第7章【ガガゼト山~ザナルカンド】
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どこまでを語れるんだろう
=62=
あといくつの真実があるのだろうか。
あといくつの真実を求めるのだろうか。
あといくつの真実を知れば救われるのだろうか……。
ガガゼト山の峠を越えると、道は登山洞窟になっている。
雪や風は凌げるが、その分ここに住み着いた魔物は更に強さを増すものばかりだ。
それまでの黒い岩肌はなくなり、赤茶けた褐色の岩肌が目立つ。
雪解けの冷たい水は苔すらも生えず、ただ飛び回る幻光虫が落とすにじ色の光をその水面に映していた。
あれから少しして、少年は何事も無かったかのように飛び起きて、皆に心配掛けたことを謝罪した。
少年は、戻ってきた。
アーロンは始めから分かっていたんだろうか、少年は戻ってくると。
ザナルカンドから戻った少年の顔が、つい先程までのものと明らかに違って見えた。
…私だけ、だろうか?
少年は夢の中で、ザナルカンドで、何を知ったんだろうか。
私も未だ知らない、ジェクトと少年のザナルカンド。
それはどこにあって、どんな姿で、どうやったら行けるのか。
自分も死人になったら行けるだろうか…?
アーロンは何も言わない。何も聞かない。でもそ知らぬ振りをして、しっかりとその動向を見守っている。
ユウナを、ナギ平原のあの場所に連れて行った時のように、今度は少年をジェクトの元に連れて行く。
それが、約束を果たした証。
その時が近いことが、私にも分かる。
暗い洞窟の内部ではあるが、完全な地中というわけではない。
大きな岩が積み重なって、ほんの少し空いた隙間に道を作った、そんな感じだ。
だから光も差し込むし、所によっては雪が積もっている。
大きな岩が壁の役割を果たし、風はほとんど入ってこない。
高山でもあることで、植物は無いに等しい。ただ魔物だけが、生者の魂を求めて彷徨っている。
そんな世界だ。
珍しく、リュックが一行から遅れて歩いている。
道案内をするように先頭に立って歩いているアーロンと対になるように、殿を歩く私が追いついてしまった。
「リュック、辛いのか?大丈夫か?」
「…ラフテル、…うん、辛い。このまま先へ進んだら、ユウナは…。あたし、色々考えてるけど、ダメなんだ」
「何が、ダメなんだ?」
「考えても考えても、いい考えなんて浮かんでこないし、ちょっと浮かんだと思っても全然纏まんないし…。 ねぇ、ラフテルはなんかいい考え、ない? どうやったらユウナ、死なずに済むかな…?」
ここを越えたら、もうそこはザナルカンドだ。
少年とジェクトのではなく、1000年前の都市の、遺跡。
そこに、究極召喚がある。
それを手に入れてしまえば、間違いなくユウナはシンに立ち向かうだろう。
そして、…命を落とす。
究極召喚を手に入れても、使わなければ? …シンを倒せるのは、究極召喚だけ。それを知るユウナは必ず使うだろう。
では手に入れなければ? …それでは何の為にここまで旅を続けてきたのだ。
ではザナルカンドに行かなければ? ………。
考えれば考えるほど、頭はあらぬ方向へ思考が飛んでいく。
…でも本当の私の気持ちはまた別のことを考えている。
ザナルカンド行こうが行くまいが、本当は、シンを倒すことは………。
リュックの言ってること、彼女の気持ち、それがよく分かる。
「私も、考えてる」
「ホント!? どんなこと?」
「このまま行けば、ユウナはザナルカンドで究極召喚を手に入れてしまう」
「うんうん」
「そしたら、ブラスカや他の今までの召喚士達と同じ運命を辿ることになってしまう。…だから」
「だから?」
「ユウナに、決めてもらうしかない」
「ええぇ~~~っ!?何それ、それじゃ結局全部ユウナ任せじゃん!」
そうは言っても、本当にそうなのだから、どうしようもない。
だからと言って、これから起こる出来事や出会う人物を教えても何もならない。
最後に決断を下すのは、その決定権を持っているのは、ユウナなのだ。
その時になれば、きっとリュックも私の言った言葉を理解してくれると思う。
「リュック」
「何~?」
「ありがとう…」
「!? え、な、何? いきなり、どうしたの~?」
「あの時、シーモアと闘った時、助けに来てくれただろ?」
「ああ!なんだ、そのことか~。ま、あたしの咄嗟のキテンってやつ?」
「フフ、頼もしいな」
「へへ~ん」
得意そうにリュックは胸を張って見せた。
「リュック」
「ん?」
「もっと、強くなろう。シンを倒せるくらい」
「!! うん!! そしたら、ユウナ、究極召喚使わないで済むよね! よ~~っし、バンバン魔物倒すぞ~!」
「うん、その意気だ」
「ラフテル、ありがとう!!」
大きく手を振って、リュックはユウナの元へ駆け寄っていった。
ふと、先でアーロンが立ち止まっているのが見えた。ユウナの足もそこで止まってしまう。
アーロンは一度私のほうを振り返って、再び前方を見据えている。
私もユウナの隣に立つ。
「そろそろ、…来るはずだ…」
「あぁ、そうか、まだあいつがいたな…。でも、こいつらなら平気だろ」
「さあ、どうだか」
「あの、アーロンさん、ラフテルさん、何が、あるんですか?」
「召喚士の力を試す為に、奴は魔物を放った」
「誰が、ですか…?」
「…ユウナレスカ、だよ」
「!! 生きて、いらっしゃるんですか?」
私は瞑目して、ゆっくりと首を横に振って見せた。
→
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あといくつの真実があるのだろうか。
あといくつの真実を求めるのだろうか。
あといくつの真実を知れば救われるのだろうか……。
ガガゼト山の峠を越えると、道は登山洞窟になっている。
雪や風は凌げるが、その分ここに住み着いた魔物は更に強さを増すものばかりだ。
それまでの黒い岩肌はなくなり、赤茶けた褐色の岩肌が目立つ。
雪解けの冷たい水は苔すらも生えず、ただ飛び回る幻光虫が落とすにじ色の光をその水面に映していた。
あれから少しして、少年は何事も無かったかのように飛び起きて、皆に心配掛けたことを謝罪した。
少年は、戻ってきた。
アーロンは始めから分かっていたんだろうか、少年は戻ってくると。
ザナルカンドから戻った少年の顔が、つい先程までのものと明らかに違って見えた。
…私だけ、だろうか?
