第8章【ザナルカンド~バージ=エボン寺院】
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
失われた技術
=73=
ドームの外に出た。
仲間達はすでにそこにいて、今後のことを話している。
眩しい朝日が昇っており、巨大なザナルカンドを象徴するこの建物を照らし出していた。
ゾクリと背中に走る不気味な気配と、特有の匂い。
いつからそこにいたのか、小山に見えていた大きな黒い物体がのそりと動いた。
仲間達の悲鳴が上がる。
シンだ。
最後にアーロンと少年がドームの中から姿を現した。
2人はシンの存在に動じることも無く、ただじっと見上げていた。
シンが少年に気付いたように、じっとこちらに正面を向けてそこにいる。
おとなしく、何をするでもなく、ただそこに佇んでいた。
向かい合うシンと少年。
その姿はまるで会話をしているようにも見えた。
「迎えが来るはずだ。行くぞ」
私の側に来たアーロンが何事も無かったかのように私に声を掛け、仲間達のほうへと足を進めた。
シンはゆっくりと向きを変え、再び海の中に消えていった。
そのシンとすれ違うように、朝日をキラリと反射して空から何かが飛んでくる。
…何だ、あれ…?
……船? 空を飛ぶ、船…!?
「アレはあの時の…」
ユウナの言葉と仲間達の顔を見れば、それが敵ではないと分かる。
機械特有の耳を劈くような音を立てて、それは私たちの目の前にフワリと舞い降りた。
そこから発せされる強い風が辺りの細かな石の欠片や埃をきれいに吹き飛ばしてしまう。
私はただただ驚くことのほかに感情を出すことが出来なかった。
おどろき続けている私を尻目に、仲間達は皆開いたドアから中に入っていく。
「そういえば、お前は知らなかったんだったか。アルベド族が引き上げた古の機械だそうだ。…ほら行くぞ」
背中をぽんと押され、私はアーロンの後ろから恐る恐る中に入った。
思ったよりも中は広く、全てが鋼鉄でできていると言う事が私に圧迫感を覚えさせる。
何も分からないまま、既に姿が見えなくなってしまった仲間達の元へアーロンと共に歩いていく。
どんな仕組みで動いているのかなんて丸で理解できないが、なぜかベベルで感じてた圧迫感とはまるで違っていて、温かみに溢れていた。
連れてこられた広い部屋からは、朝日に照らされたザナルカンドの遺跡が見えた。
一目でアルベドの人間だとわかる男たちが数人、何かの機械の前に座っている。
どうやらここがこの船を操作する部屋のようだ。艦橋とでも言うのか。
中央に大きなスフィアのような装置があり、その前で坊主頭の壮年の男が私達全員を出迎えた。
「これで、全員か?」
「…私で最後だ」
1人ずつ顔を確認するように、その男は私たちを見回し、私と目が会うとそこで止まった。
「…あんた、初顔のようだが…?お前さんもこいつらの仲間なんだな?」
「勿論だ。こいつも10年前、俺と共にブラスカのガードを勤めた」
「!! ほほう、そうかそうか。 …しっかし、シケたツラだなぁ…」
それだけ言うと、腕を組んで男は黙ってしまった。丸で何かを待っている様にも見えるが、その視線の先、そこにいるユウナを見てる、のか?
