第3章【見つけ出してやる】
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『22』~楽しい戦闘~
私の言葉に一瞬でも驚いた顔を見せたものの、すぐに余裕たっぷりの笑顔を浮かべて腕を組んだ。
己の強さに余程自信があるのだろう。
「僕を? 倒す? はははは! …えっと、ラフテル、だっけ? 君は僕を知らないのかい?」
人を小馬鹿にしたように明るく笑って見せる。
だがあの変態野郎とは違って、実に爽やかだ。
ジェクトの息子、あの少年を思い起こさせる。
…この外見は似てもにつかないが…。
今私の目の前にいるこの若者は、私と戦うということをよく理解していないのだろう。
これまで毎日のように戦ってきた相手は、どれもヒトとはかけ離れた姿をした怪物。
しかも見た目は彼よりも小さい女の姿をした、人間。
この闘技場、もしかしたらこの世界にとって、この若者は偉大な功績をあげている人物なのかもしれない。
だからこそ、ここに集まったたくさんの観客達は彼にこれほどまでに大きな声援を送るのだろう。
私の姿を見て、私の言葉を聞いて、大きな力を持った偉大な若者には、私がやろうとしてることが冗談にでも見えるのだろう。
「その言葉、そっくりそのまま返すよ」
「…? どういう意味だい?」
「ここで倒されるあんたにわざわざ教えるつもりはないよ」
腕を組んだ偉ぶった姿勢のまま、彼は困惑を浮かべる。
そんな彼の姿がえらく眩しく思えて、凝視することができない。
思わず視線を僅かに下げて逸らせてしまった。
このまま隙を作るわけにはいかない。
すぐに半身を引いて少し体勢を低くする。
開いた足の中心にバランスよく立つ木になったつもりで、静かに深い呼吸を一つ。
後ろ腰に回した右手はいつでも抜けるように小太刀の柄に触れるか触れないかの位置に留める。
見せつけるように、彼に向かって殺気を立ち上らせた。
「!! キ、キミは一体何者なんだ!? 闇を、纏うのか!」
組んでいた腕を下ろして、私の様子に驚いたのかかなり動揺を浮かべているように見えた。
そこに生まれた、彼の大きな隙。
こんなチャンスを逃す手はない。
重心を僅かに下に落として両足に力を込める。
後ろ腰に回した片手に柄の感触を確かめてから、その柄をしっかりと握る。
飛び出した勢いのままに、小太刀を握った右手を素早く彼の首もとに持っていく。
一撃目はただの牽制。
この一撃で彼がどう動くのかを確かめる。
隙だらけの姿勢で立ってるだけかと思ったが、そこはやはり観衆の声援を受ける身だけのことはあるのだろう。
その大きな身体からは少々無理がありそうな動きで、私の一振りをかわして見せた。
体勢が崩れたところを見計らって、その足元を掬うように地面すれすれに回し蹴りを喰らわす。
彼は崩れた体制をものともせずにきれいにバック転を決めて見せた。
地に伏すような体制のままの私は、すぐさま次の斬撃に移る。
「『ヘイスト』」
自分の胸に片手を当てて、素早さを上げたのは、彼がその腰に刺していた剣を抜いたから。
こういう大振りな剣を扱う者は、その力は強いが、攻撃するときは大振りになってしまう為隙が生まれ易い。
素早く相手との距離を詰めてピンポイントで攻撃できる小太刀を扱う私は、その隙を的確に狙っていく必要がある。
彼は私が思っていたよりもずっと素早さにおいても能力は高いようだ。
私の攻撃はことごとくその剣で防がれる。
思っていたよりもかなりすばしっこいのだ。
間合いを詰めて攻撃するのは、武器の大きさということもあるが、敵の隙を見つけやすいということでもある。
剣撃を休めることなくあらゆる方向から向けてみる。
一体どんな訓練をしてきたのか、全てに反応する動きはベベルでの戦闘訓練では身につけることはできないものだ。
…楽しい
そんなことを感じる自分がいる。
自分の攻撃は悉く防がれてダメージを与えているとは思えない。
それなのに、酷く気分が高揚しているのを感じる。
この若者との戦いが楽しくて仕方がない。
思わず口元が緩んでくる。
素早い動きで相手の動きを制しつつ、私の攻撃を避ける為に体勢を崩した瞬間、奴のいる位置に掌を翳した。
その手に魔力を集中していく。
若者の困惑したままの表情が歪んだのを目にしたとき、微かな笑みが零れた。
起き上がろうとするこいつ目掛けて、私は魔法を放った。