少年は夢の中で、ザナルカンドで、何を知ったんだろうか。
私も未だ知らない、ジェクトと少年のザナルカンド。
それはどこにあって、どんな姿で、どうやったら行けるのか。
自分も死人になったら行けるだろうか…?
アーロンは何も言わない。何も聞かない。でもそ知らぬ振りをして、しっかりとその動向を見守っている。
ユウナを、ナギ平原のあの場所に連れて行った時のように、今度は少年をジェクトの元に連れて行く。
それが、約束を果たした証。
その時が近いことが、私にも分かる。
暗い洞窟の内部ではあるが、完全な地中というわけではない。
大きな岩が積み重なって、ほんの少し空いた隙間に道を作った、そんな感じだ。
だから光も差し込むし、所によっては雪が積もっている。
大きな岩が壁の役割を果たし、風はほとんど入ってこない。
高山でもあることで、植物は無いに等しい。ただ魔物だけが、生者の魂を求めて彷徨っている。
そんな世界だ。
珍しく、リュックが一行から遅れて歩いている。
道案内をするように先頭に立って歩いているアーロンと対になるように、殿を歩く私が追いついてしまった。
「リュック、辛いのか?大丈夫か?」
「…ラフテル、…うん、辛い。このまま先へ進んだら、ユウナは…。あたし、色々考えてるけど、ダメなんだ」
「何が、ダメなんだ?」
「考えても考えても、いい考えなんて浮かんでこないし、ちょっと浮かんだと思っても全然纏まんないし…。 ねぇ、ラフテルはなんかいい考え、ない? どうやったらユウナ、死なずに済むかな…?」
ここを越えたら、もうそこはザナルカンドだ。
少年とジェクトのではなく、1000年前の都市の、遺跡。
そこに、究極召喚がある。
それを手に入れてしまえば、間違いなくユウナはシンに立ち向かうだろう。
そして、…命を落とす。
究極召喚を手に入れても、使わなければ? …シンを倒せるのは、究極召喚だけ。それを知るユウナは必ず使うだろう。
では手に入れなければ? …それでは何の為にここまで旅を続けてきたのだ。
ではザナルカンドに行かなければ? ………。
考えれば考えるほど、頭はあらぬ方向へ思考が飛んでいく。
…でも本当の私の気持ちはまた別のことを考えている。
ザナルカンド行こうが行くまいが、本当は、シンを倒すことは………。
リュックの言ってること、彼女の気持ち、それがよく分かる。
「私も、考えてる」
「ホント!? どんなこと?」
「このまま行けば、ユウナはザナルカンドで究極召喚を手に入れてしまう」
「うんうん」
「そしたら、ブラスカや他の今までの召喚士達と同じ運命を辿ることになってしまう。…だから」
「だから?」
「ユウナに、決めてもらうしかない」
「ええぇ~~~っ!?何それ、それじゃ結局全部ユウナ任せじゃん!」
そうは言っても、本当にそうなのだから、どうしようもない。
だからと言って、これから起こる出来事や出会う人物を教えても何もならない。
最後に決断を下すのは、その決定権を持っているのは、ユウナなのだ。
その時になれば、きっとリュックも私の言った言葉を理解してくれると思う。
「リュック」
「何~?」
「ありがとう…」
「!? え、な、何? いきなり、どうしたの~?」
「あの時、シーモアと闘った時、助けに来てくれただろ?」
「ああ!なんだ、そのことか~。ま、あたしの咄嗟のキテンってやつ?」
「フフ、頼もしいな」
「へへ~ん」
得意そうにリュックは胸を張って見せた。
「リュック」
「ん?」
「もっと、強くなろう。シンを倒せるくらい」
「!! うん!! そしたら、ユウナ、究極召喚使わないで済むよね! よ~~っし、バンバン魔物倒すぞ~!」
「うん、その意気だ」
「ラフテル、ありがとう!!」
大きく手を振って、リュックはユウナの元へ駆け寄っていった。
ふと、先でアーロンが立ち止まっているのが見えた。ユウナの足もそこで止まってしまう。
アーロンは一度私のほうを振り返って、再び前方を見据えている。
私もユウナの隣に立つ。
「そろそろ、…来るはずだ…」
「あぁ、そうか、まだあいつがいたな…。でも、こいつらなら平気だろ」
「さあ、どうだか」
「あの、アーロンさん、ラフテルさん、何が、あるんですか?」
「召喚士の力を試す為に、奴は魔物を放った」
「誰が、ですか…?」
「…ユウナレスカ、だよ」
「!! 生きて、いらっしゃるんですか?」
私は瞑目して、ゆっくりと首を横に振って見せた。
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