ユウナもこれに乗るのは初めてなのか、辺りをキョロキョロと眺めている。
「さて、名案を期待しよう」
少年に、試すような言葉を掛け、アーロンはそこから踵を返した。
究極召喚を失ってしまった今、シンを倒す方法は無いに等しい。
このまま何も策を持たず闇雲にシンに立ち向かっていったとしても、とても倒せるとは思えない。
いや、倒すだけならできるかもしれない。ここにはそれだけの力を持った者達が大勢いる。
だが、やはり復活する、ということを阻止できなければ、結局は同じこと。堂々巡りを繰り返すだけだ。
私はアーロンが出て行った扉から、同じ様に部屋を出た。
その先に壁にもたれるようにしてそいつはいた。
「どうした?」
「昨夜、寝てないからみんなまず休むって。ナギ平原に停泊するそうだから、各自少し休んでから再出発。それからみんなで考えよう、だってさ。
…私も、少し休ませてもらおうと思って…。でも部屋がどこだか、わからない…」
「……ついて来い」
「あ、案内してくれるのか、いいよ、教えてくれれば自分で行くから」
「いいから黙ってついて来い。俺も休む」
「…わかった」
共同スペースの他に、乗組員たちの部屋もたくさんあるそうで、以前彼らがこれに乗ったときに宛がわれた部屋があるそうだ。
結構複雑に入り組んではいるが、法則を覚えればそれほどでもない。
客室らしき部屋に案内され、中に入る。
さほど大きくもない部屋には、必要なもののみが設置されたこざっぱりとした空間。
鋼鉄で囲まれたことを忘れれば、小さいながらも窓からの景色を眺めることも出来る。
「風呂とトイレはついているが、メシは食堂だ。さっき通ってきた乗組員たちの宿舎の奥だ」
簡単に説明してくれるアーロンはそう言うと、自分の荷物を置いて装備を外し始めた。
「…もしかして、ここ、あんたの部屋だった? …私、他の部屋に…」
「ここに、いろ」
突然真正面から抱きすくめられた。
「お、おい! なっ…!!」
有無を言わさず塞がれる唇。
腰と後頭部に回された力強い腕によって身動きが取れない。
またこいつは! 私の意志を確認することもせずにいきなりこういうことをする…
「……、っっ…、……ん…」
思わず洩れる吐息に混じった微かな声。
いつも感じる、熱い体温に私は思考力を削がれてしまう。
息ができないほどの熱い、激しい口付けに、足の力が、手の力が、抜けていく。
それでもなんとか自分の両腕を自分とこいつの間に割り込ませる。
私が僅かな抵抗をしようとしたのを察したのか、益々抱き寄せる腕に力が込められる。
「…ちょっ…、まっ…!」
僅かに開いた隙間からなんとか言葉を搾り出す。
それを遮るかのように、私の口を覆いつくすように更に噛み付いてくる。
口の中に捻じ込まれた熱い塊が、私の口の中を蹂躙する。
どうしても離れてくれないこいつをなんとか引き剥がしたくて、掌に魔力を込める。
だが口を塞がれているために呪文の詠唱が出来ない。
こいつ、わざとなんだろうか…?
私は力の入らなくなった両手で、何かに縋りつくようにこいつの服を握り締めていた。
呼吸が出来ない為に頭が朦朧としてくる。
体の力と共に思考能力までもがこいつに奪われていくようで、流されたくないと思っているのに、体は熱くなっていく。
こいつの口付けに、何もかもが溶けていってしまうようで、私の頭の中はスパークしてしまう。
→
=73=
ドームの外に出た。
仲間達はすでにそこにいて、今後のことを話している。
眩しい朝日が昇っており、巨大なザナルカンドを象徴するこの建物を照らし出していた。
ゾクリと背中に走る不気味な気配と、特有の匂い。
いつからそこにいたのか、小山に見えていた大きな黒い物体がのそりと動いた。
仲間達の悲鳴が上がる。
シンだ。
最後にアーロンと少年がドームの中から姿を現した。
2人はシンの存在に動じることも無く、ただじっと見上げていた。
シンが少年に気付いたように、じっとこちらに正面を向けてそこにいる。
おとなしく、何をするでもなく、ただそこに佇んでいた。
向かい合うシンと少年。
その姿はまるで会話をしているようにも見えた。
「迎えが来るはずだ。行くぞ」
私の側に来たアーロンが何事も無かったかのように私に声を掛け、仲間達のほうへと足を進めた。
シンはゆっくりと向きを変え、再び海の中に消えていった。
そのシンとすれ違うように、朝日をキラリと反射して空から何かが飛んでくる。
…何だ、あれ…?
……船? 空を飛ぶ、船…!?
「アレはあの時の…」
ユウナの言葉と仲間達の顔を見れば、それが敵ではないと分かる。
機械特有の耳を劈くような音を立てて、それは私たちの目の前にフワリと舞い降りた。
そこから発せされる強い風が辺りの細かな石の欠片や埃をきれいに吹き飛ばしてしまう。
私はただただ驚くことのほかに感情を出すことが出来なかった。
おどろき続けている私を尻目に、仲間達は皆開いたドアから中に入っていく。
「そういえば、お前は知らなかったんだったか。アルベド族が引き上げた古の機械だそうだ。…ほら行くぞ」
背中をぽんと押され、私はアーロンの後ろから恐る恐る中に入った。
思ったよりも中は広く、全てが鋼鉄でできていると言う事が私に圧迫感を覚えさせる。
何も分からないまま、既に姿が見えなくなってしまった仲間達の元へアーロンと共に歩いていく。
どんな仕組みで動いているのかなんて丸で理解できないが、なぜかベベルで感じてた圧迫感とはまるで違っていて、温かみに溢れていた。
連れてこられた広い部屋からは、朝日に照らされたザナルカンドの遺跡が見えた。
一目でアルベドの人間だとわかる男たちが数人、何かの機械の前に座っている。
どうやらここがこの船を操作する部屋のようだ。艦橋とでも言うのか。
中央に大きなスフィアのような装置があり、その前で坊主頭の壮年の男が私達全員を出迎えた。
「これで、全員か?」
「…私で最後だ」
1人ずつ顔を確認するように、その男は私たちを見回し、私と目が会うとそこで止まった。
「…あんた、初顔のようだが…?お前さんもこいつらの仲間なんだな?」
「勿論だ。こいつも10年前、俺と共にブラスカのガードを勤めた」
「!! ほほう、そうかそうか。 …しっかし、シケたツラだなぁ…」
それだけ言うと、腕を組んで男は黙ってしまった。丸で何かを待っている様にも見えるが、その視線の先、そこにいるユウナを見てる、のか?
