第4章【再会、だけど…】
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『31』~会ってみなければわからない~
もう何度こいつと対峙しただろう。
こうして向き合う回数も、面倒になって数えるのもやめてしまった。
こいつはいつでも同じことを私に言ってくる。
“なぜ?”
“どうして?”
そんなことを聞いてどうするというのだ?
闘うことに理由なんていらない。
目の前の敵を倒す、ただそれだけでいいではないか。
なぜ理由を求めるのだ? こっちが聞きたい。
…私はなぜ闘う?
理由なんてない。
それが命令で契約だからだ。
そうだ、私は契約に縛られている。
あの気持ちの悪い不気味な奴に。
なんでこんな奴に捕まったんだ…。
今更もうどうしようもないことは解りきっている。
さっさとこの男を倒して契約を完了して元の世界に戻りたい。
そう思っていた。
…だが、実際、倒せと言われた人物に出会って、私の考えは徐々に変化していった。
奴に倒せと言われたこの人物。
闘ってみてわかった。
私がこれまで相手をしたどの人物、魔物とも全く違う。
何もかもが初めて体験するようなことばかりだ。
…おもしろい。
誰かと向き合って、ゾクゾクするような感覚。
本当にこんな感覚は久しぶりだ。
遠い昔に感じた懐かしい記憶が頭を掠めていく。
さっさとこいつを倒してしまえばいいと思っていたが、いつしかこの男と闘うことが面白くて仕方がなくなっていた。
この男の強さは、この世界の中では上位にあるのだろう。
様々なこの世界の魔物と闘ってみて感じたことだ。
だが、私から見ればまだまだ及ばない。
だから私は余裕でこいつと遊ぶのだ。
ある程度ダメージを与えたら、すぐに引く。
そんなことをもう何日も、何度も繰り返してきた。
ふいに、また奴に呼ばれた。
どこにいても、奴は何かと私を呼びつける。
この不気味な男の僕という位置に私はいるらしいが、私としては不本意だ。
冗談じゃない。
だが、ある一定の範囲内でしか動けず、外の世界にでることもできず、私を自由に己の元へ呼び出すことができるこいつはやはり私にとっては主人という立場になるのだろうか。
黒い闇の扉を潜り、変態主の部屋へ行く。
「…なんだ」
「ラフテル~」
「呼ぶな、気色悪い」
「相変わらず冷たいお言葉」
真っ青な顔を、ふざけているのかおかしな形に歪めながら明後日の方向に目を向ける。
こういう態度がいちいち勘に障る。
「おい———、そいつは誰だ? …人間じゃないか」
この部屋に入った時から感じていたもう一人の気配の主が声をかけてきた。
私は振り返ってそこで初めてもう一人を見た。
…こいつは、…犬か? …いや、猫!?
なんだこいつ。
こいつも魔物なのか?
いっちょまえに鎧?みたいなものを身に纏っている。
それにしても、なんて見事に真ん丸な腹をしているんだ。
これまでにも恰幅のいい人物にはたくさん出会ってきたが、こんなにきれいに丸い体をした奴なんて、この部屋の外にうようよいる丸い魔物くらいしか知らない。
「………」ナデナデ
「………何やってんだ?」
「!!」
はっとして一歩後退する。
思わず撫でてしまった…。
→
3,jul,2015
もう何度こいつと対峙しただろう。
こうして向き合う回数も、面倒になって数えるのもやめてしまった。
こいつはいつでも同じことを私に言ってくる。
“なぜ?”
“どうして?”
そんなことを聞いてどうするというのだ?
闘うことに理由なんていらない。
目の前の敵を倒す、ただそれだけでいいではないか。
なぜ理由を求めるのだ? こっちが聞きたい。
…私はなぜ闘う?
理由なんてない。
それが命令で契約だからだ。
そうだ、私は契約に縛られている。
あの気持ちの悪い不気味な奴に。
なんでこんな奴に捕まったんだ…。
今更もうどうしようもないことは解りきっている。
さっさとこの男を倒して契約を完了して元の世界に戻りたい。
そう思っていた。
…だが、実際、倒せと言われた人物に出会って、私の考えは徐々に変化していった。
奴に倒せと言われたこの人物。
闘ってみてわかった。
私がこれまで相手をしたどの人物、魔物とも全く違う。
何もかもが初めて体験するようなことばかりだ。
…おもしろい。
誰かと向き合って、ゾクゾクするような感覚。
本当にこんな感覚は久しぶりだ。
遠い昔に感じた懐かしい記憶が頭を掠めていく。
さっさとこいつを倒してしまえばいいと思っていたが、いつしかこの男と闘うことが面白くて仕方がなくなっていた。
この男の強さは、この世界の中では上位にあるのだろう。
様々なこの世界の魔物と闘ってみて感じたことだ。
だが、私から見ればまだまだ及ばない。
だから私は余裕でこいつと遊ぶのだ。
ある程度ダメージを与えたら、すぐに引く。
そんなことをもう何日も、何度も繰り返してきた。
ふいに、また奴に呼ばれた。
どこにいても、奴は何かと私を呼びつける。
この不気味な男の僕という位置に私はいるらしいが、私としては不本意だ。
冗談じゃない。
だが、ある一定の範囲内でしか動けず、外の世界にでることもできず、私を自由に己の元へ呼び出すことができるこいつはやはり私にとっては主人という立場になるのだろうか。
黒い闇の扉を潜り、変態主の部屋へ行く。
「…なんだ」
「ラフテル~」
「呼ぶな、気色悪い」
「相変わらず冷たいお言葉」
真っ青な顔を、ふざけているのかおかしな形に歪めながら明後日の方向に目を向ける。
こういう態度がいちいち勘に障る。
「おい———、そいつは誰だ? …人間じゃないか」
この部屋に入った時から感じていたもう一人の気配の主が声をかけてきた。
私は振り返ってそこで初めてもう一人を見た。
…こいつは、…犬か? …いや、猫!?
なんだこいつ。
こいつも魔物なのか?
いっちょまえに鎧?みたいなものを身に纏っている。
それにしても、なんて見事に真ん丸な腹をしているんだ。
これまでにも恰幅のいい人物にはたくさん出会ってきたが、こんなにきれいに丸い体をした奴なんて、この部屋の外にうようよいる丸い魔物くらいしか知らない。
「………」ナデナデ
「………何やってんだ?」
「!!」
はっとして一歩後退する。
思わず撫でてしまった…。
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3,jul,2015