第3章【見つけ出してやる】
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【 26 】
「うわっ! ア、アーロン!?」
人の顔を見ておかしな声を上げたガキに、思わず眉間に皺が寄る。
その声に反応して周りの連中も一斉にこちらを振り返った。
「………」
「わっ、なんだよ、何すんだ!」
無言のままにガキの腕を掴んでドアを開けた。
「お、おい おっさん、どこ行くんだよ!」
「ここでは人目がありすぎる。…こっちだ」
ドアの外にもたくさんの人間が集まっていた。
ガキの姿を見て悲鳴のような声を上げている。
俺がここに入る時も人だかりができていたのだから、こうなってることは予想できたはずなのだが、失念していた。
人の波と耳に痛い程の歓声を受けながらも、ガキの腕を掴んだままなんとかそこから抜け出した。
「はいはい、ゴメンね~、ちょっと通して~。あ、サインはまた後でな。はいはい、通るよ~」
こいつにとっては、こんな人垣は当たり前のことなのだろう。
それのあしらい方も手慣れたものだ。
…まぁ、当然だろうな。
控え室を後にして、人気のない廊下の奥まで来て、奴の腕を離してやると、痛いわけでもあるまいにわざと人の顔を睨みながら擦ってみせた。
「…ったく、何なんだよいきなり」
あいつが、ラフテルが2年もの時間を費やして必死に集めた魂の欠片から再び生まれた命。
存在するはずのない魂の集合体。
それが、ここに存在している。
あり得ない存在を目の当たりにしていると言うのに、こいつが今目の前にいることが当たり前のように感じる。
ラフテルがやってきたことが無駄なことではなかった。
ここに彼女がいたらさぞ喜んだことだろう。
「おーい、おっさん、どうしたんだよ」
掛けられた声にはっとする。
この存在そのものにすっかり気を取られていたようだ。
「何だよ、こんなとこまで連れてきて、じっと睨まれるなんてすげー気持ち悪いんスけど!」
「…元気そうだな」
「なっ! んな親父くさいセリフ言うんじゃねぇよ! …びっくりしただろーが」
「ふっ…」
「あんたこそ、あっちに行ってたんじゃなかったのか? なんでまたスピラにいるんだ? あ、そうだ! あんたがいるってことは、ラフテルもいるんだよな!
俺、ちゃんと礼を言いたいんだよな。今どこにいるんだ? 一緒に来てんだろ?」
あの頃と少しも変わらないこいつの純粋な瞳を見つめ返すことができなかった。
何も答えることなく顔を背けた俺の態度で、奴の高揚した気分が一気に落ちていく様が手に取るようにわかった。
「…一緒じゃ、ないのか…」
「そのことで、ユウナに聞きたいことがあるんだが、…ユウナは?」
「え、知らないのか? 知ってるからここに来たんじゃないのか?」
「何のことだ? 知らん」
確かに、俺はその存在がここにあると確信してここに来た。
だがその対象はユウナではなく、今目の前にいるこいつだ。
ラフテルから聞かされていた。
“召喚士”という重い呪縛から解き放たれたユウナは、今は自由に大空を飛んでいるのだと。
今迄許されることの無かった、若者としての当然の時間を取り戻しているだけだと。
だから、ビサイドへ行くことも頭には浮かんだが、そうしなかった。
こいつがこの世界に、このスピラに還ってきていたことを思い出したからだ。
今どこにいるのかわからない存在を当ても無く探し回るよりも、この街にきっと来ているであろうこいつを探すほうが確実だった。
そして俺の予想は見事に的中して、今ここにこいつといる。
だが…
肝心なユウナの居所がわからんのでは話にならない。
「ユウナは、あそこっス!」
→
28,jun,2015
「うわっ! ア、アーロン!?」
人の顔を見ておかしな声を上げたガキに、思わず眉間に皺が寄る。
その声に反応して周りの連中も一斉にこちらを振り返った。
「………」
「わっ、なんだよ、何すんだ!」
無言のままにガキの腕を掴んでドアを開けた。
「お、おい おっさん、どこ行くんだよ!」
「ここでは人目がありすぎる。…こっちだ」
ドアの外にもたくさんの人間が集まっていた。
ガキの姿を見て悲鳴のような声を上げている。
俺がここに入る時も人だかりができていたのだから、こうなってることは予想できたはずなのだが、失念していた。
人の波と耳に痛い程の歓声を受けながらも、ガキの腕を掴んだままなんとかそこから抜け出した。
「はいはい、ゴメンね~、ちょっと通して~。あ、サインはまた後でな。はいはい、通るよ~」
こいつにとっては、こんな人垣は当たり前のことなのだろう。
それのあしらい方も手慣れたものだ。
…まぁ、当然だろうな。
控え室を後にして、人気のない廊下の奥まで来て、奴の腕を離してやると、痛いわけでもあるまいにわざと人の顔を睨みながら擦ってみせた。
「…ったく、何なんだよいきなり」
あいつが、ラフテルが2年もの時間を費やして必死に集めた魂の欠片から再び生まれた命。
存在するはずのない魂の集合体。
それが、ここに存在している。
あり得ない存在を目の当たりにしていると言うのに、こいつが今目の前にいることが当たり前のように感じる。
ラフテルがやってきたことが無駄なことではなかった。
ここに彼女がいたらさぞ喜んだことだろう。
「おーい、おっさん、どうしたんだよ」
掛けられた声にはっとする。
この存在そのものにすっかり気を取られていたようだ。
「何だよ、こんなとこまで連れてきて、じっと睨まれるなんてすげー気持ち悪いんスけど!」
「…元気そうだな」
「なっ! んな親父くさいセリフ言うんじゃねぇよ! …びっくりしただろーが」
「ふっ…」
「あんたこそ、あっちに行ってたんじゃなかったのか? なんでまたスピラにいるんだ? あ、そうだ! あんたがいるってことは、ラフテルもいるんだよな!
俺、ちゃんと礼を言いたいんだよな。今どこにいるんだ? 一緒に来てんだろ?」
あの頃と少しも変わらないこいつの純粋な瞳を見つめ返すことができなかった。
何も答えることなく顔を背けた俺の態度で、奴の高揚した気分が一気に落ちていく様が手に取るようにわかった。
「…一緒じゃ、ないのか…」
「そのことで、ユウナに聞きたいことがあるんだが、…ユウナは?」
「え、知らないのか? 知ってるからここに来たんじゃないのか?」
「何のことだ? 知らん」
確かに、俺はその存在がここにあると確信してここに来た。
だがその対象はユウナではなく、今目の前にいるこいつだ。
ラフテルから聞かされていた。
“召喚士”という重い呪縛から解き放たれたユウナは、今は自由に大空を飛んでいるのだと。
今迄許されることの無かった、若者としての当然の時間を取り戻しているだけだと。
だから、ビサイドへ行くことも頭には浮かんだが、そうしなかった。
こいつがこの世界に、このスピラに還ってきていたことを思い出したからだ。
今どこにいるのかわからない存在を当ても無く探し回るよりも、この街にきっと来ているであろうこいつを探すほうが確実だった。
そして俺の予想は見事に的中して、今ここにこいつといる。
だが…
肝心なユウナの居所がわからんのでは話にならない。
「ユウナは、あそこっス!」
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28,jun,2015