第4章【再会、だけど…】
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【 40 】
何かがおかしい。
突然感じた違和感の正体に気付くこともないままに剣を振り続ける。
最初は俺が圧していたはずだった。
確かにラフテルは強い。
だが、所詮は魔法重視。しかも女であると言うことが力の根源の差を物語る。
よく見知った相手だからというのもあるだろう。
このままいけば勝負は簡単につくだろうと思っていた。
それが、なぜか、急に彼女のほうが俺を圧しはじめたように感じる。
事実、俺の攻撃はあっさりとかわされ、受け止められ、弾かれる。
彼女の振るう剣勢のほうが強い。
急にどうしたというのだ?
彼女自体に変化は何も見られないようだが、何らかの力が働いたとしか考えられない。
共に眼前で刃を向け合っているこの姿勢で、彼女の使う細い武器が俺の大きな太刀を受け止めることなどできない筈だ。
それなのに、力の均衡を推し量るような姿勢のまま、動けない。
彼女が動かないのではない。
俺が、動けずにいるのだ。
ラフテルが俺を睨みつけている。
普段は決して見せないような、闘いの目。
その瞳は鈍い金色に見える。 こいつの瞳の色はこんな色だったか?
俺をこんな目で見つめたことなど、あっただろうか?
…遠い昔、共に旅を始めたばかりの頃だったか、あの頃は嫌われていたらしかったようで、よくきつい目を向けてきたものだったが、それでもこんな、敵意のこもった目はしていなかったはずだ。
敵意のこもった、鋭い眼差し。
だがその中に、微かに悲しみが混じっていることに、お前は気付いていないのだろう。
「ハデス!」
突然掛けられた声にはっとする。
部屋の中に誰かが飛び込んできたようだ。
ラフテルと剣を合わせることに夢中になっていたようで、その声の主が部屋に入ってきたことにも気が付かなかった。
背後からいくつかの足音が近づいてくる。
随分と身軽な人物のようだ。
俺はラフテルと剣を合わせた姿勢のまま動けずにいる。
だが、あの青いおかしな奴の前まで走ってきた人物を目の端に捉えて驚愕する。
「(…な、なんだ、このガキどもは…!)」
そいつらは真っ直ぐにあのおかしな男の前に立った。
その手に武器らしきものを握って…。
この男の仲間という訳ではなさそうだな。
「手伝え!」
「うん!!」
当然、と言わんばかりに元気のいい返事がかえってきた。
太刀を握り締める手に力を込める。
目の前に迫っていたラフテルの武器を弾いて、1歩後ろに飛んだ。
少年の姿をそこで改めて目にする。
本当に、子供だ。
2年前の旅の仲間だったあのアルベド族の娘よりも年下なのではないだろうか?
少年と共にここに入ってきた者達に至っては、ヒトですらない。
…魔物?いや、ヒトの言葉を話していた以上、魔物というわけではないのだろう。
ラフテルのほうに目を向けると、彼女も突然の展開に驚きの顔こそ見せなかったものの、少々動揺したのか気が揺らいでいた。
この少年のことは本当に予想外だったのだろう。
それに、このおかしな男のことをよく知っているようだ。
→
12,jul,2015
何かがおかしい。
突然感じた違和感の正体に気付くこともないままに剣を振り続ける。
最初は俺が圧していたはずだった。
確かにラフテルは強い。
だが、所詮は魔法重視。しかも女であると言うことが力の根源の差を物語る。
よく見知った相手だからというのもあるだろう。
このままいけば勝負は簡単につくだろうと思っていた。
それが、なぜか、急に彼女のほうが俺を圧しはじめたように感じる。
事実、俺の攻撃はあっさりとかわされ、受け止められ、弾かれる。
彼女の振るう剣勢のほうが強い。
急にどうしたというのだ?
彼女自体に変化は何も見られないようだが、何らかの力が働いたとしか考えられない。
共に眼前で刃を向け合っているこの姿勢で、彼女の使う細い武器が俺の大きな太刀を受け止めることなどできない筈だ。
それなのに、力の均衡を推し量るような姿勢のまま、動けない。
彼女が動かないのではない。
俺が、動けずにいるのだ。
ラフテルが俺を睨みつけている。
普段は決して見せないような、闘いの目。
その瞳は鈍い金色に見える。 こいつの瞳の色はこんな色だったか?
俺をこんな目で見つめたことなど、あっただろうか?
…遠い昔、共に旅を始めたばかりの頃だったか、あの頃は嫌われていたらしかったようで、よくきつい目を向けてきたものだったが、それでもこんな、敵意のこもった目はしていなかったはずだ。
敵意のこもった、鋭い眼差し。
だがその中に、微かに悲しみが混じっていることに、お前は気付いていないのだろう。
「ハデス!」
突然掛けられた声にはっとする。
部屋の中に誰かが飛び込んできたようだ。
ラフテルと剣を合わせることに夢中になっていたようで、その声の主が部屋に入ってきたことにも気が付かなかった。
背後からいくつかの足音が近づいてくる。
随分と身軽な人物のようだ。
俺はラフテルと剣を合わせた姿勢のまま動けずにいる。
だが、あの青いおかしな奴の前まで走ってきた人物を目の端に捉えて驚愕する。
「(…な、なんだ、このガキどもは…!)」
そいつらは真っ直ぐにあのおかしな男の前に立った。
その手に武器らしきものを握って…。
この男の仲間という訳ではなさそうだな。
「手伝え!」
「うん!!」
当然、と言わんばかりに元気のいい返事がかえってきた。
太刀を握り締める手に力を込める。
目の前に迫っていたラフテルの武器を弾いて、1歩後ろに飛んだ。
少年の姿をそこで改めて目にする。
本当に、子供だ。
2年前の旅の仲間だったあのアルベド族の娘よりも年下なのではないだろうか?
少年と共にここに入ってきた者達に至っては、ヒトですらない。
…魔物?いや、ヒトの言葉を話していた以上、魔物というわけではないのだろう。
ラフテルのほうに目を向けると、彼女も突然の展開に驚きの顔こそ見せなかったものの、少々動揺したのか気が揺らいでいた。
この少年のことは本当に予想外だったのだろう。
それに、このおかしな男のことをよく知っているようだ。
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12,jul,2015