第12章【全ての物語の結末】
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飛空挺から降りたところで、ラフテルさんが待っていてくれました。
飛び付きたい衝動を必死に抑え、リュックとパインと3人でタラップを駆け降りました。
「ユウナ、久し振り……と言うのはおかしいか。 私が、いるんだもんな」
「…ラフテル、さん? ホントに、ラフテルさん? …え、じゃ、ここにいるラフテルさんは…?」
「詳しい話は後。 取り敢えず急いで担架を! アーロンが危ないんだ」
「アーロンさんが!?」
リュックが慌ててアニキさん達を呼びに戻り、私とパインはラフテルさんについて走り出しました。
その先に、見知らぬ男の人とその傍らに横たわったアーロンさん。
ラフテルさんはすぐにアーロンさんの側に膝を下ろし、声を掛けました。
「アーロン! しっかりして!!」
ラフテルさんの手はすぐに真っ赤に染まり、血色のないアーロンさんが危ない状態であることを理解しました。
アーロンさんにすがるように名を呼び、回復魔法をかけ続けるラフテルさんに、何と声をかけたらいいのか、わかりません。
飛空挺のほうから、リュックも走り寄ってきました。
アニキさんとダチさんも、担架を手にして来てくれました。
すぐに2人の手によって運ばれていくアーロンさんを見送って、ラフテルさんが悲しそうな顔で私達のほうを振り返りました。
「ユウナ、パイン、悪いんだけど、そいつを船にいるもう1人の私の所に案内してやってくれないか? 私もすぐ行くから」
私の返事を聞くか聞かないかの内に、ラフテルさんも担架の後を追って走り出しました。
ラフテルさんが言っていた“そいつ”が、この人。
黒いコートの、片目の男。
この人が何者でラフテルさん達とどんな関係なのかとか、眠ってるラフテルさんに会ってどうするつもりなのかとか、聞きたいこと知りたいこと、疑問は尽きません。
それはラフテルさんに対しても同じですが、今は我慢します。
私達の顔を見てニヤニヤと笑みを浮かべているこの人からは、なんと言うか、悪寒が走る感覚がしていました。この感じ、前もどこかで…。
「もしかして、さっきの仔猫ちゃん達かな?」
「えっ!?」
「はっ!?」
「さっき、あの船の上で俺達を覗き見してたろってハナシ」
「あっ、さっきアーロンさんと話してた人、ですか?」
「ユウナ、気を付けろ、この男、異界の奥にいた召喚獣と同じ臭いがする」
一歩後退してパインが小声で言いました。
そう言われてみれば確かに。
私も思わず足を引いてしまいました。
案内して、と言われましたが、果たしてこの人をあの眠ってるラフテルさんに近付けていいのか不安を覚えました。
もしかして、アーロンさんをあんな風にしたのも、この人!?
「お、警戒してるねえ。 こっちまでビンビン伝わってくる。 別に仔猫ちゃん達をどうこうするつもりはない。
…あいつは、助からないだろうけどな。 血を、流しすぎてる。 俺は任務でここに来てるだけだから、終われば帰る。 OK?」
なんと言うか、すごく、胡散臭いです。
本当にこの人をあのラフテルさんに会わせてしまっていいのか、戸惑っています。
この人が言う任務が何なのかは知りませんが、帰ると言われても、私達に危害を加えるつもりはないと言われても、信じられません。
「あなたは誰? ラフテル さんとどういう関係なの? アーロンさんをあんな風にしたのは、あなたなの?」
「やれやれ、質問責めだな。 聞きたいことがあるならまず俺の質問に答えてもらおうか」
「…え」
「ユウナ、のせられるな」
「そうだな、まず仔猫ちゃん達の名前は? 彼氏とかいる? 好みのタイプは?」
「ふざけないで!!」
思わず両手に自分の武器である銃を握って、その男に向けて構えました。
同じタイミングでパインも剣を手にしたのがわかりました。
でも次の瞬間…。
“ゴッ”
鈍い音と共に頭に固いものを当てられて、はっとしました。
たった今まで目の前にいたはずの男の姿はなくて、黒い煙みたいなものが空気に溶けていくところです。
「ふざけてんのはどっちだ。 仔猫ちゃんの戦いごっこに付き合ってる暇はないんでね。 彼女の居場所はわかってる。 邪魔をするな」
「……っ!!」
体が、金縛りにあったみたいに動きませんでした。
