第4章【再会、だけど…】
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『38』
~葛藤の末の、罰~
そうか、わかった。
これは、罰なんだ。
あの変態野郎が私に課した、罰。
変態野郎と交わした契約を、早く完了させなかったから。
すぐに終わらせてこんな世界、とっとと逃げ出すつもりだった。
私に与えられた仕事は、ある人物を倒すこと。
実際、その人物と会い、戦った。
だが、倒すまでには至っていない。
それはその人物が滅法強いというわけではない。
本気を出せばすぐにでも倒すことができるだろう。
だが、私は敢えてそれをしなかった。
私がここに連れてこられて、幾日も過ぎているというのに。
もう、その人物とも幾度と無く戦っているというのに。
その人物に出会って、会話を交わして、戦って…
私は何を思った? 何を感じた?
これまで出会った人間とは違う、何かを秘めた人物であることは間違いない。
戦いが、面白いとさえ感じていたのだ。
こいつを殺してしまうことはできない。
だが、彼を倒さなくては契約に縛られた私は帰ることができない。
この葛藤がずっと私の中にあった。
いつまでも契約を履行しない私に業を煮やしたのだろう。
私の記憶の中から、“彼”を生み出したに違いない。
私そっくりの、あの人形を使って。
だから、これは、罰なのだろう。
腕が重い。
足がダルい。
視界がぼやける。
息が、切れる。
そしてそれ以上に、胸の中が苦しい。
私を鋭い眼光で睨む目の前の男に、殺気を剥き出しにしている男に、助けを求めるのはおかしいだろうか?
自分を殺そうとしている男に向かって、助けてくれと懇願するのは命乞いをしているだけと捉えられるだろうか。
戦っているうちに、剣を交えているうちに、偽者という意識は薄れていた。
これは、間違いなく、私の良く知るアーロン。
…アーロン、助けて…
…私を、解放して…
私は自分自身の中の情けない弱い自分を隠すように、誤魔化すように声を張り上げる。
気迫を込めた気合の声を上げて、小太刀を握る手に力と魔力を込める。
だが、一度浮かんだ気持ちの揺らぎは力に現れる。
防ぎきれなかった剣の一撃でバランスを崩したところへ、もう一撃。
「…っっ!!」
私の身体は宙を舞った。
→
10,jul,2015
~葛藤の末の、罰~
そうか、わかった。
これは、罰なんだ。
あの変態野郎が私に課した、罰。
変態野郎と交わした契約を、早く完了させなかったから。
すぐに終わらせてこんな世界、とっとと逃げ出すつもりだった。
私に与えられた仕事は、ある人物を倒すこと。
実際、その人物と会い、戦った。
だが、倒すまでには至っていない。
それはその人物が滅法強いというわけではない。
本気を出せばすぐにでも倒すことができるだろう。
だが、私は敢えてそれをしなかった。
私がここに連れてこられて、幾日も過ぎているというのに。
もう、その人物とも幾度と無く戦っているというのに。
その人物に出会って、会話を交わして、戦って…
私は何を思った? 何を感じた?
これまで出会った人間とは違う、何かを秘めた人物であることは間違いない。
戦いが、面白いとさえ感じていたのだ。
こいつを殺してしまうことはできない。
だが、彼を倒さなくては契約に縛られた私は帰ることができない。
この葛藤がずっと私の中にあった。
いつまでも契約を履行しない私に業を煮やしたのだろう。
私の記憶の中から、“彼”を生み出したに違いない。
私そっくりの、あの人形を使って。
だから、これは、罰なのだろう。
腕が重い。
足がダルい。
視界がぼやける。
息が、切れる。
そしてそれ以上に、胸の中が苦しい。
私を鋭い眼光で睨む目の前の男に、殺気を剥き出しにしている男に、助けを求めるのはおかしいだろうか?
自分を殺そうとしている男に向かって、助けてくれと懇願するのは命乞いをしているだけと捉えられるだろうか。
戦っているうちに、剣を交えているうちに、偽者という意識は薄れていた。
これは、間違いなく、私の良く知るアーロン。
…アーロン、助けて…
…私を、解放して…
私は自分自身の中の情けない弱い自分を隠すように、誤魔化すように声を張り上げる。
気迫を込めた気合の声を上げて、小太刀を握る手に力と魔力を込める。
だが、一度浮かんだ気持ちの揺らぎは力に現れる。
防ぎきれなかった剣の一撃でバランスを崩したところへ、もう一撃。
「…っっ!!」
私の身体は宙を舞った。
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10,jul,2015