第12章【全ての物語の結末】
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医務室の扉を開ける。
誰も入れるなって言われたけど、私達が大人しく言うことを聞くわけない。
私達の考えは3人とも同じです。
3人で顔を見合わせて、1つ頷いてから扉をそっと開きました。
中は相変わらず異界のようで、ブラインドの下ろされた薄暗い中を幻光虫が虹色の光を放ちながらフワリと漂っていました。
リュックはパインの背にしがみついて、小さなその光が近付く度に慌てて手で振り払ってて。
そんなに嫌なら部屋の外で待ってればいいのに。
静かに寝台に近付いて、あることに気が付きました。
「…なんか、透けてないか?」
私と同じことを感じたパインが呟くと、後ろに隠れていたリュックが顔を出しました。
私は窓に近付いてブラインドを少しだけ開くと、薄暗かった部屋が少し明るくなって、みんなの顔がはっきり見えます。
…でも、ラフテルさんの顔は、本当にうっすら透けているようでした。
「なんとかならないのか、ユウナ、召喚士だろ?」
「“元”召喚士! そりゃ、私だって何とかしたい。でも、召喚士は、送ることしかできないんだ。だから……。」
「…そうか」
「ごめん」
「謝る相手が違うだろ。 …何か、考えよう」
「とりあえず、おっちゃんのトコ連れてかない? また探して来てもらうより、こっちから行ったほうが早いって!」
「リュック、それいい考えだね! …でも、どこにいるか、わかるの?」
「ただ闇雲に探し回っても、もしすれ違いになったら困るだろ?」
「ふふふん、あたしを誰だと思ってんの? …ジャ~ン!」
「え、それって通信スフィア? リュックいつの間に…」
「さっきおっちゃんと会った時に渡しておいたんだ。 まさかこんなに早く使うことになるとは思わなかったけどね」
「…お見逸れしました」
ちゃっかり手を打ってたリュックはすごい!って思ったんですが、こちらからいくら呼び掛けても応答はありません。
結局アーロンさんはどこにいるか、わからないみたいです。
「使い方、知らないのかな?」
「リュック、本当に渡したのか?」
「渡したよ! ちゃんと! …でも、おっちゃんが使い方知ってるかは聞いてないからわかんない」
「えっ、そうなの!?」
「…とっくに捨てられてたりして」
「「!! ……あり得る」」
パインの呟きに、リュックと同時に答えたその時、リュックが持っていた通信スフィアが反応しました。
慌ててアーロンさんの名前を呼ぶと…。
『…なんだ』
「アーロンさん! よかった、通じた」
「おっちゃん今どこにいんの!? 大変なんだってば!」
『 …、 ………、 ………』
アーロンさんからの返答は返ってきません。
でも、向こうの音は聞こえています。
苦しそうな息遣いや掛け声、それに、武器がぶつかり合う高い金属音や銃声も聞こえました。
「…もしかして、誰かと戦ってる?」
「さっき甲板で話してた奴じゃないか?」
私もパインと同じ考えです。
再び何度か名を呼んでみましたが、言葉が返ってくることはありませんでした。
突然、何かを思い付いたようにリュックが声を強めて言いました。
「おっちゃん、聞こえてるかわかんないけど、このままスイッチ切らないでいて! いい!? 絶対だからね!」
「リュック…?」
「ユウナ、パイン、…ラフテルのこと、頼んでもいいかな? あたし、シンラにこれ調べてもらうからさ」
「…なるほど」
「でも、それでわかるの?」
「それはあたしにもわかんないけど、何もしないよりは手掛かりになるかもしんないよ」
急いで医務室を出たリュックを見送って、私は寝台の上で静かに眠っているラフテルさんの顔を見つめました。
頼むなんて言われても、今の私にはどうすることもできません。
ただ、静かに祈りました。
またいつものラフテルさんに会いたい、と。
→
6,oct,2015
医務室の扉を開ける。
誰も入れるなって言われたけど、私達が大人しく言うことを聞くわけない。
私達の考えは3人とも同じです。
3人で顔を見合わせて、1つ頷いてから扉をそっと開きました。
中は相変わらず異界のようで、ブラインドの下ろされた薄暗い中を幻光虫が虹色の光を放ちながらフワリと漂っていました。
リュックはパインの背にしがみついて、小さなその光が近付く度に慌てて手で振り払ってて。
そんなに嫌なら部屋の外で待ってればいいのに。
静かに寝台に近付いて、あることに気が付きました。
「…なんか、透けてないか?」
私と同じことを感じたパインが呟くと、後ろに隠れていたリュックが顔を出しました。
私は窓に近付いてブラインドを少しだけ開くと、薄暗かった部屋が少し明るくなって、みんなの顔がはっきり見えます。
…でも、ラフテルさんの顔は、本当にうっすら透けているようでした。
「なんとかならないのか、ユウナ、召喚士だろ?」
「“元”召喚士! そりゃ、私だって何とかしたい。でも、召喚士は、送ることしかできないんだ。だから……。」
「…そうか」
「ごめん」
「謝る相手が違うだろ。 …何か、考えよう」
「とりあえず、おっちゃんのトコ連れてかない? また探して来てもらうより、こっちから行ったほうが早いって!」
「リュック、それいい考えだね! …でも、どこにいるか、わかるの?」
「ただ闇雲に探し回っても、もしすれ違いになったら困るだろ?」
「ふふふん、あたしを誰だと思ってんの? …ジャ~ン!」
「え、それって通信スフィア? リュックいつの間に…」
「さっきおっちゃんと会った時に渡しておいたんだ。 まさかこんなに早く使うことになるとは思わなかったけどね」
「…お見逸れしました」
ちゃっかり手を打ってたリュックはすごい!って思ったんですが、こちらからいくら呼び掛けても応答はありません。
結局アーロンさんはどこにいるか、わからないみたいです。
「使い方、知らないのかな?」
「リュック、本当に渡したのか?」
「渡したよ! ちゃんと! …でも、おっちゃんが使い方知ってるかは聞いてないからわかんない」
「えっ、そうなの!?」
「…とっくに捨てられてたりして」
「「!! ……あり得る」」
パインの呟きに、リュックと同時に答えたその時、リュックが持っていた通信スフィアが反応しました。
慌ててアーロンさんの名前を呼ぶと…。
『…なんだ』
「アーロンさん! よかった、通じた」
「おっちゃん今どこにいんの!? 大変なんだってば!」
『 …、 ………、 ………』
アーロンさんからの返答は返ってきません。
でも、向こうの音は聞こえています。
苦しそうな息遣いや掛け声、それに、武器がぶつかり合う高い金属音や銃声も聞こえました。
「…もしかして、誰かと戦ってる?」
「さっき甲板で話してた奴じゃないか?」
私もパインと同じ考えです。
再び何度か名を呼んでみましたが、言葉が返ってくることはありませんでした。
突然、何かを思い付いたようにリュックが声を強めて言いました。
「おっちゃん、聞こえてるかわかんないけど、このままスイッチ切らないでいて! いい!? 絶対だからね!」
「リュック…?」
「ユウナ、パイン、…ラフテルのこと、頼んでもいいかな? あたし、シンラにこれ調べてもらうからさ」
「…なるほど」
「でも、それでわかるの?」
「それはあたしにもわかんないけど、何もしないよりは手掛かりになるかもしんないよ」
急いで医務室を出たリュックを見送って、私は寝台の上で静かに眠っているラフテルさんの顔を見つめました。
頼むなんて言われても、今の私にはどうすることもできません。
ただ、静かに祈りました。
またいつものラフテルさんに会いたい、と。
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6,oct,2015