ユウナもこれに乗るのは初めてなのか、辺りをキョロキョロと眺めている。
「さて、名案を期待しよう」
少年に、試すような言葉を掛け、アーロンはそこから踵を返した。
究極召喚を失ってしまった今、シンを倒す方法は無いに等しい。
このまま何も策を持たず闇雲にシンに立ち向かっていったとしても、とても倒せるとは思えない。
いや、倒すだけならできるかもしれない。ここにはそれだけの力を持った者達が大勢いる。
だが、やはり復活する、ということを阻止できなければ、結局は同じこと。堂々巡りを繰り返すだけだ。
私はアーロンが出て行った扉から、同じ様に部屋を出た。
その先に壁にもたれるようにしてそいつはいた。
「どうした?」
「昨夜、寝てないからみんなまず休むって。ナギ平原に停泊するそうだから、各自少し休んでから再出発。それからみんなで考えよう、だってさ。
…私も、少し休ませてもらおうと思って…。でも部屋がどこだか、わからない…」
「……ついて来い」
「あ、案内してくれるのか、いいよ、教えてくれれば自分で行くから」
「いいから黙ってついて来い。俺も休む」
「…わかった」
共同スペースの他に、乗組員たちの部屋もたくさんあるそうで、以前彼らがこれに乗ったときに宛がわれた部屋があるそうだ。
結構複雑に入り組んではいるが、法則を覚えればそれほどでもない。
客室らしき部屋に案内され、中に入る。
さほど大きくもない部屋には、必要なもののみが設置されたこざっぱりとした空間。
鋼鉄で囲まれたことを忘れれば、小さいながらも窓からの景色を眺めることも出来る。
「風呂とトイレはついているが、メシは食堂だ。さっき通ってきた乗組員たちの宿舎の奥だ」
簡単に説明してくれるアーロンはそう言うと、自分の荷物を置いて装備を外し始めた。
「…もしかして、ここ、あんたの部屋だった? …私、他の部屋に…」
「ここに、いろ」
突然真正面から抱きすくめられた。
「お、おい! なっ…!!」
有無を言わさず塞がれる唇。
腰と後頭部に回された力強い腕によって身動きが取れない。
またこいつは! 私の意志を確認することもせずにいきなりこういうことをする…
「……、っっ…、……ん…」
思わず洩れる吐息に混じった微かな声。
いつも感じる、熱い体温に私は思考力を削がれてしまう。
息ができないほどの熱い、激しい口付けに、足の力が、手の力が、抜けていく。
それでもなんとか自分の両腕を自分とこいつの間に割り込ませる。
私が僅かな抵抗をしようとしたのを察したのか、益々抱き寄せる腕に力が込められる。
「…ちょっ…、まっ…!」
僅かに開いた隙間からなんとか言葉を搾り出す。
それを遮るかのように、私の口を覆いつくすように更に噛み付いてくる。
口の中に捻じ込まれた熱い塊が、私の口の中を蹂躙する。
どうしても離れてくれないこいつをなんとか引き剥がしたくて、掌に魔力を込める。
だが口を塞がれているために呪文の詠唱が出来ない。
こいつ、わざとなんだろうか…?
私は力の入らなくなった両手で、何かに縋りつくようにこいつの服を握り締めていた。
呼吸が出来ない為に頭が朦朧としてくる。
体の力と共に思考能力までもがこいつに奪われていくようで、流されたくないと思っているのに、体は熱くなっていく。
こいつの口付けに、何もかもが溶けていってしまうようで、私の頭の中はスパークしてしまう。
→