男はまた音もなく消えてしまい、糸を切られた操り人形のようにどさりと身を落としました。
低い、地の底から響くような言葉は、鋭い殺気となって私とパインに突き刺さりました。
心臓がバクバクと音をたてて、急に汗が噴き出してきました。
一言で言うなら、『恐怖』。
本当に、恐ろしいと思いました。
一瞬にして腰が抜けてしまった私と違って、パインはしっかり自分の足で立っています。
「大丈夫か?」
そう言って手を差し伸べてくれたパインの額にも、汗が浮かんでいました。
これほどの恐怖を一瞬で与える人間なんて、そうはいないでしょう。
パインに手を貸して貰ってなんとか立ち上がりましたが、まだ足が微かに震えていました。
「…パイン?」
「…自分が、情けないな。 …まだ、足が震えてる」
「うん、…私も」
これではっきりしました。
アーロンさんは、あの人と戦った。
そして…。
アーロンさんが戦う理由なんて、1つしかない。
ラフテルさんを探しに行って、そしてラフテルさんがそこにいた。
あの人が言ってた任務ってもしかして…!
「パイン、急いで戻ろう。 ラフテルさんが危ない!」
「そのようだな。 …ユウナ、伝説のガード、アーロンは亡くなったって聞いたぞ。 だけど、さっきの彼は明らかに…」
パインの言いたいことはよくわかる。
私も同じことを思ったから。
あの血塗れの瀕死のアーロンさんは、どう見ても死人じゃない。
回復魔法をかけ続けて、必死に名を呼んでいたラフテルさんの姿からも、生身の人間としか思えませんでした。
「後でラフテルさんに全部ちゃんと説明して貰おう。 今はラフテルさんを助けるのが先!」
→
10,oct,2015
飛空挺から降りたところで、ラフテルさんが待っていてくれました。
飛び付きたい衝動を必死に抑え、リュックとパインと3人でタラップを駆け降りました。
「ユウナ、久し振り……と言うのはおかしいか。 私が、いるんだもんな」
「…ラフテル、さん? ホントに、ラフテルさん? …え、じゃ、ここにいるラフテルさんは…?」
「詳しい話は後。 取り敢えず急いで担架を! アーロンが危ないんだ」
「アーロンさんが!?」
リュックが慌ててアニキさん達を呼びに戻り、私とパインはラフテルさんについて走り出しました。
その先に、見知らぬ男の人とその傍らに横たわったアーロンさん。
ラフテルさんはすぐにアーロンさんの側に膝を下ろし、声を掛けました。
「アーロン! しっかりして!!」
ラフテルさんの手はすぐに真っ赤に染まり、血色のないアーロンさんが危ない状態であることを理解しました。
アーロンさんにすがるように名を呼び、回復魔法をかけ続けるラフテルさんに、何と声をかけたらいいのか、わかりません。
飛空挺のほうから、リュックも走り寄ってきました。
アニキさんとダチさんも、担架を手にして来てくれました。
すぐに2人の手によって運ばれていくアーロンさんを見送って、ラフテルさんが悲しそうな顔で私達のほうを振り返りました。
「ユウナ、パイン、悪いんだけど、そいつを船にいるもう1人の私の所に案内してやってくれないか? 私もすぐ行くから」
私の返事を聞くか聞かないかの内に、ラフテルさんも担架の後を追って走り出しました。
ラフテルさんが言っていた“そいつ”が、この人。
黒いコートの、片目の男。
この人が何者でラフテルさん達とどんな関係なのかとか、眠ってるラフテルさんに会ってどうするつもりなのかとか、聞きたいこと知りたいこと、疑問は尽きません。
それはラフテルさんに対しても同じですが、今は我慢します。
私達の顔を見てニヤニヤと笑みを浮かべているこの人からは、なんと言うか、悪寒が走る感覚がしていました。この感じ、前もどこかで…。
「もしかして、さっきの仔猫ちゃん達かな?」
「えっ!?」
「はっ!?」
「さっき、あの船の上で俺達を覗き見してたろってハナシ」
「あっ、さっきアーロンさんと話してた人、ですか?」
「ユウナ、気を付けろ、この男、異界の奥にいた召喚獣と同じ臭いがする」
一歩後退してパインが小声で言いました。
そう言われてみれば確かに。
私も思わず足を引いてしまいました。
案内して、と言われましたが、果たしてこの人をあの眠ってるラフテルさんに近付けていいのか不安を覚えました。
もしかして、アーロンさんをあんな風にしたのも、この人!?
