第5章【その武器の名はキーブレード】
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【 44 】
再び暗い洞窟の中を進んでいく。
ここにも魔物のようなおかしな生き物が次々と現れて行く手を遮る。
この少年は一体何者で、どんな目的を持ってここに来たのか。
俺には検討もつかない。
だが、確かにあの男の名を呼び、攻撃をしかけた。
話がある、ようなことも口にしていたようだったが、自分達の力が出せずまともに戦えないあの状況で、いくら戦い慣れしているとはいえ、子供を戦わせるのは忍びない。
俺自身ですら、この小さな3つの存在を守れるかわからん。
それに、もっと気がかりは他にある。
……ラフテル。
先程の部屋から出た直後、扉が閉じる直前に一瞬だけ見えた彼女のあの寂しそうな瞳が頭から離れなかった。
「おじさん、怖い顔してる」
ふいに少年が話しかけてきた。
言われた言葉に、眉間に生み出した溝から力を抜いた。
「…俺は、アーロンだ」
「アーロン、…アーロンはさ、オリンポスの人?」
「…オリンポス…? なんだそれは?」
「オリンポスを知らないの?」
「じゃ、違うとこの人かな?」
「…俺は、異界の住人だ」
「いかい…? それって、どこにあるの?」
「命を無くした人間が行き着く場所、魂が存在するべき場所だ」
「…え、じゃあ、アーロンってもしかして…」
「…俺は、死人だ」
「ええっ!? そうなの!?」
俺と少年との会話に、動物達も参加してきた。
彼らの言うオリンポスとはつまり、この世界のことか。
「じゃあさ、さっきの女の人って、誰?」
「すっごい強そうな!」
「すっごい美人の!」
動物達が、互いの言葉に文句を言い合っているが、そんな会話が耳に入ることも無く、俺は少年の言葉に息を飲んだ。
「俺達、ハデスに話があったんだけど、それどころじゃなくなっちゃったし、なんか取り込み中だった?」
「…あいつは…」
「…うんうん」
「俺と同じ世界から来た」
「…ここじゃ、ない、世界? え~と、いかい、だっけ?」
「あぁ。 あいつの、失った心を取り戻したいんだ」
「…心」
「お前達こそ、何者なんだ? お前達のような子供が…」
「俺達は…、…俺達も、取り戻したいんだ。大切な人を、心を!」
「…そうか」
前を走る少年達の速度が落ちて、やがてその場で止まってしまった。
視線の先には、大きな石の扉。
少年が躊躇いもなく扉に手を掛ける。
何の警戒も無く迂闊に触れるなと言ってやりたくなる行動だが、自分が握る太刀の柄を再度握り直して抑える。
それも杞憂だったようで、扉は開くことはなかった。
「あれ?」
「閉じてる!」
いかにも厳つい重そうな扉に見えるのだが、簡単に開くものなのか?
開かないことに疑問を持つような言葉が交わされる。
「開かない」
「おかしいな…」
「あ~~~!!!」
白い鳥のような動物が扉の上部を指差して声を張り上げる。
つられて俺もそこを見上げてしまった。
そこにあったのは、大きな錠前。
→
16,jul,2015
再び暗い洞窟の中を進んでいく。
ここにも魔物のようなおかしな生き物が次々と現れて行く手を遮る。
この少年は一体何者で、どんな目的を持ってここに来たのか。
俺には検討もつかない。
だが、確かにあの男の名を呼び、攻撃をしかけた。
話がある、ようなことも口にしていたようだったが、自分達の力が出せずまともに戦えないあの状況で、いくら戦い慣れしているとはいえ、子供を戦わせるのは忍びない。
俺自身ですら、この小さな3つの存在を守れるかわからん。
それに、もっと気がかりは他にある。
……ラフテル。
先程の部屋から出た直後、扉が閉じる直前に一瞬だけ見えた彼女のあの寂しそうな瞳が頭から離れなかった。
「おじさん、怖い顔してる」
ふいに少年が話しかけてきた。
言われた言葉に、眉間に生み出した溝から力を抜いた。
「…俺は、アーロンだ」
「アーロン、…アーロンはさ、オリンポスの人?」
「…オリンポス…? なんだそれは?」
「オリンポスを知らないの?」
「じゃ、違うとこの人かな?」
「…俺は、異界の住人だ」
「いかい…? それって、どこにあるの?」
「命を無くした人間が行き着く場所、魂が存在するべき場所だ」
「…え、じゃあ、アーロンってもしかして…」
「…俺は、死人だ」
「ええっ!? そうなの!?」
俺と少年との会話に、動物達も参加してきた。
彼らの言うオリンポスとはつまり、この世界のことか。
「じゃあさ、さっきの女の人って、誰?」
「すっごい強そうな!」
「すっごい美人の!」
動物達が、互いの言葉に文句を言い合っているが、そんな会話が耳に入ることも無く、俺は少年の言葉に息を飲んだ。
「俺達、ハデスに話があったんだけど、それどころじゃなくなっちゃったし、なんか取り込み中だった?」
「…あいつは…」
「…うんうん」
「俺と同じ世界から来た」
「…ここじゃ、ない、世界? え~と、いかい、だっけ?」
「あぁ。 あいつの、失った心を取り戻したいんだ」
「…心」
「お前達こそ、何者なんだ? お前達のような子供が…」
「俺達は…、…俺達も、取り戻したいんだ。大切な人を、心を!」
「…そうか」
前を走る少年達の速度が落ちて、やがてその場で止まってしまった。
視線の先には、大きな石の扉。
少年が躊躇いもなく扉に手を掛ける。
何の警戒も無く迂闊に触れるなと言ってやりたくなる行動だが、自分が握る太刀の柄を再度握り直して抑える。
それも杞憂だったようで、扉は開くことはなかった。
「あれ?」
「閉じてる!」
いかにも厳つい重そうな扉に見えるのだが、簡単に開くものなのか?
開かないことに疑問を持つような言葉が交わされる。
「開かない」
「おかしいな…」
「あ~~~!!!」
白い鳥のような動物が扉の上部を指差して声を張り上げる。
つられて俺もそこを見上げてしまった。
そこにあったのは、大きな錠前。
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16,jul,2015