第4章【再会、だけど…】
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『35』~信じられるか~
なぜ?どうして?という疑問詞に答えを求めるのは自然なことではないのだろうか。
自分が知り得なかったこと、知らなかったこと。
不思議なことわからないこと。
それらの現象が今目の前で起こっているとしたら、人は誰でもその答えや理由を知りたがるだろう。
それが起こり得ない、あり得ない出来事であったならば、尚更だ。
変態野郎が半歩横に下がって私を促す。
たった今、自分で呼び出したこの男を殺せ、と。
身を隠していた壁の陰から、1歩前に出た。
姿を見せてしまったことで、急に後ろめたい気持ちになる。
何もおかしなことなんてしていない筈なのに。
ここに来たのだって、私の意志ではない。
この変態野郎に連れて来られたのだ。
今、目の前に立つアーロンと同じように。
「ラフテル、こいつを殺せ!」
「…そんな契約はしていない」
「ラフテル~」
「名を呼ぶな! …呼び出したのはあんただろう。あんたがやればいい」
「…ラフテル、…本当に、ラフテルなのか?」
私に命令する変態野郎の存在そのものをまるっきり無視して、アーロンが私に問いかける。
その言い方が少し引っ掛かる。
まるで、私を私と認識していないような、偽物を見るような目つき。
「私は私だ。…あんたこそ、アーロン、なのか?」
「確かめてみるか? 俺を殺すんだろう?」
振り下げていた太刀を肩に担いで、態勢を低く身構える。
私を挑発するような眼で睨みつける。
彼に勝てる可能性などある訳がないと、最初から決まった勝負を馬鹿にするかのようなその様に、少し苛つきを覚える。
だが、その姿が、その仕草が、彼がアーロン本人であることを物語っている。
それでも私はどこかで信じ切れなかった。
あの時の、あの戦いがあったばかりだから…。
ヒトの想いや記憶を封じ込めて残るもの。
その姿を留めて現すもの。
姿形も声も仕草も癖も記憶も、本人ではない本人を作り出すことができる存在。
大切な想いをいつまでも残すことができる有難いもの。
…この世に留まり続ける、恐ろしいもの。
だから私は目の前にいるこの男が、どうしてもアーロン本人だと信じきることができずにいる。
ここから早く元の世界に帰りたい。
彼に会いたい。
助けて欲しい。
そう願っていたというのに、いざその人物が目の前に現れたら、それを信じることができない。
酷い葛藤が私の中で渦巻いていた。
私を見つめるたった1つの眼を見ていられなくなって、思わず顔を僅かに俯けてしまう。
「どうしたラフテル、さあやれ!」
変態野郎が更に私を促す。
→
7,jul,2015
なぜ?どうして?という疑問詞に答えを求めるのは自然なことではないのだろうか。
自分が知り得なかったこと、知らなかったこと。
不思議なことわからないこと。
それらの現象が今目の前で起こっているとしたら、人は誰でもその答えや理由を知りたがるだろう。
それが起こり得ない、あり得ない出来事であったならば、尚更だ。
変態野郎が半歩横に下がって私を促す。
たった今、自分で呼び出したこの男を殺せ、と。
身を隠していた壁の陰から、1歩前に出た。
姿を見せてしまったことで、急に後ろめたい気持ちになる。
何もおかしなことなんてしていない筈なのに。
ここに来たのだって、私の意志ではない。
この変態野郎に連れて来られたのだ。
今、目の前に立つアーロンと同じように。
「ラフテル、こいつを殺せ!」
「…そんな契約はしていない」
「ラフテル~」
「名を呼ぶな! …呼び出したのはあんただろう。あんたがやればいい」
「…ラフテル、…本当に、ラフテルなのか?」
私に命令する変態野郎の存在そのものをまるっきり無視して、アーロンが私に問いかける。
その言い方が少し引っ掛かる。
まるで、私を私と認識していないような、偽物を見るような目つき。
「私は私だ。…あんたこそ、アーロン、なのか?」
「確かめてみるか? 俺を殺すんだろう?」
振り下げていた太刀を肩に担いで、態勢を低く身構える。
私を挑発するような眼で睨みつける。
彼に勝てる可能性などある訳がないと、最初から決まった勝負を馬鹿にするかのようなその様に、少し苛つきを覚える。
だが、その姿が、その仕草が、彼がアーロン本人であることを物語っている。
それでも私はどこかで信じ切れなかった。
あの時の、あの戦いがあったばかりだから…。
ヒトの想いや記憶を封じ込めて残るもの。
その姿を留めて現すもの。
姿形も声も仕草も癖も記憶も、本人ではない本人を作り出すことができる存在。
大切な想いをいつまでも残すことができる有難いもの。
…この世に留まり続ける、恐ろしいもの。
だから私は目の前にいるこの男が、どうしてもアーロン本人だと信じきることができずにいる。
ここから早く元の世界に帰りたい。
彼に会いたい。
助けて欲しい。
そう願っていたというのに、いざその人物が目の前に現れたら、それを信じることができない。
酷い葛藤が私の中で渦巻いていた。
私を見つめるたった1つの眼を見ていられなくなって、思わず顔を僅かに俯けてしまう。
「どうしたラフテル、さあやれ!」
変態野郎が更に私を促す。
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7,jul,2015