第3章【見つけ出してやる】
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【 27 】
「…?」
指された方向に顔を向ける。
廊下の奥の方、いや、今自分達がいる場所が最奥だったか。
この位置からだとホールのほうということになる。
そこに、大きなスクリーンがあるのに気が付いた。
そこでは、今行われているブリッツの試合が中継で映し出されていた。
「…? ブリッツの試合…?」
「その試合に、今ユウナ達のチームが出場してんだよ」
「!!!」
…これには驚いた。
まさかあの少女がブリッツをしているなど…
スフィアハンターとやらになって、飛空挺であちこちを飛び回っているものだとばかり思っていた。
まさか彼女までがこんなことを始めるとは。
「知らなかったのか…。今、すげーんだぜ。シンがいなくなってから、この2年で急に街の規模がどんどん大きくなってさ。 たっくさんチームが誕生したんだ。
ここでやってるトーナメントも、あの時とはまるで規模が違うんだぜ。 今じゃリーグ戦も予選から勝ち残らないと優勝なんてできないんだ」
永遠のナギ節の影響はこんなところにまで波及しているのか。
人々は平和になった分、よりこのような娯楽に楽しみを見出すことが増えたのだろう。
あまり気にしなかったが、言われてみれば見覚えの無いチームロゴが異様に目に付く。
「お前は出んのか」
「俺? もっちろん、俺だって出るよ。 俺はオーラカだからな。 ユウナとはライバルだな。
…ワッカがコーチなんだけどさ、あいつ、親父になってからあんま練習にも顔出さなくてさ。 今日だって来てないし…」
「…あいつが父親に……。…フ、フフフ、…クク…」
「なーに笑ってるっスか」
あいつが父親となるとは…
と言うことは、相手はルールーか。
どちらにせよ、どんな子が育つのか見ものだな。
これも平和の証だろうか。
「もうすぐゲームも終わるっスよ。 ユウナに会いたいんだろ?
…えーと、あっちの角を曲がったところにでかい窓があるんだけど、そこで待っててくれよ。
ユウナ、今すげー人気あんだぜ。 こんなとこに連れて来れないからさ」
「…あぁ」
再び控え室に戻っていく後姿を見つめていた。
先程と同じように、また悲鳴のような歓声が上がり、奴の姿は見えなくなった。
試合の流れを伝えるアナウンスが異様に大きく耳に届いた。
つい先程まで交わしていた会話で気付かなかったが、ずっと流れていたもののようだ。
それが耳に入らないほどに、あいつとの会話に夢中になっていたというのだろうか。
2年、経った。
これほどの時間が流れれば、懐古の念が生まれてもいい筈だが、なぜだろうか。
あいつのとの会話はそんな感覚を生むことは無かった。
毎日のように会って、会話を交わすことが当たり前となっている存在のように、何の感慨も無く言葉を交わした。
…おかしなものだ。
この街に来て、あいつを探してスタジアムに来た。
控え室の扉を開けて奴の顔を見た瞬間の、あいつの開口一番。
久しいと言う感情など微塵も出さずに、まるで悪戯が見つかった悪ガキのような反応を示した。
あいつも、俺と同じ感情を持っていたのかもしれん。
奴に言われた場所に辿り着いて、恐らくここで間違いではないだろうと目星をつける。
でかい窓があり、そこから港を見下ろすことができる。
昔から大きな街ではあったが、あの時よりも更に人も船も荷物も増えたようだ。
港から少し沖のほうには、海の上に何かを建設しているのだろうか、いつぞや目にしたアルベドの不思議な形をした船がたくさん並んで作業をしていた。
これから街は、いや、このスピラはもっと大きくなっていくのだろう。
今、アルベド族がこのスピラでどのように思われているのかはわからんが、2年前よりは受け入れられているのだろう。
1000年前の過ちを繰り返すことがないように、ただそれだけを願う。
この窓から見える港の一角。
浮かび上がる記憶。
泣き喚くあのガキに真実を伝え、そして旅が始まったあの時。
傍らには、ラフテルもいた。
あいつは、覚えているのだろうか、あの時のことを。
彼女がそこに確かにいたことを。
あれは、俺だけの歪んだ記憶ではないと確かめたかった。
→
