第8章【ザナルカンド~バージ=エボン寺院】
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新しい知識と友
=75=
「ヨエオホフラオキアサ、トキネセ、ルガラミ…」
「ハアハアミミギャハミア、ホオヒョフキガ!」
「ワニダソ」
「ワンサ、トドネウオマタミアナ、トキネウオダナルベサヌアウゲ」
「ロアシコガエアシトキネサヨソワウオ?」
「ワヮ、ツアキ、シドセミヒョフオミコフソオガンハシ、ヌヨキガテハ」
「…ふ~ん…」
「なんだ、もう覚えたのか」
「アーロン、…まだまだ完璧じゃないけどね、簡単な会話ならなんとか。でもみんな凄い早口だからついていけなくて」
「それだけ理解できればいいんじゃないか」
「まぁ、普段はあまり使わないからな。 …あ、えーと、トキネセルエセ、ワニダソ」
初めて乗ったこの飛空挺とかいう空飛ぶ船は、当然だがアルベドの人間が多く乗っている。
色々と分からないことばかりで、乗組員に質問したいのは山々だがなにせ、使う言語の違うアルベド族。
言葉をまず覚えたほうが早いと思ったのだ。
リュックに頼んでも良かったのだが、まだ何か考え中のようだ。
なので、少し私たちの言葉がわかるという青年を捕まえて、わざわざ翻訳用の一覧表を作ってもらい、教えて貰っていたのだ。
ついでに聞いたのだが、この飛空挺の操縦をしている、トサカみたいな頭をしたのがリュックの兄でアニキと呼ばれているらしい。そのままだ。
で、私に言葉を教えてくれたのが、アニキの友人で、ダチという名前だそうだ。操縦の補助をしているらしい。この人の名前もそのままだ。
その内、自分の父です。名前はチチ、こちらは母です。名前はハハ、とか出てきそうだと本気で考えてしまった。
一覧表を手にしながら、1人で飛空挺の散策をしていると、通路の奥のほうから見た顔が近付いてきた。
「おや、ラフテルさん、お久しぶりです」
「あれ、リンじゃないか、久しぶり。何でこんなところにいるんだ?」
「ええ、ナギ平原の公司にいたんですが、これで移動したほうが早そうなので、便乗させて頂きました」
「そっか。どうだ?商売のほうは?」
「ええ、お陰様で。このナギ平原にも、近いうちにきちんとした公司を建てられそうですよ」
「そりゃよかった」
「…ところで、それは? …おお、アルベド語を勉強されているんですか。ゲリソコチカレセミサガチサミベヌメ、ダンザッセルガラミメ」
「えっと…、ニョフアミ」
そういえば、リンもアルベドだったんだよな、などと今更思い出してしまう。
1人で旅をしている間もさんざん世話になったくせに、いつの間にか普通の言葉で話すのが当たり前になってしまって、アルベドだということを忘れてしまっていた。
上に立てば自動的に開く扉や動く床、こういうものはベベルにもある。
だが、この船の中には私の知らない技術が山とある。いや、この船そのものが技術の塊なのだ。
昼間のように照らす明かりや何度も繰り返して聞ける音や遠く離れた人間と会話ができたり、複雑な計算をあっという間にやってしまったり瞬時に料理ができたり、とにかく不思議なことだらけだ。
この船は古の技術を使っていると言っていたはずだが、その古とは一体どんな文化を持っていたのだろうか?
