第4章【再会、だけど…】
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
【 41 】
そちらに気を取られたほんの一瞬を払拭するかのように、ラフテルの気が高まっていく。
闘いに集中している証だ。
少年が勇ましい掛け声と共に手にした鍵のような武器を振りかぶる。
俺も同じようにラフテルに向かっていく。
だが、両者ともその一撃は相手に届きもしない。
「!?」
無我夢中で闇雲に剣を振り回しているようにしか見えん少年の動きは、酷く拙い。
ジェクトの息子ティーダに初めて剣を持たせた時を思い出す。
この少年は、きちんと剣技を教わったことがないのだろうか?
何度かいい動きを見せる場面があったが、そんな動きではあの男どころか、魔物一匹倒せまい。
少年のほうにばかり気を取られている場合ではない。
ラフテルは益々力を増していき、俺の攻撃は全く効果がない。
「なんかおかしいな…」
「攻撃が、全然効かない…!」
少年達のほうも、異変に気付いたようだ。
本来なら、この少年達ももっとやれるということか。
「変だな、力が出ない」
「………」
確かに、向こうが強くなったと言うよりは、こちらの力が弱くなったように思う。
自分が思っているような力が出ないのだ。
「へ~っへっへっへっへっ、気付いた?」
男がおかしな顔を更におかしそうに歪めて笑い声を上げる。
両の腕を高く掲げて勝ち誇ったように嫌らしい笑顔で子供達、そして俺を見つめる。
「ここには今、結界を張ってある。 この冥界の呪いは、HEROもZEROにするPOWERがある!! 今のお前達なんて…「ムギャッ」このチビどもにすら勝てな~い」
ふいに横に腕を伸ばしたと思ったら、どこにいたのか、小さな魔物のような生き物がその手に握られていた。
…どこにいたんだ…?
だがこいつの言うことは真実だろう。
このままここにいても解決策はない。
それに、俺だけではないのだ。
「…出るぞ」
「え、でも…!」
「退却だ!」
「俺達、あいつに話が!」
「…聞こえないな」
「このままではまともに戦えん。俺に従え!」
「……わかった」
わざとらしく両の耳に指を突き刺して首を振る男を眺めながら、しぶしぶといった感じで了承した少年が武器を下ろす。
不本意に感じているのはこちらも同じことだ。
「行かせると思う?」
男が片腕を振りかざす。
ここで邪魔をされたら逃げるのは少々厄介に…。
「なんの真似、かなぁ、ラフテル~」
「………」
男の隣にいたラフテルが、男の首に剣の切っ先を当てた。
つい先程まで受けていた彼女の鋭い眼差しは、男に向けられていた。
「行くぞ!」
子供達を促して部屋を飛び出す。
部屋の扉が閉じる直前、僅かな隙間から彼女の顔が見えた。
あの男に剣を向けたままの姿勢で、こちらを見ていた。
その目は酷く寂しそうで、悲しそうに見えた。
…ラフテル、お前は、お前のままなのだな。
ベベルにいる、俺に怯えるお前ではなく、ずっと共に過ごしてきたお前本人なんだな。
…やっと見つけた。それなのに…。
第4章終
→第5章
13,jul,2015
そちらに気を取られたほんの一瞬を払拭するかのように、ラフテルの気が高まっていく。
闘いに集中している証だ。
少年が勇ましい掛け声と共に手にした鍵のような武器を振りかぶる。
俺も同じようにラフテルに向かっていく。
だが、両者ともその一撃は相手に届きもしない。
「!?」
無我夢中で闇雲に剣を振り回しているようにしか見えん少年の動きは、酷く拙い。
ジェクトの息子ティーダに初めて剣を持たせた時を思い出す。
この少年は、きちんと剣技を教わったことがないのだろうか?
何度かいい動きを見せる場面があったが、そんな動きではあの男どころか、魔物一匹倒せまい。
少年のほうにばかり気を取られている場合ではない。
ラフテルは益々力を増していき、俺の攻撃は全く効果がない。
「なんかおかしいな…」
「攻撃が、全然効かない…!」
少年達のほうも、異変に気付いたようだ。
本来なら、この少年達ももっとやれるということか。
「変だな、力が出ない」
「………」
確かに、向こうが強くなったと言うよりは、こちらの力が弱くなったように思う。
自分が思っているような力が出ないのだ。
「へ~っへっへっへっへっ、気付いた?」
男がおかしな顔を更におかしそうに歪めて笑い声を上げる。
両の腕を高く掲げて勝ち誇ったように嫌らしい笑顔で子供達、そして俺を見つめる。
「ここには今、結界を張ってある。 この冥界の呪いは、HEROもZEROにするPOWERがある!! 今のお前達なんて…「ムギャッ」このチビどもにすら勝てな~い」
ふいに横に腕を伸ばしたと思ったら、どこにいたのか、小さな魔物のような生き物がその手に握られていた。
…どこにいたんだ…?
だがこいつの言うことは真実だろう。
このままここにいても解決策はない。
それに、俺だけではないのだ。
「…出るぞ」
「え、でも…!」
「退却だ!」
「俺達、あいつに話が!」
「…聞こえないな」
「このままではまともに戦えん。俺に従え!」
「……わかった」
わざとらしく両の耳に指を突き刺して首を振る男を眺めながら、しぶしぶといった感じで了承した少年が武器を下ろす。
不本意に感じているのはこちらも同じことだ。
「行かせると思う?」
男が片腕を振りかざす。
ここで邪魔をされたら逃げるのは少々厄介に…。
「なんの真似、かなぁ、ラフテル~」
「………」
男の隣にいたラフテルが、男の首に剣の切っ先を当てた。
つい先程まで受けていた彼女の鋭い眼差しは、男に向けられていた。
「行くぞ!」
子供達を促して部屋を飛び出す。
部屋の扉が閉じる直前、僅かな隙間から彼女の顔が見えた。
あの男に剣を向けたままの姿勢で、こちらを見ていた。
その目は酷く寂しそうで、悲しそうに見えた。
…ラフテル、お前は、お前のままなのだな。
ベベルにいる、俺に怯えるお前ではなく、ずっと共に過ごしてきたお前本人なんだな。
…やっと見つけた。それなのに…。
第4章終
→第5章
13,jul,2015