最終章【ジェクト~終結】
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ただいま
=99=
真っ白な世界。
また、ここ。
音も無く、誰の気配も無い。
何かを思い出した。
何を思い出した?
酷い寒さと恐怖と熱と痛みと、赤。
…嫌なものを思い出した。
もう、忘れたいと願っていた。いや、忘れていたはずだったのに…
なぜ、今になって…?
アーロンと2人きりで、狭い洞窟とも呼べないような小さな岩の隙間で、冷たい風を忘れるように、我を忘れたあの日。
きっと覚えていないだろう。覚えていて欲しくない。
私の言葉遣いが変わった日。
でももう、遠い過去のこと。
今更それを取り戻せるわけも無いし、振り返っても悲しいだけ。
それは私の記憶の一部として私の中にだけ在ればいい。
「………」
「……?」
名を呼ばれた気がした。
私は、眠っている?
これは、夢…?
「ラフテル」
「!」
目を開いて目に飛び込んできたものを確認する。
星がいっぱいの暗い空。
覗き込む3人の人影。
「うわあっ!」
思わずおかしな声が上がる。
「…失礼な」
「あっはっはっはっは!元気そうじゃねーか!」
「…全く」
懐かしい、この感覚。
頭の回転が追いつかない。胸が高鳴るのに、悲しくて嬉しくて、目が熱くなる。
「…ブラスカ…?」
「久しぶりだね、ラフテル」
「ブラスカ!」
「おっと!」
「!!」
触れる!本当に、ブラスカがここにいる!
嬉しさの余りに飛びついてしまった。あの旅の最中にだってこんなこと、ジェクトにしか…
「ジェクト!」
「おっ、おお」
続けざまにジェクトにも抱きついた。
懐かしい、太陽の匂い。
「…おい!」
後ろから怒気を孕んだ空気が流れてくるが、お構いなしだ。
「ジェクト、話したいこと、いっぱいあるよ」
「そうか、よし!話そうぜ。 ………あんだよ、アーロン、…はは~ん……」
「……!」
ジェクトがまだ座り込んでいた私を抱き締めたまま立ち上がる。
私の腰に腕を回して、ぎゅっと抱き締めた。アーロンから私を遠ざけるように横を向く。
私はばっちりアーロンと目が合ってしまった。
「…ジェ、ジェクト…降ろして…」
「冗談じゃねえ! やっとこうして可愛い娘を抱けるんだ。そう簡単に他の男にやれるか!」
「おいおいジェクト、いつの間に君は父親になったんだい?」
「ふざけるな!」
ああ、この感じ。
懐かしい、この空気。
10年前は別に何も感じなかった、日常の何気ないこんな雰囲気。
ずっと待ち焦がれていた温かい、家族。
「……っ……う……」
「!?」
「…ラフテル?どうしたんだい?」
ジェクトの首に縋りついたまま、私はその肩に顔を落とす。
「…あー、ラフテル? おい…。 ……アーロン、ほらよ」
「お、おい!」
まるでボールか何かを手渡すようにポイとアーロンの腕の中に放り込まれた。
頬を流れる涙を見られるのがなんとなく恥ずかしくて、アーロンの紅い服を握り締めて、顔を埋めた。
「……凄いな、ユウナは…」
「あぁ、流石ユウナちゃんだ。それに、俺様のガキもな」
「はははは」
「?」
ブラスカとジェクトの言葉に、濡れたままの顔を空へと向ける。
そこには信じられないほどの、幻光虫。
空一杯ににじ色の光を放って、眩しいくらいだ。
その光の中に浮かぶ、見覚えのある船。
空を飛ぶ、船。
その甲板の上で、ユウナが踊っていた。
→
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真っ白な世界。
また、ここ。
音も無く、誰の気配も無い。
何かを思い出した。
何を思い出した?
酷い寒さと恐怖と熱と痛みと、赤。
…嫌なものを思い出した。
もう、忘れたいと願っていた。いや、忘れていたはずだったのに…
なぜ、今になって…?
アーロンと2人きりで、狭い洞窟とも呼べないような小さな岩の隙間で、冷たい風を忘れるように、我を忘れたあの日。
きっと覚えていないだろう。覚えていて欲しくない。
私の言葉遣いが変わった日。
でももう、遠い過去のこと。
今更それを取り戻せるわけも無いし、振り返っても悲しいだけ。
それは私の記憶の一部として私の中にだけ在ればいい。
「………」
「……?」
名を呼ばれた気がした。
私は、眠っている?
これは、夢…?
「ラフテル」
「!」
目を開いて目に飛び込んできたものを確認する。
星がいっぱいの暗い空。
覗き込む3人の人影。
「うわあっ!」
思わずおかしな声が上がる。
「…失礼な」
「あっはっはっはっは!元気そうじゃねーか!」
「…全く」
懐かしい、この感覚。
頭の回転が追いつかない。胸が高鳴るのに、悲しくて嬉しくて、目が熱くなる。
「…ブラスカ…?」
「久しぶりだね、ラフテル」
「ブラスカ!」
「おっと!」
「!!」
触れる!本当に、ブラスカがここにいる!
嬉しさの余りに飛びついてしまった。あの旅の最中にだってこんなこと、ジェクトにしか…
「ジェクト!」
「おっ、おお」
続けざまにジェクトにも抱きついた。
懐かしい、太陽の匂い。
「…おい!」
後ろから怒気を孕んだ空気が流れてくるが、お構いなしだ。
「ジェクト、話したいこと、いっぱいあるよ」
「そうか、よし!話そうぜ。 ………あんだよ、アーロン、…はは~ん……」
「……!」
ジェクトがまだ座り込んでいた私を抱き締めたまま立ち上がる。
私の腰に腕を回して、ぎゅっと抱き締めた。アーロンから私を遠ざけるように横を向く。
私はばっちりアーロンと目が合ってしまった。
「…ジェ、ジェクト…降ろして…」
「冗談じゃねえ! やっとこうして可愛い娘を抱けるんだ。そう簡単に他の男にやれるか!」
「おいおいジェクト、いつの間に君は父親になったんだい?」
「ふざけるな!」
ああ、この感じ。
懐かしい、この空気。
10年前は別に何も感じなかった、日常の何気ないこんな雰囲気。
ずっと待ち焦がれていた温かい、家族。
「……っ……う……」
「!?」
「…ラフテル?どうしたんだい?」
ジェクトの首に縋りついたまま、私はその肩に顔を落とす。
「…あー、ラフテル? おい…。 ……アーロン、ほらよ」
「お、おい!」
まるでボールか何かを手渡すようにポイとアーロンの腕の中に放り込まれた。
頬を流れる涙を見られるのがなんとなく恥ずかしくて、アーロンの紅い服を握り締めて、顔を埋めた。
「……凄いな、ユウナは…」
「あぁ、流石ユウナちゃんだ。それに、俺様のガキもな」
「はははは」
「?」
ブラスカとジェクトの言葉に、濡れたままの顔を空へと向ける。
そこには信じられないほどの、幻光虫。
空一杯ににじ色の光を放って、眩しいくらいだ。
その光の中に浮かぶ、見覚えのある船。
空を飛ぶ、船。
その甲板の上で、ユウナが踊っていた。
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