないとは思うが、あの時一緒にいた子供達は、あの巨大なケルベロスに襲われたら一堪りもないだろう。
「………(どうする)」
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18,jul,2015