29,jun,2015
「…?」
指された方向に顔を向ける。
廊下の奥の方、いや、今自分達がいる場所が最奥だったか。
この位置からだとホールのほうということになる。
そこに、大きなスクリーンがあるのに気が付いた。
そこでは、今行われているブリッツの試合が中継で映し出されていた。
「…? ブリッツの試合…?」
「その試合に、今ユウナ達のチームが出場してんだよ」
「!!!」
…これには驚いた。
まさかあの少女がブリッツをしているなど…
スフィアハンターとやらになって、飛空挺であちこちを飛び回っているものだとばかり思っていた。
まさか彼女までがこんなことを始めるとは。
「知らなかったのか…。今、すげーんだぜ。シンがいなくなってから、この2年で急に街の規模がどんどん大きくなってさ。 たっくさんチームが誕生したんだ。
ここでやってるトーナメントも、あの時とはまるで規模が違うんだぜ。 今じゃリーグ戦も予選から勝ち残らないと優勝なんてできないんだ」
永遠のナギ節の影響はこんなところにまで波及しているのか。
人々は平和になった分、よりこのような娯楽に楽しみを見出すことが増えたのだろう。
あまり気にしなかったが、言われてみれば見覚えの無いチームロゴが異様に目に付く。
「お前は出んのか」
「俺? もっちろん、俺だって出るよ。 俺はオーラカだからな。 ユウナとはライバルだな。
…ワッカがコーチなんだけどさ、あいつ、親父になってからあんま練習にも顔出さなくてさ。 今日だって来てないし…」
「…あいつが父親に……。…フ、フフフ、…クク…」
「なーに笑ってるっスか」
あいつが父親となるとは…
と言うことは、相手はルールーか。
どちらにせよ、どんな子が育つのか見ものだな。
これも平和の証だろうか。
「もうすぐゲームも終わるっスよ。 ユウナに会いたいんだろ?
…えーと、あっちの角を曲がったところにでかい窓があるんだけど、そこで待っててくれよ。
ユウナ、今すげー人気あんだぜ。 こんなとこに連れて来れないからさ」
「…あぁ」
再び控え室に戻っていく後姿を見つめていた。
先程と同じように、また悲鳴のような歓声が上がり、奴の姿は見えなくなった。
試合の流れを伝えるアナウンスが異様に大きく耳に届いた。
つい先程まで交わしていた会話で気付かなかったが、ずっと流れていたもののようだ。
それが耳に入らないほどに、あいつとの会話に夢中になっていたというのだろうか。
2年、経った。
これほどの時間が流れれば、懐古の念が生まれてもいい筈だが、なぜだろうか。
あいつのとの会話はそんな感覚を生むことは無かった。
毎日のように会って、会話を交わすことが当たり前となっている存在のように、何の感慨も無く言葉を交わした。
…おかしなものだ。
この街に来て、あいつを探してスタジアムに来た。
控え室の扉を開けて奴の顔を見た瞬間の、あいつの開口一番。
久しいと言う感情など微塵も出さずに、まるで悪戯が見つかった悪ガキのような反応を示した。
あいつも、俺と同じ感情を持っていたのかもしれん。
奴に言われた場所に辿り着いて、恐らくここで間違いではないだろうと目星をつける。
でかい窓があり、そこから港を見下ろすことができる。
昔から大きな街ではあったが、あの時よりも更に人も船も荷物も増えたようだ。
港から少し沖のほうには、海の上に何かを建設しているのだろうか、いつぞや目にしたアルベドの不思議な形をした船がたくさん並んで作業をしていた。
これから街は、いや、このスピラはもっと大きくなっていくのだろう。
今、アルベド族がこのスピラでどのように思われているのかはわからんが、2年前よりは受け入れられているのだろう。
1000年前の過ちを繰り返すことがないように、ただそれだけを願う。
この窓から見える港の一角。
浮かび上がる記憶。
泣き喚くあのガキに真実を伝え、そして旅が始まったあの時。
傍らには、ラフテルもいた。
あいつは、覚えているのだろうか、あの時のことを。
彼女がそこに確かにいたことを。
あれは、俺だけの歪んだ記憶ではないと確かめたかった。
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29,jun,2015