「お、警戒してるねえ。 こっちまでビンビン伝わってくる。 別に仔猫ちゃん達をどうこうするつもりはない。
…あいつは、助からないだろうけどな。 血を、流しすぎてる。 俺は任務でここに来てるだけだから、終われば帰る。 OK?」
なんと言うか、すごく、胡散臭いです。
本当にこの人をあのラフテルさんに会わせてしまっていいのか、戸惑っています。
この人が言う任務が何なのかは知りませんが、帰ると言われても、私達に危害を加えるつもりはないと言われても、信じられません。
「あなたは誰? ラフテル さんとどういう関係なの? アーロンさんをあんな風にしたのは、あなたなの?」
「やれやれ、質問責めだな。 聞きたいことがあるならまず俺の質問に答えてもらおうか」
「…え」
「ユウナ、のせられるな」
「そうだな、まず仔猫ちゃん達の名前は? 彼氏とかいる? 好みのタイプは?」
「ふざけないで!!」
思わず両手に自分の武器である銃を握って、その男に向けて構えました。
同じタイミングでパインも剣を手にしたのがわかりました。
でも次の瞬間…。
“ゴッ”
鈍い音と共に頭に固いものを当てられて、はっとしました。
たった今まで目の前にいたはずの男の姿はなくて、黒い煙みたいなものが空気に溶けていくところです。
「ふざけてんのはどっちだ。 仔猫ちゃんの戦いごっこに付き合ってる暇はないんでね。 彼女の居場所はわかってる。 邪魔をするな」
「……っ!!」
体が、金縛りにあったみたいに動きませんでした。
男はまた音もなく消えてしまい、糸を切られた操り人形のようにどさりと身を落としました。
低い、地の底から響くような言葉は、鋭い殺気となって私とパインに突き刺さりました。
心臓がバクバクと音をたてて、急に汗が噴き出してきました。
一言で言うなら、『恐怖』。
本当に、恐ろしいと思いました。
一瞬にして腰が抜けてしまった私と違って、パインはしっかり自分の足で立っています。
「大丈夫か?」
そう言って手を差し伸べてくれたパインの額にも、汗が浮かんでいました。
これほどの恐怖を一瞬で与える人間なんて、そうはいないでしょう。
パインに手を貸して貰ってなんとか立ち上がりましたが、まだ足が微かに震えていました。
「…パイン?」
「…自分が、情けないな。 …まだ、足が震えてる」
「うん、…私も」
これではっきりしました。
アーロンさんは、あの人と戦った。
そして…。
アーロンさんが戦う理由なんて、1つしかない。
ラフテルさんを探しに行って、そしてラフテルさんがそこにいた。
あの人が言ってた任務ってもしかして…!
「パイン、急いで戻ろう。 ラフテルさんが危ない!」
「そのようだな。 …ユウナ、伝説のガード、アーロンは亡くなったって聞いたぞ。 だけど、さっきの彼は明らかに…」
パインの言いたいことはよくわかる。
私も同じことを思ったから。
あの血塗れの瀕死のアーロンさんは、どう見ても死人じゃない。
回復魔法をかけ続けて、必死に名を呼んでいたラフテルさんの姿からも、生身の人間としか思えませんでした。
「後でラフテルさんに全部ちゃんと説明して貰おう。 今はラフテルさんを助けるのが先!」
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10,oct,2015