1000年前の人間は、このような機械を使っていたから、罰を受けた。それがエボンの教えだ。
シンが現われて、何もかも破壊して滅ぼしてしまった、と。
もしかして、シンという機械なんじゃないかなんてバカなことまで考えてしまう。
そんな便利な時代の、裕福な世界からいきなりこんな世界に来てしまったジェクトとティーダの苦労は計り知れないことだろう。
そんなことを考えながら、上甲板付近の展望スペースにやってきた。
艦橋にいるかと思ってたユウナとキマリが、大きな窓から外を眺めていた。
「ユウナ」
「あ、ラフテルさん!」
声を掛けると嬉しそうにこちらに駆け寄ってくる。
うん、ワッカとルールーが可愛がるはずだ。
「なに、見てるんだ?」
「あ、うん、別に何かってわけじゃなくて…」
「考えてた…?」
「……はい」
「そっか、ごめん、邪魔しちゃったかな」
「ううん、そうじゃないんです。」
「?」
「ラフテルさん、昨夜言ってました。あの後、ベベルに戻って全てを報告した、って…。
私、ラフテルさんが父さん達と旅をしたことは知ってるのに、父さんやジェクトさんが頑張って旅をしたことや、シンを倒したこと、話を聞いてたから知ってたのに、ラフテルさんのこと、本当は何も知らないことばかりで、ただ、父さんのガードをしてたってことしか…」
「あれ、その話、何度目だ? 私のことはいいって、前から…」
「私が知りたいんです!」
「……ユウナ」
「もう、究極召喚はありません。究極召喚を求めて旅をすることもありません。
私は、…私は、召喚士としてではなく、私、ユウナとしてラフテルさんのこと、もっと知りたい。
召喚士とガードではなく、…と、ともだち、として…」
純粋で綺麗な心を持った少女。私もこんなだったら、もっと素敵な人生を送れていたのかもしれないな。
大きな瞳で見上げてくるユウナの真剣な眼差しが眩しかった。
ともだち、なんて、そんな響きは初めてで、私には勿体無くて、少しくすぐったい。
「…ありがとう、ユウナ」
「え…」
「凄く、嬉しい。…でも」
「………」
「今はまず、シンを何とかしよう。それから、ゆっくり、たくさん話をすればいい」
「!! はい!」
ユウナの顔が一気に明るくなる。
ブラスカの優しい微笑とはまた違った、でもどこか面影を残す柔らかな笑顔。
あぁ、ブラスカ、聞いて欲しい。
ブラスカの魂を感じたくて、この力を手に入れたけど、こんな力がなかったとしてもブラスカの魂を感じることはいつでもできてたんだ。
今、目の前であの時と同じ笑顔で微笑むユウナの中で、ブラスカは確かに生きているんだな。
私はいつでもユウナを見守ってきたと思っていたのに、それは思っていただけで、本当は私達がユウナの中のブラスカに見守られていたんだ。
ありがとう、ブラスカ。
ブラスカも、アルベド語、勉強したんだよな。
私も、少しは理解できるように頑張るよ。
もうすぐ、私もそっちに行く。それまでもう少し、もう少しだけ、ユウナやみんなを見守って欲しい……
→
※アルベド語部分
「これの操作の仕方教えて下さい」
「中々いいじゃないか、その調子だ!」
「ありがと」
「あんた覚えるの早いから、教えるのが楽で助かるぜ」
「他にも誰かに教えたことあるの?」
「あぁ、昔シド艇長の妹の旦那に少しだけな」
「ぜひとも極めて頂きたいですね、頑張って下さいね」
「了解」
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「ヨエオホフラオキアサ、トキネセ、ルガラミ…」
「ハアハアミミギャハミア、ホオヒョフキガ!」
「ワニダソ」
「ワンサ、トドネウオマタミアナ、トキネウオダナルベサヌアウゲ」
「ロアシコガエアシトキネサヨソワウオ?」
「ワヮ、ツアキ、シドセミヒョフオミコフソオガンハシ、ヌヨキガテハ」
「…ふ~ん…」
「なんだ、もう覚えたのか」
「アーロン、…まだまだ完璧じゃないけどね、簡単な会話ならなんとか。でもみんな凄い早口だからついていけなくて」
「それだけ理解できればいいんじゃないか」
「まぁ、普段はあまり使わないからな。 …あ、えーと、トキネセルエセ、ワニダソ」
初めて乗ったこの飛空挺とかいう空飛ぶ船は、当然だがアルベドの人間が多く乗っている。
色々と分からないことばかりで、乗組員に質問したいのは山々だがなにせ、使う言語の違うアルベド族。
言葉をまず覚えたほうが早いと思ったのだ。
リュックに頼んでも良かったのだが、まだ何か考え中のようだ。
なので、少し私たちの言葉がわかるという青年を捕まえて、わざわざ翻訳用の一覧表を作ってもらい、教えて貰っていたのだ。
ついでに聞いたのだが、この飛空挺の操縦をしている、トサカみたいな頭をしたのがリュックの兄でアニキと呼ばれているらしい。そのままだ。
で、私に言葉を教えてくれたのが、アニキの友人で、ダチという名前だそうだ。操縦の補助をしているらしい。この人の名前もそのままだ。
その内、自分の父です。名前はチチ、こちらは母です。名前はハハ、とか出てきそうだと本気で考えてしまった。
一覧表を手にしながら、1人で飛空挺の散策をしていると、通路の奥のほうから見た顔が近付いてきた。
「おや、ラフテルさん、お久しぶりです」
「あれ、リンじゃないか、久しぶり。何でこんなところにいるんだ?」
「ええ、ナギ平原の公司にいたんですが、これで移動したほうが早そうなので、便乗させて頂きました」
「そっか。どうだ?商売のほうは?」
「ええ、お陰様で。このナギ平原にも、近いうちにきちんとした公司を建てられそうですよ」
「そりゃよかった」
「…ところで、それは? …おお、アルベド語を勉強されているんですか。ゲリソコチカレセミサガチサミベヌメ、ダンザッセルガラミメ」
「えっと…、ニョフアミ」
そういえば、リンもアルベドだったんだよな、などと今更思い出してしまう。
1人で旅をしている間もさんざん世話になったくせに、いつの間にか普通の言葉で話すのが当たり前になってしまって、アルベドだということを忘れてしまっていた。
上に立てば自動的に開く扉や動く床、こういうものはベベルにもある。
だが、この船の中には私の知らない技術が山とある。いや、この船そのものが技術の塊なのだ。
昼間のように照らす明かりや何度も繰り返して聞ける音や遠く離れた人間と会話ができたり、複雑な計算をあっという間にやってしまったり瞬時に料理ができたり、とにかく不思議なことだらけだ。
この船は古の技術を使っていると言っていたはずだが、その古とは一体どんな文化を持っていたのだろうか?
