第1章【何が起きたのか理解不能】
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= 3 =
角を曲がった先にある昇降台が目に入った。
これで一気に下に下りてしまえば、人に紛れ込むことができる。
幸いにも今は僧兵の服を拝借している自分は、そう簡単に見つかることもなくこの建物から逃げ出すことができるだろう。
最悪、寺院の地下にある祈り子の間に今も空いているであろう、穴に飛び込めばいいはず。
自分の身の安全が確保されたわけでもないというのに、もう私はすっかり気を抜いてしまっていた。
逃げ切れると確信を持って慢心していた。
昇降装置が稼動中である光が点いていることに気が点いたのは、もうあと少しで装置に手が届くというところまで辿り着いたときだった。
はっとして、装置に目を向ける。
まるで計ったようなタイミングで、昇降台が競りあがってきた。
そこに、人を乗せて…
「……っっ、っ…!!!!!」
突然、力が抜けていく。
走っていた足が、崩れ落ちる。
見開いた目が離せない。
口からは音とも息遣いとも言えない空気が微かに漏れるだけ。
汗が体中の穴という穴から噴出したようだ。
一瞬にして、腰が抜ける。
崩れ落ちた自分の体を、情けない姿のままに必死に支える。
なんとか腕を突っ張って上体を起こしてはいるが、目を逸らすことのできない顔が動かない。
逃げようともがく足は生まれたての4足歩行の動物の赤子のようにフラフラとしか動かず、空を掻いている。
ヒィヒィと短い悲鳴と呼吸を繰り返して、それでもかろうじてその場から後退しようと試みている。
昇降台に乗っていた人物が、こちらを振り返った。
「!!」
見覚えのない、男。
これがどこの誰かなんてわからないが、記憶の奥底に植えつけられた恐怖が体を強張らせる。
片腕を惜しげもなく晒し、大きな傷のついた顔には黒い髪が何房かかかっている。
そして、目を見張るほどの、 …赤。
「…あ、ああ、あああぁぁ……っっ!!!」
「おい、なんでこんなところに!!」
「うわああああぁぁぁっっ!!!」
→
5,jun,2015
角を曲がった先にある昇降台が目に入った。
これで一気に下に下りてしまえば、人に紛れ込むことができる。
幸いにも今は僧兵の服を拝借している自分は、そう簡単に見つかることもなくこの建物から逃げ出すことができるだろう。
最悪、寺院の地下にある祈り子の間に今も空いているであろう、穴に飛び込めばいいはず。
自分の身の安全が確保されたわけでもないというのに、もう私はすっかり気を抜いてしまっていた。
逃げ切れると確信を持って慢心していた。
昇降装置が稼動中である光が点いていることに気が点いたのは、もうあと少しで装置に手が届くというところまで辿り着いたときだった。
はっとして、装置に目を向ける。
まるで計ったようなタイミングで、昇降台が競りあがってきた。
そこに、人を乗せて…
「……っっ、っ…!!!!!」
突然、力が抜けていく。
走っていた足が、崩れ落ちる。
見開いた目が離せない。
口からは音とも息遣いとも言えない空気が微かに漏れるだけ。
汗が体中の穴という穴から噴出したようだ。
一瞬にして、腰が抜ける。
崩れ落ちた自分の体を、情けない姿のままに必死に支える。
なんとか腕を突っ張って上体を起こしてはいるが、目を逸らすことのできない顔が動かない。
逃げようともがく足は生まれたての4足歩行の動物の赤子のようにフラフラとしか動かず、空を掻いている。
ヒィヒィと短い悲鳴と呼吸を繰り返して、それでもかろうじてその場から後退しようと試みている。
昇降台に乗っていた人物が、こちらを振り返った。
「!!」
見覚えのない、男。
これがどこの誰かなんてわからないが、記憶の奥底に植えつけられた恐怖が体を強張らせる。
片腕を惜しげもなく晒し、大きな傷のついた顔には黒い髪が何房かかかっている。
そして、目を見張るほどの、 …赤。
「…あ、ああ、あああぁぁ……っっ!!!」
「おい、なんでこんなところに!!」
「うわああああぁぁぁっっ!!!」
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5,jun,2015