→
24,jun,2015
私の言葉に一瞬でも驚いた顔を見せたものの、すぐに余裕たっぷりの笑顔を浮かべて腕を組んだ。
己の強さに余程自信があるのだろう。
「僕を? 倒す? はははは! …えっと、ラフテル、だっけ? 君は僕を知らないのかい?」
人を小馬鹿にしたように明るく笑って見せる。
だがあの変態野郎とは違って、実に爽やかだ。
ジェクトの息子、あの少年を思い起こさせる。
…この外見は似てもにつかないが…。
今私の目の前にいるこの若者は、私と戦うということをよく理解していないのだろう。
これまで毎日のように戦ってきた相手は、どれもヒトとはかけ離れた姿をした怪物。
しかも見た目は彼よりも小さい女の姿をした、人間。
この闘技場、もしかしたらこの世界にとって、この若者は偉大な功績をあげている人物なのかもしれない。
だからこそ、ここに集まったたくさんの観客達は彼にこれほどまでに大きな声援を送るのだろう。
私の姿を見て、私の言葉を聞いて、大きな力を持った偉大な若者には、私がやろうとしてることが冗談にでも見えるのだろう。
「その言葉、そっくりそのまま返すよ」
「…? どういう意味だい?」
「ここで倒されるあんたにわざわざ教えるつもりはないよ」
腕を組んだ偉ぶった姿勢のまま、彼は困惑を浮かべる。
そんな彼の姿がえらく眩しく思えて、凝視することができない。
思わず視線を僅かに下げて逸らせてしまった。
このまま隙を作るわけにはいかない。
すぐに半身を引いて少し体勢を低くする。
開いた足の中心にバランスよく立つ木になったつもりで、静かに深い呼吸を一つ。
後ろ腰に回した右手はいつでも抜けるように小太刀の柄に触れるか触れないかの位置に留める。
見せつけるように、彼に向かって殺気を立ち上らせた。
「!! キ、キミは一体何者なんだ!? 闇を、纏うのか!」
組んでいた腕を下ろして、私の様子に驚いたのかかなり動揺を浮かべているように見えた。
そこに生まれた、彼の大きな隙。
こんなチャンスを逃す手はない。
重心を僅かに下に落として両足に力を込める。
後ろ腰に回した片手に柄の感触を確かめてから、その柄をしっかりと握る。
飛び出した勢いのままに、小太刀を握った右手を素早く彼の首もとに持っていく。
一撃目はただの牽制。
この一撃で彼がどう動くのかを確かめる。
隙だらけの姿勢で立ってるだけかと思ったが、そこはやはり観衆の声援を受ける身だけのことはあるのだろう。
その大きな身体からは少々無理がありそうな動きで、私の一振りをかわして見せた。
体勢が崩れたところを見計らって、その足元を掬うように地面すれすれに回し蹴りを喰らわす。
彼は崩れた体制をものともせずにきれいにバック転を決めて見せた。
地に伏すような体制のままの私は、すぐさま次の斬撃に移る。
「『ヘイスト』」
自分の胸に片手を当てて、素早さを上げたのは、彼がその腰に刺していた剣を抜いたから。
こういう大振りな剣を扱う者は、その力は強いが、攻撃するときは大振りになってしまう為隙が生まれ易い。
素早く相手との距離を詰めてピンポイントで攻撃できる小太刀を扱う私は、その隙を的確に狙っていく必要がある。
彼は私が思っていたよりもずっと素早さにおいても能力は高いようだ。
私の攻撃はことごとくその剣で防がれる。
思っていたよりもかなりすばしっこいのだ。
間合いを詰めて攻撃するのは、武器の大きさということもあるが、敵の隙を見つけやすいということでもある。
剣撃を休めることなくあらゆる方向から向けてみる。
一体どんな訓練をしてきたのか、全てに反応する動きはベベルでの戦闘訓練では身につけることはできないものだ。
…楽しい
そんなことを感じる自分がいる。
自分の攻撃は悉く防がれてダメージを与えているとは思えない。
それなのに、酷く気分が高揚しているのを感じる。
この若者との戦いが楽しくて仕方がない。
思わず口元が緩んでくる。
素早い動きで相手の動きを制しつつ、私の攻撃を避ける為に体勢を崩した瞬間、奴のいる位置に掌を翳した。
その手に魔力を集中していく。
若者の困惑したままの表情が歪んだのを目にしたとき、微かな笑みが零れた。
起き上がろうとするこいつ目掛けて、私は魔法を放った。
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24,jun,2015