1000年前の人間は、このような機械を使っていたから、罰を受けた。それがエボンの教えだ。
シンが現われて、何もかも破壊して滅ぼしてしまった、と。
もしかして、シンという機械なんじゃないかなんてバカなことまで考えてしまう。
そんな便利な時代の、裕福な世界からいきなりこんな世界に来てしまったジェクトとティーダの苦労は計り知れないことだろう。
そんなことを考えながら、上甲板付近の展望スペースにやってきた。
艦橋にいるかと思ってたユウナとキマリが、大きな窓から外を眺めていた。
「ユウナ」
「あ、ラフテルさん!」
声を掛けると嬉しそうにこちらに駆け寄ってくる。
うん、ワッカとルールーが可愛がるはずだ。
「なに、見てるんだ?」
「あ、うん、別に何かってわけじゃなくて…」
「考えてた…?」
「……はい」
「そっか、ごめん、邪魔しちゃったかな」
「ううん、そうじゃないんです。」
「?」
「ラフテルさん、昨夜言ってました。あの後、ベベルに戻って全てを報告した、って…。
私、ラフテルさんが父さん達と旅をしたことは知ってるのに、父さんやジェクトさんが頑張って旅をしたことや、シンを倒したこと、話を聞いてたから知ってたのに、ラフテルさんのこと、本当は何も知らないことばかりで、ただ、父さんのガードをしてたってことしか…」
「あれ、その話、何度目だ? 私のことはいいって、前から…」
「私が知りたいんです!」
「……ユウナ」
「もう、究極召喚はありません。究極召喚を求めて旅をすることもありません。
私は、…私は、召喚士としてではなく、私、ユウナとしてラフテルさんのこと、もっと知りたい。
召喚士とガードではなく、…と、ともだち、として…」
純粋で綺麗な心を持った少女。私もこんなだったら、もっと素敵な人生を送れていたのかもしれないな。
大きな瞳で見上げてくるユウナの真剣な眼差しが眩しかった。
ともだち、なんて、そんな響きは初めてで、私には勿体無くて、少しくすぐったい。
「…ありがとう、ユウナ」
「え…」
「凄く、嬉しい。…でも」
「………」
「今はまず、シンを何とかしよう。それから、ゆっくり、たくさん話をすればいい」
「!! はい!」
ユウナの顔が一気に明るくなる。
ブラスカの優しい微笑とはまた違った、でもどこか面影を残す柔らかな笑顔。
あぁ、ブラスカ、聞いて欲しい。
ブラスカの魂を感じたくて、この力を手に入れたけど、こんな力がなかったとしてもブラスカの魂を感じることはいつでもできてたんだ。
今、目の前であの時と同じ笑顔で微笑むユウナの中で、ブラスカは確かに生きているんだな。
私はいつでもユウナを見守ってきたと思っていたのに、それは思っていただけで、本当は私達がユウナの中のブラスカに見守られていたんだ。
ありがとう、ブラスカ。
ブラスカも、アルベド語、勉強したんだよな。
私も、少しは理解できるように頑張るよ。
もうすぐ、私もそっちに行く。それまでもう少し、もう少しだけ、ユウナやみんなを見守って欲しい……
→
※アルベド語部分
「これの操作の仕方教えて下さい」
「中々いいじゃないか、その調子だ!」
「ありがと」
「あんた覚えるの早いから、教えるのが楽で助かるぜ」
「他にも誰かに教えたことあるの?」
「あぁ、昔シド艇長の妹の旦那に少しだけな」
「ぜひとも極めて頂きたいですね、頑張って下さいね」
「了解」