第3章【見つけ出してやる】
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【 30 】
「アーロン殿、お待ちしておりました」
「何か分かったのか?」
「まずはこちらへ」
異界で、先祖達に助言を請うてくれていたトワメルが、俺の到着と同時に何処かへ導く。
言われるがままに彼の後をついていく。
そして俺の胸はザワザワと騒ぎ始める。
「おい、この先は…」
「…異界、ですな」
「なぜ異界へ…。…俺は」
「存じております。 案内の者がおります故、ご心配には及びません」
「………」
異界へ近づけば近づくほど、胸が締め付けられるように苦しくなる。
体の中から何かに引き寄せられるような感覚が沸く。
このスピラに漂う幾多の幻光虫が向かう、異界の入り口。
ここに来ると俺自身の体もその世界に飲み込まれそうだ。
「お連れしました」
「………」
異界の境界である大階段の下まで来て、トワメルは恭しく頭を垂れた。
幻光虫が集まり、やがてヒトを形作る。
朧気で儚い幻影となって姿を現した人物。
俺は驚きで胸の苦しさを忘れてしまった。
『久しぶりじゃな、アーロン』
「…ジスカル!?」
『トワメル、ご苦労。もうよいぞ』
「はは、…では、アーロン殿。 ご健闘をお祈りしております」
「これは一体どういうことなんだ!?」
『ふむ、話せば長くなるが、お主自身で確かめたほうが早いじゃろ。 …そうしたいのではないか?』
「勿論だ。 いちいち面倒な説明などいらん。彼女に何があったのか聞かせてくれ」
『では、付いてきなさい。 …くれぐれもはぐれんようにな』
「…どうなるというのだ」
『道を外れると、冥界の牢獄に囚われる』
「冥界、の …牢獄…?」
冥界…とは?
異界とは違うというのか?
そんなものが存在しているというのか?
ラフテルは、彼女の記憶は、心は、そこにあるというのか?
俺の質問を避けるように、ジスカルは立ち消える。
だが幾匹かの幻光虫が俺を誘うように浮かんでいた。
俺は迷うことなくそいつらの後を追う。
幻光虫が無数に漂うこの空間の中で、この数匹だけを追うのは正直難しい。
だが、行かねばならない。
全ての事柄に答えを出し、彼女を、本当の彼女を取り戻すために。
第3章 終
→第4章【再会、だけど…】
2,jul,2015
16,Feb,2018 携帯版より転載
「アーロン殿、お待ちしておりました」
「何か分かったのか?」
「まずはこちらへ」
異界で、先祖達に助言を請うてくれていたトワメルが、俺の到着と同時に何処かへ導く。
言われるがままに彼の後をついていく。
そして俺の胸はザワザワと騒ぎ始める。
「おい、この先は…」
「…異界、ですな」
「なぜ異界へ…。…俺は」
「存じております。 案内の者がおります故、ご心配には及びません」
「………」
異界へ近づけば近づくほど、胸が締め付けられるように苦しくなる。
体の中から何かに引き寄せられるような感覚が沸く。
このスピラに漂う幾多の幻光虫が向かう、異界の入り口。
ここに来ると俺自身の体もその世界に飲み込まれそうだ。
「お連れしました」
「………」
異界の境界である大階段の下まで来て、トワメルは恭しく頭を垂れた。
幻光虫が集まり、やがてヒトを形作る。
朧気で儚い幻影となって姿を現した人物。
俺は驚きで胸の苦しさを忘れてしまった。
『久しぶりじゃな、アーロン』
「…ジスカル!?」
『トワメル、ご苦労。もうよいぞ』
「はは、…では、アーロン殿。 ご健闘をお祈りしております」
「これは一体どういうことなんだ!?」
『ふむ、話せば長くなるが、お主自身で確かめたほうが早いじゃろ。 …そうしたいのではないか?』
「勿論だ。 いちいち面倒な説明などいらん。彼女に何があったのか聞かせてくれ」
『では、付いてきなさい。 …くれぐれもはぐれんようにな』
「…どうなるというのだ」
『道を外れると、冥界の牢獄に囚われる』
「冥界、の …牢獄…?」
冥界…とは?
異界とは違うというのか?
そんなものが存在しているというのか?
ラフテルは、彼女の記憶は、心は、そこにあるというのか?
俺の質問を避けるように、ジスカルは立ち消える。
だが幾匹かの幻光虫が俺を誘うように浮かんでいた。
俺は迷うことなくそいつらの後を追う。
幻光虫が無数に漂うこの空間の中で、この数匹だけを追うのは正直難しい。
だが、行かねばならない。
全ての事柄に答えを出し、彼女を、本当の彼女を取り戻すために。
第3章 終
→第4章【再会、だけど…】
2,jul,2015
16,Feb,2018 携帯版より転載